「iBOY」を観ました。2017年製作のイギリス映画です。Netflixで観ました。
ストーリーは、
祖母と暮らす高校生のトムは、片思いをしているルーシーが気になって仕方がない。ある日、勉強の出来るトムにルーシーが勉強を教えて欲しいと頼む。快く引き受けたトムは、その日の夜にルーシーの家を訪ねると、そこには暴漢が押し入っていて、弟は倒れ、ルーシーはレイプされていた。犯人を鉢合わせしたトムは拳銃を向けられ、直ぐに逃げるが廊下で撃たれてしまう。
目が覚めると病院のベッドの上だった。暴漢に頭を撃たれ、昏睡状態だったらしい。弾丸は急所は外れたものの、持っていたスマホの部品が脳に残ってしまい、取り出すことが出来ない。問題が起きたら直ぐに病院に来るようにと言われて退院をする。
その日から、スマホなどの電子機器の映像が頭に浮かぶようになり、脳の中にスマホを持っているような状態になってしまう。そして他人のスマホの中も覗ける事に気が付く。すると同級生のスマホの中にルーシーのレイプ動画があることに気が付き、友達のダニーに誘われたパーティーに行くと、会場の中にも事件の犯人が何人もいることに気づいてしまう。怒りが膨らみ、復讐をしてやると思ったトムは、その日から不良グループの人間を狙い始める。
不良グループへの復讐をしていくと、ルーシーを襲わせた黒幕がいるらしい事を知り、カッツという男に辿り着く。今度はカッツを追い詰めていくと、麻薬を売り捌くボスであるエルマンという男に行きつく。大きな麻薬組織を相手にすることになり、トムは危ない状態に陥って行き・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、舞台がイギリスの貧困家庭が住む地域であり、大きな団地に沢山の人々が住んでいて、それぞれに問題を抱えているようでした。そんな街なので、ギャングはいるし、不良も多いし、麻薬もはびこっていて、荒れた地域なんです。そんな街で祖母と暮らすトムは、母親が麻薬中毒で3歳の時に亡くなり、祖母と2人。荒れた地域にしては、真面目で素直な高校生に育っています。しかし、ルーシーが襲われるという事件で、彼の世界が変わってしまいます。
脳にスマホの部品がめり込んでいるというのが、なんか、面白いでしょ。それによって、脳が電子化しちゃうっていうのも、面白い設定だなと思いました。映像としては、ブレードランナー2049や攻殻機動隊のように、義体化して世界を見ているような感じで、空間には何も無いけど、自分の視界には、スマホの映像や文字が至る所に見えていて、その見えているものなら、操作をすることが出来るようでした。勝手にメールをしたり、電話をかけたり、動画を転送したり。その延長で、銀行のシステムなどに入り込み、お金を勝手に動かしたりも出来るようでした。でも、もちろん真面目な子なので、自分の為にはほとんどしませんけどね。
この貧困層の地域は荒れていて、道路を渡れば、幸せな人たちの仲間入りが出来るのに、それが出来ないんです。子供の頃からギャングなどに入って、お金を稼いで、みんな、道路の向こう側に住みたいと思っているのですが、いつまでもそれは夢でしかない。貧困層の人たちは搾取される側で、搾取することは永遠に出来ないだろうというような感じでした。
そんなイギリスの問題も描きながら、突然に力を持ってしまった少年がヒーローとなり、友達や家族を助けるという内容なんです。ギャングを倒すという行為は確かにヒーローみたいだけど、普通の高校生だから、凄く弱いんですよ。超音波みたいのを脳から発して相手を苦しめてたけど、大体は、こっそり忍び込んで麻薬を盗んだり、燃やしたりということで、復讐をしてました。
このトムですが、最初は高校生らしく悪い奴をやっつけるという気持ちが強いんだけど、段々と麻薬組織の事を知り、自分の周りにいる悪い同級生たちは、大きな組織の上から命令されてやっているだけで、自分たちの意志なんて何も無いという事を知って行き、自分の地域の暗い面を目の当たりにして、ショックを受けていくんです。社会を知ることで、自分の境遇を知ることになっていくんです。ちょっとシビアな内容でした。確かに、イギリスは移民問題や貧困層の問題が大きくなっていますよね。
この映画、そんなことを描きながら、高校生のヒーローの成長物語が描かれていました。私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと暗めの映画ですが、時間も短めだし、軽く楽しめる映画だと思います。映像もちょっと綺麗だし、脳の中にスマホ持っている感じっていうのが、珍しくて楽しめましたよ。ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
