「英国総督 最後の家」を観てきました。
ストーリーは、
最後のイギリス統治者として、インドのデリーにある総督の家にやってきたルイス・マウントバッテン。宮殿のように豪華な総督の邸宅では、ヒンズー教、イスラム教、シーク教などさまざな宗派の教徒たち500人が使用人として階下で働き、ルイスと家族が暮らす2階では、政治のエリートたちが、独立後に統一インドを望む多数派と、分離してパキスタンを建国したいムスリムたちとに分かれ、連日連夜の論議を続けていた。そんな日々の中、使用人のインド人青年ジートと令嬢秘書のアーリアが、宗派の違いを超えて惹かれあうのだが・・・。
というお話です。
第二次世界大戦で国力が疲弊したイギリスは、植民地であるインドを独立させ、手を引くことを決定する。チャーチルは、最期のインド総督として女王の遠縁であるマウントバッテン卿を派遣し、主権譲渡を円滑に進める様にと依頼する。
家族と共にインドの官邸に入ると500人に使用人がおり、母国イギリスとは違い、こちらでは贅沢な暮らしを送っていることを知る。そして大勢いる使用人は、それぞれに宗教が違い、使用人間でも宗教での諍いがあるようだった。
新しく官邸の使用人となったヒンドゥー教のジートは、同じ職場にいるムスリムのアーリアに恋をしていた。アーリアは、ジートに好意はあるものの、親の決めた同じムスリムの男性と婚約をしており、親の期待を裏切る事が出来ず、親の言うままに結婚をするつもりだった。
インドの独立問題を何度も協議をするのだが、どの宗教も自分たちの主張を変えず、インドとイスラム教主体のパキスタンとの2国に分けて独立するのが良いという方向に段々と向かってしまう。しかし、ガンディーは最期まで2国に分けるのではなく、インドという1国にして、イスラム教のトップであるジンナーを首相に据え、他の宗教はそれに従い、平穏を保つべきだと主張するが、受け入れられない。
そんな協議が続く中、インド国内の宗教間の対立は大きくなり、沢山の虐殺が行われ始めてしまう。虐殺を止めなければと慌てたマウントバッテンは、一度イギリスに帰り、チャーチルと独立について、再度の話し合いに挑み、そこで何故自分がインド最後の総督に選ばれたのかという真実を知ることになる。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、素晴らしかったです。私、インドの独立に、こんな事があった事を、全く知りませんでした。それ以前に、まず、インドから別れたのがパキスタンとバングラデシュだということも、この映画を観るまで知りませんでした。お恥ずかしいです。だって、昔の事だし、もしかして歴史の勉強でしたのかも知れないけど、学校で授業なんて聞いてなかったもん。でも、この映画で知って良かった。
イギリスの植民地だった頃は、それなりに安定していたのかしら。軍の力で統治していたから、どんなに宗教対立があっても、ある程度で収まっていたのだと思うのですが、いざ独立となり、イギリスの軍が撤退し、インド国民だけでやらせようとすると、全く警察も動かず、大変そうでした。警察の中でも、宗教間の対立があるんですから、仕方ないですよね。
日本は、本当に強い宗教が無くて良かった。こんな狭い国の中で、宗教によっての対立で内戦とかが起きたら、あっという間に国が崩壊していただろうから、恐ろしいです。このインドでは、この独立に当たり、宗教間の対立で、何万人というムスリムやヒンドゥーの方々が虐殺され、どうしようもない状態に陥り、ガンディーが仲裁にはいって、やっと収まったという事です。酷いでしょ。同じ民族なのに、宗教が違うだけでこんなに殺し合うなんて、在ってはいけない事ですよね。神様って、命を奪ってはいけないっていう教えじゃないの?本当に理解が出来ない神様たちです。
そんな混乱の中で、ヒンドゥーの男性とムスリムの女性が恋に落ちるのですが、こんな状態では上手く行きませんよね。その上、国まで分かれてしまうとなったら、絶対に結ばれなくなってしまいます。普通なら、じゃ、どちらかが改宗すればイイじゃんって思うのですが、彼らはそういう事が出来ないんでしょうね。可哀想でした。
それにしても、この最後の総督の奥さんが素晴らしい方でした。実際もそうだったようです。とても頭が良く、無駄を省いて、人種の差別もせず、使用人の言葉を聞き、人民の意見を聞く、女性でした。そんな母親を見ているので、娘も市民の子供に勉強を教えたりと、人民に寄り添う方々でした。そんな家族だからこそ、チャーチルに最後の総督に丁度良いと任命されてしまったんでしょうね。人が良いと、ずる賢い奴に利用されてしまいます。ま、チャーチルも、色々考えて、彼しかいないと思ったのでしょうけどね。
この総督の奥さん役、ジリアン・アンダーソンさんでした。私、彼女は、X-ファイルで大好きだったんです。この役も素晴らしかったなぁ。
この映画、本当に面白かったです。私は、超!超!お薦めしたいと思います。もっと取り上げられてよいと思うんだけどなぁ。なんで話題にならないんだろう。こんな凄い歴史を知らないで、カレーを食べちゃダメだよ。(笑)ドラマ的にも凄く面白いし、実在の人物にとても良く似ていました。それに、この映画の監督は、この独立で必死で分かれた国間を移動して生き長らえた女性のお孫さんです。お婆さんに子供の頃から聞いていたお話を映画にしたのかなぁと思います。素晴らしいでしょ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
P.S : 最初の方で、犬の餌と言って”チキン”が出てくるのですが、総督の妻と娘が目を丸くして、それを摘まむ場面があります。この1シーンで、戦後のイギリス本土が非常に貧しかったことを描いていて、上手いなぁと思いました。見落とさないでくださいね。
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