【演劇】「CHIMERICA/チャイメリカ」素晴らしい戯曲を日本で舞台化!本当に良い作品でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「CHIMERICA/チャイメリカ」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

現代は現代、NYマンハッタンのギャラリーで写真展が開催されている。そこでは、天安門事件をとらえた、ある一枚の写真が人々の目を引いている。撮影したのは、アメリカ人の報道カメラマン、ジョー・スコフィールド。

 

白いシャツを着て買い物袋を二つ下げた中国人の男が、隊列を組む戦車の前に立つ、それはヒロイズムの写真である。それはある国を、別のある国がとらえた写真である。

 

10代の時に北京で撮影した。戦車男(タンクマン)の行方を追うジョー。彼の中国の友人ヂァン・リンと兄ヂァン・ウェイ。ジョーと恋愛関係に落ちるイギリス人女性テス・ケンドリック。

 

2012年のアメリカ、1989年の中国、時代と国を行き来しながら、彼らは写真が切り取った瞬間の謎に巻き込まれていく。

 

というお話です。

 

 

この舞台、本当に良かったなぁ。このお話が素晴らしいです。日本で上演してくださって、本当に良かった。こういう良質の話は、ぜひ、日本にもってきて、上演して欲しい。

 

この舞台で、この写真の内容を初めて知りました。写真は、有名なものなので見たことがあったのですが、その状況や、後の話などなど、関連した色々な事は興味がなかったので、天安門事件という悲惨な事件があったということは知っていても、それ以上は知らなかったんです。

 

この舞台は、もちろんフィクションですが、そこで描かれる、もしかしたらあったかも知れない話は、衝撃的なものでした。サスペンス仕立てになっていて、戦車男が誰なのかを探していくジョーを描いているのですが、ジョーはアメリカで生まれてアメリカで育った、自由を生きている男性。だけど、彼が探している戦車男は、中国という閉鎖された国で生まれ、共産主義の中で、国の威厳を保つための戦車の前に立って、それを阻止してしまった男なんです。

 

 

その違いは、とんでもなく大きくて、ジョーは仕事の一環として探していたのかも知れないけど、戦車男の方は命に係わる事なんです。その認識の違いが、戦車男であるかもしれない人間を破滅させていくんです。

 

この話の展開が、とても上手いなぁと思いました。同じ時代を生きている二人なのに、全く違う世界を生きていて、その二人が出会っていくというのが、なんとも不思議で、驚きました。もっと内容は複雑なのですが、そこは、ぜひ舞台を観て欲しいと思います。

 

いやぁ、でも、こんなに面白いのに、舞台だけにしておくのは勿体ないなぁ。なんで映画にしないのかしら。これ、映画にしたら、絶対に面白いと思うんです。観ていて、本当にドキドキしましたもん。

 

 

それにしても、こんなに良い舞台なのに、申し訳ないけど、役者さん目当てだけで来ている方が多くて、なんか落ち着かなくて、ちょっとイラつきました。確かに”おっさんラブ”で田中さんフィーバーしているかも知れないけど、それだけで舞台を観に来て、キャーキャーするのは止めて欲しい。特に、今回のような題材で、こんなに心に響く舞台を、理解しようともせずに、役者の顔だけ観ているのは本当に失礼です。

 

田中さん、ジョー役を素晴らしく演じていたのに、残念です。満島さんと眞島さんも、辛い境遇の中国人を良く表現していました。眞島さん演じるヂァン・ウェイが最後に、ほおっておいて欲しいと言ったその気持ちと表情があまりにも辛く悲しくて、一方、連れていかれる満島さん演じるヂァン・リンは、未来がない事を予感させる後ろ姿がなんとも苦しくて、本当にすごい舞台でした。いやぁ、良い舞台だったなぁ。

 

 

私は、この舞台、超!超!お薦めしたいのですが、もうあと、地方公演を数回残すのみかしら。こういう内容に興味のある方にぜひ見て欲しいのですが、チケットは手に入らないだろうなぁ。でも、もし、手に入るようなら、ぜひ、観てみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : この劇作品、小説で読みたいんだけど、書籍化されていないみたいです。これ、小説として出して欲しいなぁ。読みたいなぁ。

 

 

チャイメリカ

https://setagaya-pt.jp/performances/201902chimerica.html