「希望の灯り」をドイツ映画祭で観てきました。
ストーリーは、
ライプツィヒ近郊の田舎町に建つ巨大スーパー。在庫管理係として働きはじめた無口な青年クリスティアンは、一緒に働く年上の女性マリオンに恋心を抱く。仕事を教えてくれるブルーノは、そんなクリスティアンを静かに見守っている。少し風変わりだが素朴で心優しい従業員たち。それぞれ心の痛みを抱えているからこそ、互いに立ち入りすぎない節度を保っていたが・・・。
というお話です。
ライプツィヒ近郊の田舎町に建つ巨大スーパー。そこにクリスティアンという新人が入ってくる。在庫管理係に配属され、初めての仕事を教えて貰いながら、一つ一つ覚えていく毎日が始まります。分からないことも多いけど、仲間は優しくて、クリスティアンを見捨てるようなことはしない。
ある日、隣のブロックの係である年上女性マリオンと出会い、彼女に恋心を抱きます。彼女は結婚しているのですが、夫と上手くいっていないようで、不満がたまっている様子。優しくて、何でもテキパキとこなすマリオンはカッコ良くて、クリスティアンは、彼女に近づきたいと思っているのですが、どーも上手くいきません。
そして倉庫の中で使うフォークリフトの技能試験があるのですが、クリスティアンは、あまり操作が上手く出来ません。先輩やマリオンは、上手く使っているのに、出来ない自分にガッカリし、つい昔付き合っていた悪い仲間に会いに行ってしまいます。もう悪いことはしないと決めていたクリスティアンですが、仲間といると楽しくて、何事も上手くいかない自分を忘れることが出来、スーパーの仕事を遅刻したりするようになってしまいますが・・・。あとは、映画を観てくださいね。
この映画、大人しい映画なのですが、とっても良い感じの映画でした。郊外の巨大スーパーで働く人たちのお話なのですが、彼らは、それぞれに色々な問題を抱えているんです。だけど、仕事場では、それを出さずに、みんなで助け合って、楽しく過ごしているんです。一人では寂しいけれど、みんなで協力して、助け合っていけば、何とか生きて行けると思っているんです。
そこへ、一度、道を外れたらしいクリスティアンが入ってきて、仕事を覚えて行くのですが、結構、彼はぼんやりしているというか、器用じゃないんです。なので、そんなに上手く行かないのですが、周りの人たちは、それを責めるでもなく、見守って、助けていくんです。手取り足取り助けるとかではなく、遠くから見守りながら、彼が自分で成長して行くのを、辛抱強く待っていてくれる感じなんです。その温かさが、とても伝わってきて、みんな優しいなって思いました。
クリスティアンとマリオンの恋ですが、マリオンは結婚していて、夫にDVを受けているらしいんです。苦しんでいるようなのですが、クリスティアンには、何もしてあげられることがありません。マリオン自身が、自分で行動に移さなければどうしようもないんです。スーパーの仕事に来ているときだけは、夫から離れ、楽しい時間を過ごせるようで、そんな彼女を好きだという事を告白しようと、クリスティアンは考えているんです。でも、目の前に行くと、何も言えなくなっちゃうんですよねぇ。可愛かったです。
そんな若者たちを見守りながら、年配の従業員は色々な事情を抱え、孤独に耐えられなくなったりと、人に相談できない問題を抱えていることが分かってきます。若い頃は、自分の事で精一杯になってしまうのですが、年配の人たちは、若い人たちの事を心配しながらも、自分が病んでいってしまうという、なんとも辛い生き方をしているんだなという事が描かれていて、観ていて悲しくなりました。彼らの深い闇は、誰も救ってあげることが出来なかったんですね。
巨大スーパーの中を、フォークリフトでスイスイ走り回る姿は、とっても美しくて、映画として美しいなと思いました。こんな描き方もあったんですね。普段はゴチャゴチャしていて、美しいなんて感じたことの無い場所が、こんなにも美しく見えるように描かれているなんて、驚きました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な映画ではありませんが、郊外の街で暮らしている人々のそれぞれの悩みが描かれていて、私は好きでした。人は一人では生きられないのですから、仕事での付き合いでも、知り合った人と助け合う事が生きる希望に繋がっていくのかなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。