「エンジェル、見えない恋人」愛があれば姿など関係無いのかもしれない。触れられればそれでいい。

「エンジェル、見えない恋人」を観てきました。

ストーリーは、

パートナーの突然の失踪により、絶望を味わったルイーズは精神病院に収容され、誰に知られることなく、1人の男の子を出産する。エンジェルと名づけられたその子どもは、目に見えない存在であるという、特別な特性をもっていた。ルイーズは世間との接触を絶ち、施設の中で育てていった。そしてある日、エンジェルは盲目のマドレーヌという少女と出会う。目が見えないマドレーヌはエンジェルの秘密に気がつくことはなく、2人は次第に惹かれあい、愛を育んでいくが、ある時、マドレーヌが視力を取り戻すため目の手術を受けることになり・・・。

というお話です。

マジックショーを営む男の助手をしていたルイーズ。そのマジシャンに恋をして、愛し合ったのですが、ある日、彼はショーで姿を消し、そのまま居なくなってしまいます。突然一人になり、その上妊娠していて、ルイーズは絶望し、精神病院へ収容される事となってしまいます。

精神病院で、密かに一人で男の子を出産します。ルイーズは、彼の事をエンジェルと名付け、大切に育てるのですが、その男の子は透明人間だったんです。なので、ルイーズが妊娠していた事も、出産した事も、病院関係者は誰も気が付かず、生まれてからも、その姿は見えないので、ルイーズは自分の病室の中で、静かにエンジェルを育てて行きました。

日に日にエンジェルは成長して行き、ある日、病室の窓から見える所に住むマドレーヌという女の子に興味を持ちます。彼女を好きになったエンジェルは、外に出て、マドレーヌを訪ねると、彼女は盲目であり、エンジェルの姿が見えない事に気が付かず、普通の男の子の友達として仲良くなって行きます。

ある日、マドレーヌは目の手術をする為に旅立ち、一方、エンジェルは、母親のエレーヌを亡くし、一人で病室を後にします。そして、森の中にある小屋に住む事にし、そこでマドレーヌが帰ってくるのを待っていました。そして、目が見えるようになったマドレーヌが帰ってくるのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。

不思議なファンタジー映画でした。面白い映画なのですが、ファンタジー部分についつい、ツッコミを入れたくなってしまい、うずうずしてしまいました。これ、考えてみると、最初のルイーズが本当に精神を病んでいたということかもしれないんですよ。そうなると、パートナーの男もおらず、妊娠も想像妊娠だったということで、エンジェルという子供はいなかったという事になっちゃうんです。でも、まぁ、そんな夢の無い話はせずに、透明人間のエンジェルは存在したという事で、話しは進んで行きます。

エンジェルの目線での映像になるので、彼が見ている人々が画面に出てくるのですが、彼は透明人間なので、誰が目の前に居ても、その人々はエンジェルを見ていないんです。目の前にいるのに、自分を捉えていないという映像が、とっても不思議で面白いと思いました。

そんな中で出会う盲目の少女マドレーヌは、目が見えないので、そこにエンジェルが居ても目で追わずに、感覚で追っているので、そこにエンジェルという人物がいると、ちゃんと認識するんです。なので、二人はお互いに認識し合っていて、恋も出来るんですよ。何だか不思議でした。視力が在る無いで、全く見えるものが違うのだというところが、とても面白いと思いました。やっぱり目が見えてしまうと、心の目は見えなくなってしまうんですかね。

映画としては、とても面白い映像だったと思います。だって、主人公の姿が一度も出てこないんですから。彼が見ている世界だけが画面に展開されて、だけど、周りからは彼の姿は見えないという、不思議な映像でしょ。とても美しかったです。本当に夢の中にいるような、そんな雰囲気でした。もしかしたら、ルイーズの夢の中のお話なんだろうか、それともマドレーヌの夢の中のお話なんだろうかと思ってしまうほどでした。

日本では、あまりこういうファンタジー映画って無いですね。漫画や小説などではあるのですが、映像では観た事が無いので、ちょっと嬉しくなりました。そして、もしかしたら、目の前にいるけど、自分が観ていない人々がいるのかもしれないなんて思ってしまうような、そんな映画でした。

私は、この映画、お薦めしたいと思います。人に気が付かれない辛さと、気が付かれないからこそ気づくこと、そして愛に姿は関係無い事が感じられて、幸せになれる映画でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。

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