「ルース・エドガー」同情されることが心を深く傷つけることもある。言葉は残酷な刃にもなるのだ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「ルース・エドガー」が、cocoさんのオンライン試写会に当たりまして、一足先に観る事が出来ました。

 

ストーリーは、

バージニア州アーリントンで白人の養父母と暮らす黒人の少年ルース。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服した彼は、文武両道に秀で、様々なルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われている。模範的な若者として称賛されるルースだったが、ある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立するように。ルースが危険な思想に染まっているのではというウィルソンの疑惑は、ルースの養父母にも疑念を生じさせていく。

というお話です。

 

 
バージニア州アーリントンで白人の養父母と暮らす黒人の少年ルース。アフリカの戦火の国で生まれた彼は、7歳でアメリカに引き取られました。何事も力でねじ伏せるような社会で育っていた彼は、アメリカで新しい考え方を学ばされ、沢山の人間の中で、力で優劣や善悪を分ける事は間違っているという事実を受け入れます。
 
考え方を180度転換し、ハンデを克服した彼は、文武両道に秀で、様々なルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われる事となります。模範的な若者として称賛されるルースでしたが、歴史上の人物になり切って、考え方をレポートにするという課題をきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立するようになります。
 
 
ルースが危険な思想に染まっているのではと訴えるウィルソンは、勝手にルースのロッカーなどの私物を捜索し、ロッカーの中から危険性のある花火を見つけます。花火と言っても、十分にドアなどが破壊出来る威力があり、危険だと思ったウィルソンは、ルースの養父母に連絡をし、ルースの人格の危険性を訴えます。
 
優等生で物分かりが良く、頭が良い息子を誇りに思っていた養父母は、まさか、自分の息子がそんなことをする訳が無い。レポートは、課題に従っただけで、ルースの根本が破壊的な考え方ではないと訴えますが、7歳でアメリカに来た時の事を思うと、もしかしてという思いにもかられます。
 
 
母親・エイミーは、自分の作品のように息子を大切にしており、まさか自分の息子に間違いがある訳が無いと、息子に真実を話すように問い詰めます。しかし、ルースにしてみれば、過大な期待をかけられ、いつも良い子でいなければならないことに息苦しさを感じていました。とても頭の良いルースは、自分を疑い、まるで陥れるような事を言うハリエット先生を邪魔に思い始め・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、凄く怖かった・・・。どうなるのか、全く予想が付かず、ルースとても良い子なのですが、どこか暗い面もあるようで、信用が出来ないんです。本当に良さそうな子で、色々な場面でも、心からハリエット先生だったり友人だったりを、心配しているように見えて、何て優しい子なんだろうと思うと、影で凄い策略を練っていたのかも知れないって事が分かってきて、恐ろしいんです。

 

 

このハリエットという教師も、ちょっとやり過ぎじゃないのかなと思いました。確かに、生徒の事を思ってなのかもしれませんが、ここまでしなくても良いのでは?と思ってしまいました。やっぱり、高校生ともなれば、プライバシーも必要ですよ。生徒を呼んで、一緒にロッカーの中を見るとか、鞄の中を開けさせるのなら解りますが、勝手に開けて調べるというのは、ダメだと思いました。

 

その半面、ハリエットがルースに忠告をするのですが、その言葉は、とてもアメリカの現状を捉えていると思いました。黒人への差別や、性差別など、減ってきているとは言っても、無くなっている訳ではありません。差別に見えなくても、この人たちは”かわいそう”というを浴びせることが、心を傷つけているという事が理解されていないんです。哀れみも十分に人を傷つけますよね。

 

 

そんなことが、映画の中にじくじくと描かれていて、サスペンス風に楽しめる作品に出来上がっているのですが、その上、とても考えさせられる映画でした。日本でも、最近、”貧困層が”としきりに騒ぐ政治家などがいらっしゃいますが、貧困層の方が困っていると思うなら、給料を全部寄付しなさいよ。年間、何千万も貰っている人間が、表面的な話だけをしても、ただ差別して貧困な人間を哀れんでいるようにしか聞こえません。高卒は仕事に就けないと言った事と同じように、日本の政治家は酷い差別をしていると思います。

 

 

話がそれましたが、この映画でも、誰もが気にしないで話している事、振る舞っている事が、実は、酷い差別をしていて、精神的に追い詰めているという事があるという事を描いています。でも、アメリカの白人社会に生まれて、白人の親に育てられていたら、普通になってしまっているのだと思います。何の罪悪感も無く、それが悪い事で、人を苦しめているとは解らないんです。社会の奥深くに潜む、残酷な現実を描いているようで、本当にウーンと唸ってしまいました。

 

 

この映画、5月15日に公開予定ですが、今の状況だと、少しズレるかもしれませんね。私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。面白くて、どうなるのかドキドキして、とても考えさせられる映画でした。ヒューマンドラマなんだけど、サスペンススリラーと言っても良いような映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

ルース・エドガー|映画情報のぴあ映画生活