「日日是好日」季節の様に生きる一生を、樹木さんが感情豊かに示してくれました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「日日是好日」の試写会に行ってきました。

 

ストーリーは、

「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子は、タダモノではないと噂の「武田のおばさん」が茶道教室の先生であることを聞かされる。母からお茶を習うことを勧められた典子は気のない返事をしていたが、お茶を習うことに乗り気になったいとこの美智子に誘われるがまま、流されるように茶道教室に通い出す。見たことも聞いたこともない「決まりごと」だらけのお茶の世界に触れた典子は、それから20数年にわたり武田先生の下に通うこととなり、就職、失恋、大切な人の死などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていく。

というお話です。

 

 

20歳の大学生の典子は、まだ何をして良いのか、目標が見つけられず、何となく学生生活を送っていた。そんなある日、母親が、近所の「武田のおばさん」の所作がとても綺麗だとほめて、彼女が茶道教室の先生であることを典子に話す。別にと思っていた典子だったが、従妹の美智子が習うと言い、流されるまま一緒に通う事になってしまう。

 

武田先生の茶道教室に二人で通うようになり、細かい作法を習って行くのだが、その動作にどんな理由があるのか気になって聞いてしまうと、先生に”頭で考えてはいけない、身体で覚えるものだ。”と返されてしまう。その所作の意味も分からないまま、言われるままに作法を習い、段々と身について行く。

 

 

そんな日々の中、日常は、大学を卒業し、仕事に就きと、目まぐるしく変わって行く。典子は、卒業して出版社の記事を書くアルバイトをしていたのだが、キチンと就職をした方が良いのかと思い、就職試験を受けるのだが、全て落ちてしまう。しかし、その頃から出版業界には”フリーライター”という人間が存在するようになり、典子も就職はしなかったが、ライターとして独り立ちするようになっていく。

 

変わって行く社会の中だが、茶道で習う事は、何年たっても変わらず、習えば習うほど、その美しさは繊細さ、季節の変化などに気が付くようになって行く。変わって行く社会の中でも、変わらない人間の営みがあり、毎年、年を重ねて行くことが、どんなに素晴らしい事なのかを学んで行く。そして25年もの歳月を武田先生にお世話になり、その絆も深まって行く。後は、映画を観て下さいね。

 

 

樹木希林さんが亡くなられて、最初の公開となる新作です。樹木さんの優しい笑顔が、何とも美しく、考えさせてくれる作品でした。

 

作品としては、典子の25年間を描いているのですが、ハッキリ言って、何も起こりません。普通に日々を過ごしている姿を、淡々と描いていく映画です。でも、そんな日々の中にも、季節が変わり、成長していく典子たちの姿と、何も変わらない武田先生の茶道のお稽古が、いい感じで対比していて、とても穏やかで美しい映画でした。

 

 

チラシに「人生のバイブル!」と書いてありましたが、本当にそんな感じでした。この映画を観て、何か凄い楽しむというモノではなく、毎日、毎日が、色々な事があるけれど、それぞれに良い日であることに変わりはなく、辛い日々でも、後から思えば、良い思い出になり、という感じのお話でした。

 

この試写会、近所のシネコンで当たりまして、母親と一緒に行ってきました。武田先生の茶道は表千家でしたが、母が受け継いだのは裏千家だったらしく、ちょっと違うなぁと話しておりました。お茶会の場面を、「横浜の三渓園」というところで撮影していて、母も私も良く知っている場所なので、嬉しくなりました。

 

 

茶道と言っても、細かい作法はあるけれど、初心者は間違ったって仕方が無いし、少しづつ時間をかけて習って行くのが良いように見えました。慣れない着物を着て、難しい所作をするので、転がったり、つまづいたり、楽しかったですよ。私も、時々、自由にお抹茶をたてて飲んでいるのですが、時には、一人でゆっくりお抹茶でも飲んで、考えてみるのも良いなぁと思いました。美味しいお菓子も食べながら、静かに心を落ち着ける時間って、大切だと思いませんか?そんな事を教えてくれるような映画でした。

 

内容的には、何も起こらないし、まるでヒーリング映画のようでした。というか、これ、ヒーリング映画としても良いんじゃないかな。映像を流しておいて、感じるままに穏やかに眠ってしまっても良いし、見ながらくつろいでも良いし、本当に素敵な映画でした。

 

 

それにしても、樹木さんの最後の方のセリフが心にグッときました。抹茶茶碗を出している時に、犬の茶碗を出して、戌年だからこれを使おうと言うんです。すると、12年に一度しか使わないとすると、一生に4回ほどしか使わないんですねというんです。次に使う時は、自分がどうしているのか、時間は流れて行くけど、茶碗は同じで、お茶も同じ。毎年、お正月を迎えられるのは、本当に幸せなことだというんです。来年も同じ時が訪れると良いねという感じに話していて、何だか、ジーンときました。亡くなられたのは悲しいけど、毎年、良かったと思って生きていられたのなら、幸せな人生だったのではないかなと思い、ゆっくりしてくださいという気持ちになりました。

 

 

何だか、凄く穏やかになって、お抹茶でもたてて、一日ぼーっとするのも必要だなという気持ちになりました。私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。本当に、何も起こらずに、面白いとかいう内容では無いのですが、人生には、こんな風に無駄な時間というか、ゆっくりする時間が必要なんだよなという気持ちにさせてくれる映画でした。私は、とても好きな映画です。やっぱり、茶道、習おうかな。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

日日是好日|映画情報のぴあ映画生活