「ルース・エドガー」が、cocoさんのオンライン試写会に当たりまして、一足先に観る事が出来ました。
ストーリーは、
バージニア州アーリントンで白人の養父母と暮らす黒人の少年ルース。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服した彼は、文武両道に秀で、様々なルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われている。模範的な若者として称賛されるルースだったが、ある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立するように。ルースが危険な思想に染まっているのではというウィルソンの疑惑は、ルースの養父母にも疑念を生じさせていく。
というお話です。
この映画、凄く怖かった・・・。どうなるのか、全く予想が付かず、ルースとても良い子なのですが、どこか暗い面もあるようで、信用が出来ないんです。本当に良さそうな子で、色々な場面でも、心からハリエット先生だったり友人だったりを、心配しているように見えて、何て優しい子なんだろうと思うと、影で凄い策略を練っていたのかも知れないって事が分かってきて、恐ろしいんです。
このハリエットという教師も、ちょっとやり過ぎじゃないのかなと思いました。確かに、生徒の事を思ってなのかもしれませんが、ここまでしなくても良いのでは?と思ってしまいました。やっぱり、高校生ともなれば、プライバシーも必要ですよ。生徒を呼んで、一緒にロッカーの中を見るとか、鞄の中を開けさせるのなら解りますが、勝手に開けて調べるというのは、ダメだと思いました。
その半面、ハリエットがルースに忠告をするのですが、その言葉は、とてもアメリカの現状を捉えていると思いました。黒人への差別や、性差別など、減ってきているとは言っても、無くなっている訳ではありません。差別に見えなくても、この人たちは”かわいそう”というを浴びせることが、心を傷つけているという事が理解されていないんです。哀れみも十分に人を傷つけますよね。
そんなことが、映画の中にじくじくと描かれていて、サスペンス風に楽しめる作品に出来上がっているのですが、その上、とても考えさせられる映画でした。日本でも、最近、”貧困層が”としきりに騒ぐ政治家などがいらっしゃいますが、貧困層の方が困っていると思うなら、給料を全部寄付しなさいよ。年間、何千万も貰っている人間が、表面的な話だけをしても、ただ差別して貧困な人間を哀れんでいるようにしか聞こえません。高卒は仕事に就けないと言った事と同じように、日本の政治家は酷い差別をしていると思います。
話がそれましたが、この映画でも、誰もが気にしないで話している事、振る舞っている事が、実は、酷い差別をしていて、精神的に追い詰めているという事があるという事を描いています。でも、アメリカの白人社会に生まれて、白人の親に育てられていたら、普通になってしまっているのだと思います。何の罪悪感も無く、それが悪い事で、人を苦しめているとは解らないんです。社会の奥深くに潜む、残酷な現実を描いているようで、本当にウーンと唸ってしまいました。
この映画、5月15日に公開予定ですが、今の状況だと、少しズレるかもしれませんね。私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。面白くて、どうなるのかドキドキして、とても考えさせられる映画でした。ヒューマンドラマなんだけど、サスペンススリラーと言っても良いような映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。