「BPM ビート・パー・ミニット」エイズへの偏見で苦しんだ人々は、今は幸せになってくれたかしら。

「BPM　ビート・パー・ミニット」を観てきました。

ストーリーは、

1990年代初頭のパリ。エイズの治療はまだ発展途上で誤った知識や偏見が横行する中、ACT UP Parisのメンバーたちはエイズ患者やHIV感染者への差別に対してさまざまな抗議活動を行っていた。行動派のメンバーであるショーンは、HIV陰性でありながら活動に参加しはじめたナタンと恋に落ちる。しかしショーンのエイズの症状は次第に顕在化していき、ACT UP執行部に対して批判的な態度を取るように。そんな彼を献身的に介護するナタンだったが・・・。

というお話です。

1990年代のフランス・パリ。エイズの治療は始まっていたものの、まだまだエイズという病気の誤解が多く、社会からはじき出されていたようなエイズ患者やHIV感染者。そんな偏見、差別に対して、抗議活動を行っていた ACT UP Paris のメンバーたち。

その活動は、穏健派と過激派の二手に分かれており、エイズ患者のショーンは、結構、過激な行動をする一人だった。ショーンたちは、大学の講義をしている教室に入り込み声明を叫んだり、国際的な会議に入り、登壇者に血をぶつけてみたりと、過激な運動を進めていた。そんな活動の中、新しく入ってきたナタンは、エイズを患いながらも強く生きているショーンに惹かれていく。ナタン自身は、HIV陰性であったが、彼らの活動に協力していた。

付き合い始めたショーンとナタンは、一緒に活動をしながら、幸せな日々を過ごしていたのだが、ショーンがHIVを発症し、どんどん体力が落ちて、身体の表面にも病相が現れてきてしまう。ナタンは、ショーンを献身的に介護をし、いっしょに付いていて励ますのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。

ちょっとドキュメンタリータッチで描かれている映画で、エイズなどへの差別を無くそうと、フランスで活動していた方達をモデルにした映画のようでした。1990年代というと、あの「ダラス・バイヤーズクラブ」の舞台が1985年で、まだ、エイズはゲイ特有の病気と言われていた時代だったから、あれからエイズに対抗する薬も1987年に承認され、随分とエイズの理解が深まってきたかと思われた時代だけど、それでも、まだ、間違った知識が蔓延していたようですね。

確かに、エイズが騒がれ始めた頃、ゲイの病気だとか、空気感染するとか、蚊が媒介するとか、色々な事がまことしやかに噂されましたが、全くの嘘だった事が分かり、ちゃんと予防をすれば、簡単には感染しない病気だと言う事も解りました。今では、発症を随分遅らせるようにも出来る薬があるようですし、出来たら、エイズを治す薬を開発して欲しいけど、まぁ、随分と、昔よりは進んできましたよね。

このショーンは、活動組織の中でも、どんどん前に立って、良くして行こうと行動を起こす人物でした。見た目も美しくて、ただ容姿が美しいというのではなく、その必死で行動する、必死で生きようとする彼の姿が美しくて、助けてあげたいと思わせるような人物像でした。病気になった事は仕方がないので、受け入れるしかないけど、それからの事は、まだまだ、変える事が出来るんだと信じて行動しているんです。素晴らしいなって思いました。

そんなショーンを支えているのがナタン。派手な人物ではありませんが、いつも静かに寄り添う感じで、彼も素敵でした。いつもショーンを見る目が眩しいものを見るような感じで、彼がショーンを好きなんだなーっていう気持ちが凄く現れていました。

二人には、辛い闘病生活が訪れてしまうのですが、それでも、ショーンはいつまでも生きる事を諦めず、そんな彼に寄り添うナタンが、何ともイイんです。こんな関係って、築けるカップルは少ないんじゃないかな。結婚していてもバラバラの夫婦って多いでしょ。こんな関係を持つことが出来た2人は、たとえ少ない時間であっても、一生、忘れる事は出来ないだろうなぁ。新しく好きな人が出来ても、この濃密な時間は、大切な人生の一部になっただろうと思いました。

それにしても、エイズはHIVへの偏見って、酷かったんですね。私が気が付いた時には、もう、病気の情報が沢山出ていたので、それ程、怖いと思う事は無かったのですが、でも、この病気が表に出てきてから30年ほど経つのかな。早く、特効薬が出来ると良いですね。こんなにも苦しんでいる方がいるのだから、見つけて欲しいです。ま、病気は、どんな病気もイヤなんですけどね。

私は、この映画、お薦めしたいと思います。この時代、こんな風に、多くの偏見がある中で、活動していた方々が居て、そんな中で愛し合っている2人も居たんだよって言うことが描かれていて、感動すると思います。男でも女でも、愛する人の死に直面するのは苦しいです。それでも、生きて行かなくてはいけない。先に進まなくちゃいけない。そんな事を思う映画でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。

・BPM ビート・パー・ミニット|映画情報のぴあ映画生活

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