「キュクロプス」自主製作映画との事ですが、そこらの邦画より絶対に面白いですっ!お薦めッ! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「キュクロプス」の完成披露試写会に行ってきました。

 

ストーリーは、

妻とその愛人を殺した罪により投獄され、14年の服役を終えて出所した篠原は、妻を殺し自分を陥れた真犯人に復讐するため、事件が起きた町に帰ってくる。事件の捜査を担当した刑事・松尾と、松尾の情報屋である西の協力を得て、真犯人がヤクザの若頭・財前であることを突き止めた篠原は、財前を殺害するため準備を始めるが、同時に事件の記憶がよみがえり、悪夢に苛まれるようになる。そんなある日、ふらりと立ち寄ったバーで、亡き妻と瓜二つの女性ハルと出会ったことから、事態は思わぬ方向に転がり始める。

というお話です。

 

 

刑務所に服役している篠原の前に、刑事・松尾が現れる。篠原は、妻とその愛人を殺した罪で服役しているのだが、アルコール依存症で記憶が無く、自分が殺したという自覚は一切無い。しかし裁判で有罪となり服役しているのだった。そんな彼の前に刑事が現れ、篠原の事件には裏があり、真犯人は他にいるのだが、警察の都合で篠原を犯人とし、裁判もあっという間に結審したというのだった。

 

模範囚となり早めに刑務所を出た篠原は、松尾に事件の資料を貰い、真犯人はヤクザの若頭・財前であることを聞かされる。そして、財前の組の下っ端らしい若者・西に情報を貰い、財前を殺害する為に準備を始める。今も妻を愛している篠原は、自分が妻を殺すはずはないと思っており、松尾と西の話を聞いて、やっと自分の無実が判り、これでやっと復讐が出来ると思い始める。

 

 

復讐の準備を着々と進める篠原だが、ある夜、寂しくなり、ふとバーに立ち寄る。そのバーには、正面にオディロン・ルドンの「キュクロプス」の絵が飾られており、その絵に惹かれていくと、バーのママが現れ、何故か篠原の死んだ妻に瓜二つだった。驚く篠原だったが、別人と分かり、バーで、悩んだ挙句、コーヒーを頼んでしまう。後から入ってきたヤクザ風の男たちの会話で、そのママが財前の愛人であり、そいつらが部下だという事が分かる。つい、その部下たちをボコボコにしてしまった篠原は、逃げるように店を後にし、何とか財前への復讐が発覚しないように誤魔化す。

 

しかし、そこで財前の関係者たちに出会ってしまった事が、段々と篠原の周辺の状況を変えていく。そして・・・。あとは、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、自主製作映画ということで、情報が少なかったし、あまり期待していなかったのですが、凄く面白くて、ちょっと驚きました。脚本がとてもよく出来ていて、最初から最後まで、緊張感が途切れず、ずっと楽しめました。この大庭監督って、「シン・ゴジラ」の助監督をやられていて、樋口監督にも逸材と言われていたそうです。

 

自主製作で、このレベルまで上げてくるって、最近、本当に凄いですね。はっきり言って、今、映画館で上映されている邦画より面白いですよ。だって、良く練られていますもん。出演者は、池内さん以外は、それほど知られている方々じゃないけど、でも、演技も上手いし、迫力が違うんですよねぇ。撮影の仕方が上手いのもあるかも知れませんが、何でだろう、なんだか、本当に最初から最後まで、面白かったんだよなぁ。

 

 

主人公の池内さん演じる篠原が、最初から最後まで、周りに振り回されて、とっても可哀想なのですが、でも、ちゃんと最後に良い着地点にたどり着くんですよねぇ。最近の映画って、あっちだ、こっちだと振り回しておいて、最後、着地はするんだけど、あれはどうした?これはどうした?って、謎を回収しないままで、放置するとかが多いので、ちゃんとした映画を観せてくれよって思っていたのですが、やっとこの映画にたどり着きました。最後、気持ち良く着地させてくれました。これこそ、映画だと思うんです。ハッピーエンドでも、不幸なエンドでも、ちゃんと着地させてくれれば、その映画は最高なんです。それが、この映画は出来ていました。

 

 

オディロン・ルドンの「キュクロプス」がテーマになっているのですが、このキュクロプス、一つ目の巨人で、人間を食べる怪物なのですが、このルドンのキュクロプスは、優しい目で隠れている女性ガラテアを覗き込んでいます。狂暴な面を持ちながらも、愛した女性に対しては、最後まで愛を貫くという事なのかなと私は解釈しました。この映画もそうなっているかは、映画を観てくださいね。

 

 

ルドンは、神話の絵や花の絵が有名ですが、私は、ルドンの「サロメ」の絵が好きです。サロメと言ったら、モローの絵が出てくるだろうけど、ルドンのサロメは、ヨハネの首を盆に載せて、やっと手に入ったというように幸せに微笑んでいるように見えるんです。好きな人を自分だけのモノにしたという満足感からなのか、ゾッとしながらも、好きだなぁと思ってます。この映画も、妻を亡くした夫が、妻の首(想い)を手に入れて幸せそうに微笑む事が出来るのか、どうなんでしょうね。ぜひ、楽しみにしてください。

 

というか、もっと沢山の映画館で上映してください!面白いから。犬も可愛いからっ!しっぽフリフリ西役の斎藤さんも、超イケメンで、舞台でも良く観るしね。名前は有名じゃないかも知れないけど、良く見る役者さんは沢山、出演しています。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。こういう映画を、もっと広げて欲しいですよね。映画祭とかには出品して、いくつも賞を貰っているようなのですが、バックに大きな映画会社が付いていないと、こんなにも映画館で公開して貰えないんですかね。本当に勿体ない!これ、あの「カメラを止めるな!」より、私は好きだなぁ。あれって、ごちゃごちゃして、確かに面白いけど、その場で終っちゃうでしょ。この映画は、観た後に、何度も思い返して考える映画なんです。同じように、自主製作映画だから、こちらも盛り上げて欲しいなぁ。だって、”シン・ゴジラ”の助監督だった方ですよ。面白いに決まってるじゃん。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S: ちょっと思い出しましたが、出所して復讐しようとする感じが、「オールド・ボーイ(韓国版)」に似ている気がしました。あの映画に負けずに良い展開をしてくれますよ。

 

ルドンの「キュクロプス」です。

 

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