「許された子どもたち」を観てきました。
ストーリーは、
とある地方都市。不良グループのリーダーである中学1年生の市川絆星は、同級生の倉持樹に対するいじめをエスカレートさせ、ついには彼を殺してしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親・真理の説得により否認に転じる。少年審判は無罪に相当する「不処分」の決定を下し絆星は自由を得るが、世間では激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は絆星ら不良グループの罪を問う民事訴訟を起こすことを決意する。
というお話です。
主人公の絆星は、いじめられた経験があり、中学デビューで虐める方になったのかなと思います。だから、暴力で相手を従わせようといつもしてしまう。自分もやられていたからだと思うんです。そして、自分が虐めていた相手が突然に楯突いてきたので、ムカついた事もあるだろうけど、それ以上に自分が虐められたらどうしようという怖さで殺すところまで行ってしまったのかなと思いました。
この絆星の母親が凄いモンスターなんです。息子が可愛いのも解るし、自分だけは味方だって言う事も分かるし、息子の幸せの為に必ず守るという気持ちも分かるのですが、手段が間違っているんです。仲間の一人が絆星がやったと告白し、絆星も樹を殺したことを認めたのに、母親はやっていないんでしょと言って、無理やりに殺していない事にしてしまうんです。本人が罪を認めて、罰を受けようという気持ちになったところで、母親が嘘を付かせて無罪にしてしまうんです。
本人は、ずっと心に殺したという傷を持っており、それによって苦しんでいるのに、それを全く理解しようとせず、母親は”あなたはやっていないんだから”と言い通すんです。恐くなりました。たとえ裁判では無罪になったとしても、殺した事実は消えなのにね。それを母親は全然解ってなかったんだろうなと思いました。息子を愛しているなら、罪を償ってくるのを待ってあげるのが母親ですよね。
そして、ネットなどで無罪になったのはおかしいと炎上し、絆星の名前から住所から、全てがネット上で晒されていくんです。これ、現実でも良くあるので、ホント、SNSって怖いですよね。これで死人が出てしまうのは理解出来ます。人間、そんなに強く出来ていないですもん。こんなに叩かれたら、そりゃ、自殺する人だって出てきます。
匿名だからと言って、何でも書いていい訳じゃないんです。人間がやっているんですから、これ以上は言ってはいけないっていう部分ってあるでしょ。それくらい常識で分かると思うけど、どうして解らないのかしら。匿名で書いている時点で、それ正義でも何でもないですから。映画の中でも正義だと言って、絆星をどこまでも追って晒して行くネットオタクや、同級生たちがいますが、それ全然正義じゃないからね。ただのストーカーだから。
この絆星は、キチンと裁かれる事をしなかった、少年審判で許されてしまったからこそ、未来が無くなってしまうという典型的な話だと思いました。これは、親の責任だけではなく、少年法の問題もあると思います。疑わしきは裁かず、子供は親の付き添いで尋問なんて、あり得ないでしょ。もう、小学校に入ったら十分に犯罪者になりえますからね。嘘はつくし、殺人だって平気でやります。もっと現実を良く見て欲しい。
そして、更生するからと言った教育も問題でしょ。確率的に言って、ほとんど更生なんてしていないと思いますよ。再犯率を見れば良く解ると思うけど、そういうところを全然改善していかないのが日本の問題かなと思います。どんなに子供でも殺人は別格にして、その理由などによって、裁くか裁かないかを判断するべきでしょ。DVを受けていて仕方なく殺したなら助けてあげるべきだけど、ウザいから殺したとかなら裁かれなくちゃね。
この映画、凄く考えさせられる映画でした。最後の方で、絆星は人を殺した自分に凄く怒る場面があるのですが、そこは心に響きました。でも、映画が131分ありまして、ちょっと長く感じてしまいました。とても感慨深い内容の作品で、素晴らしい作品なのですが、ちょっとだけ疲れました。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは、観るべき映画だと思います。少年犯罪に関して、現代はどんな風になっているのか、これからどうして行くべきなのかという事を考えさせられます。有名な俳優さんは出ていませんが頑張っていました。絆星を演じた上村さん、とても印象的で、柳楽優弥さんの若い頃を思い出させます。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。