舞台「ゲゲゲの先生へ」を観てきました。
ストーリーは、
平成60年。
日本では子どもが生まれなくなり、人工が激減している。
人は都市に身を寄せ合い、田舎は打ち捨てられて植物に飲み込まれている。都市は権力者たちによる抑圧的社会で、今や、貴重な妊婦と赤子は政府の管理下に置かれている。
そんな時代、とある廃村に根津という男が一人で暮らしている。
彼は、半分人間、半分妖怪の半妖怪。
根津が村に流れ着いた頃には住人もおり、あちこちに妖怪の姿が見られた。だが村人が減り、子どもが生まれなくなるのと並行して妖怪たちは姿を消す。一人村に残った根津は、何かを待つように十年以上、まどろみの中にいた。
根津の眠りを破ったのは、年から逃げて来た若い男女・忠と要。突如現れた「怪物」によって、年は攻撃されているという。妊娠した要を守ろうと、二人は混乱に乗じて都市を脱出したのだ。根津は二人に自らの過去、村の変遷を語り出す。
そこに立ち上がるものとは・・・。
というお話です。
水木しげる先生へのオマージュ的な作品で、今のまま人間が同じように進んで行ってしまったら、こんな世界が未来に待っているのではないかという感じのお話でした。
子供が生れなくなる。それは現実に起こっているし、今後、どんな風になって行くのか分かりません。本当に生まれなくなっているのか、人間が産まなくなっているのか、それはどちらとも言えません。人間の結び付きが薄くなっているし、他人と関係を持とうとしなければ、結婚や交際に結び付かず、子供は生まれない。
運良く、相手が見つかっても、子供を持って育てていく責任を背負いきれるかという選択になると、尻込みしてしまう人もいるのではないかと思います。反対に、子供が欲しくても、どうしても授からないカップルもいますよね。本当に、なんで上手く行かないんでしょ。
でもね、子供が生れにくくなったのは、人間の生殖能力が落ちているというのも考えられるのではないかと思っています。生活は安定し、食べ物も良くなって、別に、次の世代を早く生み出さなきゃいけないという切迫感が無くなったというのもあると思うんですよね。
子供が居なくなり、人々が都市に集中し、過疎地が増えて、誰も妖怪の事なんて思い出さなくなったら、そりゃ、妖怪たちも生きていられなくなっちゃいます。無いも無い空間に、何も無く生きて行く事は出来ないですもん。人間が居て、人間の想像力を食べて生き長らえるのが妖怪じゃないかと思うんです。そんな妖怪の姿を、ここでは描いていました。
主人公の根津は、なんとなーく、ねずみ男のイメージなのかなと思いました。ねずみ男って、裏切ったり、悪い事もするけど、最後の最後で鬼太郎の事を助けてくれるでしょ。今回もそんな感じで、人間を悪く思いながらも、ちゃんと味方をしてくれるんです。きっと、彼は、理屈は分からないながらも、何となく人間が居てくれないと妖怪がそこに存在が出来ない事を分かっているようでした。だからこそ、嫌々ながらも人間を助けてくれるのだと思います。そして、きっと、他の妖怪たちも、本当は人間の味方で、共存したいと思っていたと思います。でも、全てを人間が壊して行ってしまった。そんな事を訴えていました。
やっぱりねぇ、どこもかしこも便利になってしまうのも考え物です。綺麗に整備されるのも、問題ですよね。建築をやっていると解るけど、ハッキリ言って、人間が造成するから沢山の天災が起こるんです。崖地だって、人間が切り開かなければ、土は硬いままで崩れてくることはなかったのに、掘り起こして造成してしまうから、柔らかくなって、雨などで崩れてしまう。だから、人間が手を入れていい場所と、いけない場所があるんだと思うんです。いくら儲かるからっていって、何処でも土地を広げて、住宅地を造って良い訳が無い。都心は、もう切り開かれてしまったのだから、その場所に、上に重ねて行けば良いんです。新しい場所を掘るなって言うのよ。そこに生きるものたちを、そのまま静かに置いておいてやるべきなんです。
そんな事を、じんわりと考えてしまう作品でした。いいお話だったなぁ。うん、凄く分かるんです。子供が生れないからって、政府が子供を取り上げて大切に育てるだなんて、ダメでしょ。ただ育てりゃいいってもんじゃないのよ。人間なんだから、目一杯の親の愛情を与えてあげないといけないの。間違った方向に進んじゃダメですよ。
私は、この舞台、超!お勧めしたいと思います。凄く観て欲しいけど、チケット入手は困難だろうと思いますが、もし、もし、手に入る事があったなら、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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