「来る」賛否が分かれる作品だと思いますが、私は高得点を付けたいと思います。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「来る」を観てきました。

 

ストーリーは、

恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう。そして全国から猛者たちが次々と召集するが…。

というお話です。

 

 

ある田舎町の森の中。少年と少女が遊んでいる。少女は少年に、迎えが来たから行かなきゃいけないと告げ、彼にも、その内迎えが来るよ、嘘をついたから、と話し、それからしばらくして、その少女は消えてしまった。町では、神隠しとか、親に殺されたんだとか、噂はあったが、忘れ去られてしまう。

 

その時の少年は、田原秀樹。社会人となり、取引先のスーパーで出会った女性と付き合い、結婚することとなる。彼女の名は香奈。母子家庭で育ち、酷い母親だったが、今はほとんど連絡も取らず、秀樹との結婚に夢を抱いている。結婚前に、秀樹の実家へ祖父の13回忌に行きながら顔見せをするが、少し暗い嫁と印象付けてしまう。

 

 

結婚をした二人は幸せに暮らしており、香奈は妊娠する。子供の誕生を喜んだ秀樹はイクメンパパになると豪語し、ブログを始める。ある日、秀樹の会社に人が訪ねてくる。後輩が秀樹を呼びに来て、”チサさんの事で会いたい”と言っているというので、不思議に思いながらも、後輩と一緒に受付に行くと、誰もおらず、突然、後輩が苦しみ出す。チサとは生まれてくる子供に付けようと思っていた名だったのだ。後輩は、左背中から血を流しており、直ぐに救急車で運ばれるが、何かに噛まれたような跡がついているらしい。その日から後輩は具合が悪くなり、亡くなってしまう。

 

可愛い娘が生まれた秀樹と香奈は、とても可愛がるのだが、段々と、その生活は壊れていく。秀樹は可愛がりながらも子供の面倒は見ず、ブログに良い事を書く為に娘・チサと遊んでいるようだった。香奈は、育児に関わらない夫に嫌気がさし、夫婦仲も冷え切っていた。

 

 

ある日、秀樹が家に帰ると、お守りが切られ散乱しており、香奈とチサがうずくまっている。驚いた秀樹は、友人の民族学者を仲介にして、霊感などに詳しいフリーライターを紹介してもらう。そして、何かが自分の家族を狙っているような気がする事を伝え、ライターの野崎の知り合い

女性・真琴を紹介してもらう。真琴は、何故そうなるのかは判らないが、対処の仕方は判るらしい。秀樹の家族を何かが狙っているようで、真琴は心配して対処をするが、最強の霊媒師である真琴の姉・琴子が連絡をしてきて、妹の手には負えない”モノ”だという。そして秀樹に対処方を知らせるのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

私は、原作を読んでおりまして、映画は、ちょっと原作とは違っていました。原作では、秀樹の実家が問題なのですが、映画では、秀樹自身と香奈でしたね。映画の中で、最初に女の子に”嘘をついたから迎えに来る。”と言われるのですが、嘘って何ぞやって事なんです。人間って、無意識に自分を守るために嘘をついているでしょ。その嘘が、他人をどれだけ傷つけているかなんて考えないで、自分を守り、良く見せる為に嘘をつく。それが”来る”要因なんです。

 

 

そもそも、何が来るのか。原作では、”ぼきわん”という名前が付いていましたが、映画では名前がありません。”アレ”と呼ばれています。そう、こんなモノに名前なんて無いですよね。でもね、ぼきわんって、原作を読むと、海外から来た人から伝わった”ブギーマン”が”ぼぎわん”になったんだろうという見解なんです。明治の頃に偉人が日本に入って、小泉八雲とかが怪談を書いていたという事もあるんじゃないかな。

 

人間の心の闇が、どんどん大きくなって、その思念が強くなれば、敵も大きくなっていく。最強の霊媒師たちが集まってくるんだけど、それでも凄い戦いになって行くんです。この霊媒師たちの闘いは、アクション映画にも勝るとも劣らない感じで、凄かったです。中島監督って、アクションも撮ってましたっけ。良かったです。

 

 

もちろん、中島監督のお得意の、人間の闇をドロドロに描いていましたよ。”嫌われ松子~”や”告白”などでも、まるで泥沼に観ている人間を漬けていくような感覚がありましたが、今回も、今まで以上に、じくじくと泥沼に沈んで行き、抜けられないところまで沈ませて、最期に助けてくれるかと思いきや、頭を抑え付けられるような、そんな感じでした。うーん、恐かった。

 

この映画は、表面だけを観ていたのでは面白味があまり伝わりません。それぞれの人物の心の中のドロドロを、深くまで掘り下げて観てみると、もう、ドロドロで超恐いです。全ては、人間が生み出すもの。子殺しは、神のせいでも、悪魔のせいでもなく、人間のせいなんです。

 

 

でも、自分たちだって、子供の頃があった訳でしょ。きっと、自分たちの親だって、癇癪を起したり、子供をうるさいと思ったりしたと思います。それでも、私たちを育ててくれたし、愛してくれたと思うんです。人間誰しも、天使じゃないんだから、嫌な事もあるし、悪い事をしたりすると思うけど、それでも今、生きていられるのは、どこかで誰かに愛を貰ったからだと思うし、愛を与えた事だってあると思います。それを忘れなければ、”アレ”なんて、迎えに来ないと思うのよ。”アレ”は、人間の心の弱さを糧に育って、強欲になり迎えに来る。

 

そんなに見た目なんて、どーでもイイじゃないですか。自分の好きに生きれば良い。良く見せたって、どこかで誰かに見透かされているんです。大丈夫、そのままでも十分に好きになってくれる人がいるから。

 

 

妻夫木さんが、アホ夫を演じていて、ちょっと笑えたかな。岡田さん、カッコ良かったです。こういう役、合いますね。いつも良い人役よりも、こういう雑で汚い感じの役が私は好きかなぁ。これからも見たいです。小松さんも、どんどん上手くなっていきますね。また違う雰囲気を表現していて、良かったです。松さんは、霊媒師役、超カッコ良かったです。印象に残ったのは、森の中に消えた少女が可愛かったな。赤い靴の少女、恐くて良かったです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、原作を読んでいたし、実は、人間の暗い面を観て、良い部分を見ようという気持ちになったので、”超”を付けて見ました。でもね、ホラー映画だから、恐いのがダメな人は辞めた方が良いかもしれません。但し、普通のホラー映画では無いです。私のように、観た後に希望が見える人もいるはずです。そんなヒューマンドラマでもありました。私は、とても楽しめたので、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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