「羊と鋼の森」素晴らしいピアノの音色に合わせ、人の気持ちも柔らかくなって行く。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「羊と鋼の森」を観てきました。

 

ストーリーは、

将来の夢もなく生きていた外村は、高校でピアノ調律師の板鳥と出会い、板鳥の調律したピアノの音色に魅せられ、その日から自身も調律の世界を目指すことを決意。専門学校を出て新米調律師として働くようになった外村は、調律師の先輩・柳やピアニストの高校生姉妹・和音と由仁ら、調律を通して知り合う人々とのかかわりによって、調律師として、そしてひとりの人間として成長していく。

というお話です。

 

 

高校生の外村は、まだ進路が決まらず、鬱々とした日々を過ごしていた。ある日、体育館のピアノを調律しに来た板鳥と出会う。板鳥は、ピアノを開き、細かい調律を行い、ピアノに素晴らしい音色を蘇らせる。驚いた外村は、そのピアノの音色に魅了され、自分もピアノの調律師を目指したいと思い始める。

 

外村の家は、代々林業を営んでいたのだが、彼は、どうしても調律師になりたいと話し、調律師の専門学校へ進学する。そして専門知識を身に着け、地元の楽器店に就職することになる。その楽器店は、あの板鳥の店であり、その会社には、他にも何人かの調律師が勤務していた。

 

 

調律師としてスタートを切った外村は、先輩の柳に付いて、何台ものピアノの調律に立ち会いながら、沢山の勉強をしていく。そして、調律とは、ピアノを弾く人によって、その内容を変えていく必要があることを覚えていく。そしてピアノ奏者を知る為には、人としての成長が必要な事を知って行く。何度も失敗し、挫折を味わうが、そんな彼を温かく見守る家族と、外村の事を育てた森の木々を思い出し、また、新しい一歩を踏み出して行く。

というお話です。

 

素敵で静かな映画でした。本当に派手では無く、動きも少ないのですが、その”静”の中に、人間の本質に関わる大切な事が隠されている事を描いていて、感動作でした。

 

 

ただ、この作品、感想を書くのが凄く難しいです。青年の成長物語であり、とても分かり易く、伝えたい事をそのまま描いているので、裏とか、深い部分が少ないんです。全部説明されてしまっているから、解説も必要無いし、ここが憎いよねぇ~みたいな、裏の気持ちみたいなものも、主人公に無いんですよ。だって、主人公、凄く素直で良い子なんですもん。実家との確執的なモノも、隠しているように見えて、誰にでもわかるように描かれているので、映画自体が、とっても素直なんです。

 

 

1エピソードだけ、これは良いと思った部分がありました。南隆史という男性の戸建住宅に行くと、家の中はゴミが散乱し、彼はぼんやりしているだけ。家に入ると、ピアノがあり、調律を始めます。すると、男性の過去が垣間見えてきて、幸せだった時代が映し出されます。両親とペットの犬との幸せな生活が、今は、両親は亡くなり、犬も亡くなってしまったらしいのです。ピアノを調律してピアノが生き返ると、孤独だった彼に最期に残された希望がピアノだった事が分かり、彼も生き還るのですが、本当に短いエピソードなのに、この話ひとつで、ピアノが、人々にどんな存在なのかを教えてくれていて、感動でした。

 

 

南を演じていた森永くんって、イイよねぇ。「ちはやふる」の時も良いと思ったんだけど、今回も、ちょっとの出演なのに、とても印象に残りました。子役からやってらっしゃるからかも知れませんが、表情の出し方が上手いのよ。これからも期待しています。

 

山崎くんは、いつも通りの彼かな。私の好きな鈴木さんも、良い役でした。光石さんや吉行さんも出演されていて、締めるとこは締めてたかな。城田さんも出てたなぁ。でも、やっぱり、三浦さんが、全てを押さえていましたね。彼が居るだけで、調律師の仕事が、表に出なくても重要な仕事なのだと言う事を印象付けていました。

 

 

上白石姉妹、可愛かったなぁ。透明感のある、ステキな姉妹が出てきてくれましたね。私、妹さんの方の萌歌さんを、しっかり観たのは初めてかしら。お姉さんの萌音さんとはちょっと違うかな。萌音さんは、静かで確実な雰囲気だけど、萌歌さんは明るい雰囲気で、映画の中のピアノと同じ印象でした。というか、映画が二人にその印象を与えたのかな。

 

音にとってもこだわっていましたね。この佐倉姉妹のピアノの音が、本当に違う事に驚きました。同じなのに、こんなに違うように聞こえるんだと思って、音に気を使っているんだなぁと感動でした。映画音楽ですから色々な操作をしているんだろうけど、ピアノの調律でこんなにも音が違うように聞こえるのかなと、ちょっとびっくり。我が家のピアノも調律して貰わないとなぁ~。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な映画ではありませんが、静かな感動を与えてくれて、心が穏やかになります。疲れている時とかに、この音楽を聞きながらの感動作は良いかも知れませんよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

P.S : サントリーホールのツアーに参加した時、生の調律を見せて頂きました。スタインウェイのピアノです。サントリーホールには沢山のピアノが保管されていて、一日に何台も調律をするそうです。その日の温度や湿度を考えての大変なお仕事のようでした。

 

 

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