「タロウのバカ」社会から弾き出された3人の少年は何処へ行くのか。誰も知らない・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「タロウのバカ」を観てきました。

 

ストーリーは、

戸籍も持たず、一度も学校に通ったことのない少年タロウには、エージとスギオという高校生の仲間がいる。エージとスギオはそれぞれ悩みを抱えていたが、タロウとつるんでいる時だけはなぜか心を解き放たれるのだった。空虚なほどだだっ広い町をあてどなく走り回り、その奔放な日々に自由を感じる3人だったが、偶然にも1丁の拳銃を手に入れたことから、それまで目を背けてきた過酷な現実に向き合うこととなる。

というお話です。

 

 

河川敷で歌を歌っているダウン症の2人に声をかける男子。彼の名前はタロウ。母親は彼を4文字の名前で呼ぶが、ほとんど興味を持ってもらえず、目も向けて貰えない。そんな彼と出会ったエージとスギオは、名前が無いならタロウだろうと、彼をタロウと名付けて呼び始める。タロウは、戸籍も無く、学校に行ったことも無い。母親はネグレクトで、子供に興味が無く、家にもあまり帰ってこないようだった。

 

 

エージは高校の柔道のスポーツ推薦で入学したのだが、膝を壊して柔道が出来なくなってしまい、学校のお荷物になってしまった。スギオは普通の高校生だが、ウリをしている同級生の洋子を好きになってしまい、どうにもその気持ちを受け入れられずにモヤモヤしていた。そんな二人は、河川敷でふらふらしているタロウと出会い、それからはいつもつるむようになる。

 

 

兄と同級だった半グレの吉岡の仕事を手伝わされるエージは、社会的弱者=障がい者たちを預かって金を貰うという"収容所"の世話をさせられていた。歯止めの効かない彼らが殺し合いをしてしまい、エージは怒られてボコられ、吉岡に恨みを持っていた。吉岡は、元ヤクザを拳銃で殺したりと、半グレを率いてやりたい放題だ。エージは、吉岡に復讐しようと、タロウとスギオを連れて覆面をして、吉岡を襲いに行く。鉄パイプなどでボコり、吉岡が持っていた拳銃を盗んでタロウに持たせ逃げるのだが、吉岡はエージだと感づき、エージを狙ってくる。

 

拳銃を手に入れたタロウは何となく気持ちが大きくなり、エージは吉岡から逃げ延びることに必死になり、スギオは拳銃を手に入れ、ビビッてエージやタロウから離れようと考え始める。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、説明するのが難しいなぁ。社会から弾き出されてしまった人々を描いているのですが、観ていて辛いんです。まず、エージは、それまでスポーツでチヤホヤされてきたのだと思うのですが、怪我で誰にも見向きもされなくなり、孤立して行ってしまいます。スギオはクラスで友人がおらず、ウリをしているクラスメイトの洋子が好きで、彼女をずっと目で追っています。

 

そんな学校から弾き出されたような二人が、河川敷で出会ったのがタロウという少年。彼は、学校に行ったことが無く、名前も母親に呼ばれたことがほとんどないのでよく判らないようで、二人は彼にタロウと名付けて、呼ぶようになります。母親はネグレクトで、タロウは役所に届けてもいないようで、戸籍も無いのではないかと思われます。

 

 

二人にとっては、自分たちより不幸なタロウとつるむ事により、何とか自分の居場所を見つけて生きているという感じだったのだと思います。そして、そんな彼らの近くには、高額で障がい者を預かり、収容所のようなところで飼い殺しにするという商売をしている、半グレの吉岡という男がいます。

 

家族が面倒が見切れなくなった障がい者を、その収容所に捨てるんです。確かに、障がい者を持つ家族の方のご苦労も理解出来るんです。かといって、面倒を見切れないからという考え方にも同意は出来ず、本当にやるせない気持ちが沸きあがって、嫌な気持ちになりました。でも、こんな現実もあるのかもしれません。

 

 

戸籍も無く、教育も受けたことが無いタロウという少年から見た社会というものが、どういうモノなのかという事が描かれていて、キツい映画でした。だって、こんな状況は現実にあるのだろうと思えるんですもん。映画だからって、笑っていられないんです。

 

辛い状況の3人の少年を、菅田さん、仲野さん、YOSHIさんが、素晴らしく演じていました。表情が凄く良いんです。笑いながらも、そこには乾いた心があり、理解されないという苦しみが宿っていて、本当に観ていて苦しくなりました。このYOSHIさん、役者は初めてらしいのですが、タロウという戸籍も無く、知識も無く、精神的にも少し壊れているような少年を良く演じていました。上手いとは言えませんが、ちょっと気味が悪い感じで、知識が無ければ、こんな感じなんだろうなということは伝わってきました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。これは、単館系映画が好きな方に、特にお薦めです。大森監督の作品で、「ぼっちゃん」や「光」の雰囲気を繋いでいる感じでした。大森監督の作品は、人物の内面を深く描いている作品が多いので、心にグッとくるんですよねぇ。私の好きな監督なのですが、あまり一般的とは言えないので、万人受けはしないかもしれません。でも、私は好きな作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

タロウのバカ|映画情報のぴあ映画生活

 

 

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