「四月の永い夢」美しい春の中に閉じ込められた女性が、羽を広げていく姿が目に浮かびました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「四月の永い夢」の試写会に行ってきました。

 

ストーリーは、

3年前に中学校の音楽教師を辞めた27歳の滝本初海は、現在は近所のそば屋でアルバイトをしながら暮らしている。そんなある日、彼女のもとに1通の手紙が舞い込む。それは3年前の春に亡くなった恋人が彼女に向けて書き遺したものだった。この手紙をきっかけに、初海の変わらない日常が再び動きはじめる。

というお話です。

 

 

滝本初海・27歳は、商店街の古い蕎麦屋でアルバイトをしていた。彼女は、3年前まで中学教師をしていたのだが、恋人だった男性の突然の死によって、それまでの生活が精神的に辛くなり、全てを辞めて、この街で一人暮らしているのでした。

 

アルバイトでの生活は、楽ではありませんが、色々な事を整理するには必要な時間であり、初海は、静かで穏やかな日常を過ごしていました。そんなある日、亡くなった彼の母親からの手紙が届き、彼のパソコンに初海宛ての手紙を見つけたから同封しますいう事でした。同封された封筒を見つめるのですが、それを開けずにしまっておく初海。

 

 

アルバイト先の蕎麦屋へ行くと、店主の娘さんから、店を閉めるから、どこかしっかりした仕事を見つけなさいと退職金を渡されます。先生をやっていたのだから、良い勤め先が見つかるはずよと言われ、就職先を探そうかなぁと考え始めます。ぼんやり街を歩いていると、声をかけてくる女性がいて、良く見ると自分が教えていた生徒でした。ジャズ歌手になりたいから家出をしてきたようで、泊めて欲しいと初海に頼みます。夢を持って動いている彼女を眩しく思いながら、家に連れて行きます。

 

 

彼の死から、ずっと、彼の死んだ四月に縛り付けられていた初海は、夢を見て進む教え子や、蕎麦屋のバイト中に見初めてくれた男性からの告白によって、少しづつ前を向こうという気持ちを持ち始めます。そして、新しい一歩を踏み出す為に、彼の家へ挨拶に行き、彼のご両親と会って、話をすることにします。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、凄く良かったです。申し訳ないけど、中川監督の作品、初めて観ました。前作の「走れ、絶望に追いつかれない速さで」を東京国際映画祭で観たいなぁと思っていながら、時間が合わずに観れなくて、そのままだったんです。今回、観せて戴いて、2年連続で日本映画スプラッシュに選ばれたのが、良く解りました。うん、イイです。良かったです。

 

 

主人公の恋人が突然亡くなったという情報しか、最初は解らないんです。何故亡くなったのかも、その人がどんな人だったのかも、何をしていたのかも、何も無くて、ただ、恋人だった人を失くした女性として初海が出てくるんです。で、彼女は、彼が死んだ時から、全く前に進めなくなっているんです。それまでは、いつも居る人だと思っていたのに、突然に消えてしまったら、なんか、自分のバランスも崩れてしまい、自分だけ生きているのが不思議になっちゃうというか、不安定にある気持ち、凄く解りました。

 

 

人間は生きて行かなくちゃいけないし、周りの人が気を使ってくれているのも痛いほど判るんだと思うんです。それでも、3年間も動くことが出来なかったんです。そんな彼女に、死んだ彼が残していた手紙がパソコンに残っていたと言って、送られてくるんです。初海は見れないんですよ。何が書いてあるのか、怖かったのだと思います。私だって、きっとそうだもん。見れませんよ。でもね、いつかは読まなくちゃいけないし、このままではいけないと、自分で判っているんです。これも、痛いほど解りました。

 

 

そんな女性の繊細な心の動きを、良く描いていると思いました。春の美しい風景と、夏の暑い夜、そんな季節も良く描いていて、本当に綺麗だと感じました。初海を蕎麦屋で見初めて好きになる男性・志熊藤太郎は、和手ぬぐいの職人さんで、その手ぬぐいが美しいんです。夏の雰囲気を良く表していて、花火とか金魚とか、綺麗だなと思いました。三浦さんが演じているのですが、良い役でしたよ。三浦さん、最近、本当に良く出演されているのですが、上手くなりましたよねぇ。重要な脇を固める役者として味が出てきました。主人公を脅かさず、されど印象に残るように演じるって、素晴らしいと思います。

 

主演の朝倉さんも、抑えた演技が良かったです。静かで、透き通るような彼女の存在が、亡くなった男性の影を感じながらも、前を向いて歩きだす姿が、凛としていて美しいと思いました。良かったです。最後の方に行くにしたがって、恋人と初海の事が段々と判ってきて、彼女が自分の人生を歩き出す姿には、何の迷いも無いように見えました。

 

 

この映画、私は凄く良かったです。お薦めしたいと思います。”超”を付けなかったのは、単館系の映画で静かな内容なので、派手なエンタメが好きな方には、ちょっと難しいかなぁと思ってなんです。でもね、映画が好きな方には、グッとくるものがある作品で、観た後、観て良かったと思えると思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ


P.S : 試写後に監督さんにサインを頂きました。いつも、これからも楽しみな監督さんにサインを頂いているんです。今後の活躍に期待しています。

 

 

四月の永い夢|映画情報のぴあ映画生活

 

 

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