「30年後の同窓会」を観てきました。
ストーリーは、
男ひとりで酒浸りになりながらバーを営むサルと、過去を捨てて牧師となったミューラーのもとに、ある日、30年にわたって音信不通だった旧友のドクが突然現れる。ドクは1年前に妻に先立たれ、2日前に遠い地で息子が戦死したことを2人に打ち明け、死んだ息子を故郷に連れ帰る旅に同行してほしいと依頼する。30年前のある事件で大きく人生が変わってしまっていた3人は、ともに旅をし、語り合うことで、人生に再び輝きを取り戻していく。
というお話です。
ある町のバーに一人の男が入ってくる。店主のサルは、男に注文を聞き、出すと同時に、常連客との話に夢中になっている。そこへ、男が、私を覚えていないかと問い掛ける。男の顔をまじまじと見たサルは、”ドク!”と叫び、30年間音信不通だった旧友を思い出す。サルとドクは、若い頃、海兵隊員として、一緒に戦地へ行っていたのでした。
ドクは、1年前に妻を亡くし、2日前に、軍に入っていた息子が戦死したという知らせを受けたという。サルに、息子を受取りに行くのについて来て欲しいと言うのだ。快く引き受けたサルと一緒に、車で出発すると、ドクが、ある場所に先に寄って欲しいと言う。ドクの言う場所に行くと、ひとつの教会が。礼拝堂に入ると、牧師が説教をしている。その牧師を見ると、二人と同じ部隊にいたミューラーだった。ドクがネットで彼を探したらしい。渋るミューラーも誘い、一緒に、ドクの息子を迎えに、アーリントン墓地に行くと何も無く、ドクが調べるとまだ輸送中らしい。
次の日、空輸されてきた幾つもの遺体は並べられて、遺族に面会する事となる。ドクは、戻ってきた息子に会おうとするが、軍の大佐が、酷い状態なので、顔を見ない方が良いと話す。しかし、サルは、最期なんだから後悔しないようにショックでも会っておくべきだと話しかける。止める上官をどかして、ドクは息子の顔を見る。酷い状態の息子を見て、ショックを受けるドク。そんなドクを見ながら、サルは、横に居た同じ部隊の兵士に、本当はどうやって死んだのかと聞きだしてしまう。
上官から聞かされていた、キレイごとの戦死の状況では無く、本当の事を知ったドクは、息子を軍の英雄として眠らせるアーリントン墓地に埋葬するのではなく、自分の息子として、故郷の墓に埋葬すると話します。そして、遺体を持って行こうとするのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、良い映画でした。日本は徴兵制度が無いので、家族が戦争に行く事は無く、戦死などあり得ないので、あまり理解が出来ない方の方が多いかも知れませんが、震災の時の被災地の状況を思えば解るんです。
もし、息子が消防士で、被災地に赴任していて、事故で亡くなったとしたらどうでしょう。犠牲者を助ける途中で、建物の下敷きになって犠牲になってしまったと説明されて、彼は英雄ですと言われ、迎えに行きます。息子の身体は潰れてしまっていて見るに堪えない。でも、誰かの為になったのだからと、自分を慰めて納得しようとするのですが、その時、同僚の消防士から、上司命令で被災地で買い物に行っていて、たまたま落ちてきた岩に潰されたと言われたらどうでしょう。消防士なんかにするんじゃなかったと思いませんか?何のために、息子は死んだんだって思いますよね。これは、例えですが、こんな感じなんです。
酷い状態の息子を、そのまま軍に置いておきたくないと思うのは当たり前ですよね。国の為に必要な犠牲だったのだろうけど、辛くて一人では迎えに行けないから、30年も音信不通だった友達を頼って一緒に行って貰ったのに、その死が必要なものじゃなかっただなんて、ドクの気持ちが痛いほど解って、辛くなりました。そりゃ、運が悪い事もある。だけどね、それをちゃんと言ってくれないで、軍で英雄だなんて言って、忠誠心の鏡みたいにされて、プロパガンダに使われるなんて、許せないでしょ。自分の息子は、自分の所で眠らせたいですよ。英雄なんかじゃなくて、自分の息子として。観ていて、軍のやり方に腹が立ちました。
サルもミューラーも、そんなドクの気持ちを、理解するんです。そして、自分たちが若い頃、ベトナム戦争時にやった悪業で、苦しんで死んで行った同僚の姿を思い出します。そのせいで、ドクは刑務所に2年程入っていたらしいのですが、ドク一人が、全ての罪を被って、入っていたらしいんです。ドクは、とってもイイ奴だったらしいの。だから、この二人は、イヤだと言いながらも、どこまでもドクの為に動くんです。戦地で一緒に戦っていたからこそ、30年離れていても、以前と同じようにお互いを思い合って、ついて行くんです。
笑っちゃうような珍道中で、とっても楽しいのですが、楽しい中に、凄い友情と、人間の尊厳、息子への愛が詰まっていて、感動でした。愛しているからこそ、死んだってオレが守るんだっていう父親の思いが、何とも切なくて、強くて、素敵でした。
スティーブ・カレルが父親のドクを演じていて、いつもとは違う、落ち着いた役をやっていました。ブライアン・クランストンがサル、ローレンス・フィッシュバーンがミューラーで、それぞれに、とても良い味を醸し出していました。ブライアン・クランストン、カッコいいなぁ。ステキなオジ様で、ついて行きたくなっちゃった。ローレンス・フィッシュバーンは、モーフィアスの時から大好きです。ステキですね。この3人、素晴らしかったです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当は、超!を付けようとしたのですが、イマイチ、万人に、この息子が戦死するという意味が日本では解り難いかなぁと思い、超!を抜きました。でも、私の中では、超!です。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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