「ジュピターズ・ムーン」神に対して人間がやっている事の収縮版がこの映画に描かれている。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ジュピターズ・ムーン」を観てきました。

 

ストーリーは、

父とともに祖国シリアを逃れハンガリーを目指す少年アリアンは、混乱の中で父とはぐれ、国境を越えようとしたところを国境警備隊の男ラズロに銃撃されてしまう。瀕死の重傷を負ったアリアンは、難民キャンプで働く医師シュテルンのもとへ運び込まれる。医療ミスで患者を死亡させた過去を持つシュテルンは訴訟を取り下げてもらうために大金を必要としており、恋人ベラと共謀して違法に難民を逃して金を稼いでいた。シュテルンの診察を受けたアリアンは体調の異変を訴え、シュテルンの目の前で重力を操って浮遊してみせる。成り行きからアリアンを連れて難民キャンプを後にしたシュテルンは、アリアンの能力を金儲けに利用しようと思いつくが・・・。

というお話です。

シリアの内戦の激化により、シリアからハンガリーに逃れようとする人々が押し寄せている国境付近。アリアンは父親と共にハンガリーを目指していたが、国境付近で国境警備隊に見つかり、逃げている途中で父親とはぐれ、その上、警備隊の男・ラズロに胸を撃たれてしまいます。瀕死の状態で難民キャンプへ運ばれたアリアン。

 

キャンプの医師のシュルテンは、ある理由でお金に困り、難民キャンプのシリア人を賄賂を貰って、裏から逃がしていた。そんな彼に救急患者を見て欲しいと依頼が来る。患者はアリアンで、胸を何か所か撃たれているのに、何故か動いている。様子を見ていると、もがきながらアリアンは宙に浮き、クルクルと回り出す。そして怪我を治してしまっていた。驚いたシュルテンは、何かを思いつき、彼を連れてキャンプを抜け出す。ラズロは何かに感づき、直ぐにシュルテンを追うのだが、逃げられてしまう。

シュルテンはアリアンをキャンプから連れ出すのに成功し、彼の神のような力を持つアリアンを使って、病気持ちの金持ちから金を引っ張り出すことを思いつく。アリアンに「父親と一緒に安全な所に逃げる為にはお金がいるから、自分に協力するように。」と話し、自分の患者の所に連れて行き、彼の治療を受けたければお金を出すようにと持ち掛ける。

 

荒稼ぎをし始めたシュルテンをラズロは追い詰めていくのだが、いつももう少しの所で逃げられてしまう。アリアンが宙に浮いて逃げてしまうので、簡単には捕まらないのだ。そしてアリアンはいつまでも父親捜しをしてくれないシュルテンを不審に思い、彼から離れて、一人、父親を探し始める。すると、探しに行った地下鉄でテロが起こってしまう。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

ファンタジーの入ったヒューマンドラマって感じですね。私は、こういう映画、結構、好きなのですが、ハッキリ結末が無い映画なので、好き嫌いはあるかもしれません。

 

内戦のせいで自分の国から逃げなければならなくなったアリアンと父親。アリアンには何の罪も無いけど、苦しんでいるんです。そんな彼には撃たれた時に神の力が降りてくる。その力で逃げろと言う事なのかなと思いました。

シュルテンは、自分のミスで人を死なせて、その罪の為にお金が必要になっています。でもね、お金で解決しようとする彼の考え方が間違っていると思うんです。自分は医者で万能だと思っていたような人だから、何でも力で押し切れると思ってしまうタイプなのでしょう。そんな彼を変えて行くのがアリアンなんです。アリアンは、きっとその力だけでなく、心でも人を変えて行くように使わされたのかも知れません。

 

内戦から逃げてきた人々と、それを受け容れる側の人々。弱い方と力を持つ方。受け入れる側の力の強い人々が、弱い人々をどう扱ってもいいだろうという傲慢な考え方が、突然、神の力によって、反対になった時、人々はどうするんだろうということが描かれているように思いました。この医者・シュルテンも、最初は、どうせ難民だし、利用してしまおうと思っているのですが、段々と、その力を見せられて、自分の罪を感じて行くんです。

神は、力の強い者は弱者を守りなさいと教えているのに、人々はそんな事、日常の中で忘れてしまっているんです。いつもは聖書を読み、祈りを唱えている人でも、目の前の現実とは切り離して考えてしまっている。そんな人々に思い知らせる為に、アリアンを遣わしたのだと思いました。なので、とても宗教的な映画なんです。その部分を外してしまうと、最期のシュルテンの行動が救いになっていることが薄っぺらくなっちゃうんです。

アリアンは撃たれても死にませんでした。これを復活として見ると、ラザロの復活を思い出すのですが、聖書では、このラザロの復活が周りを怯えさせてイエスの処刑計画に繋がるんですよね。普通なら、人を復活させるような神の力を敬い、尊ぶはずなのですが、怖れ、排除しようとする。この映画でも、アリアンは、この後、捕まったら、実験されたりと酷い事をされるんでしょう。まして難民の一人なんですから。そんな現実を思わせる内容でした。

私は、この映画、お薦めしたいと思います。私は、こういう考えさせられる映画がとても好きなので、楽しめましたが、あまり宗教などに興味が無いと、ただ、超能力者が引っ掻き回しているようにしか見えないので、評価が分かれるかなと思います。こういう映画を観るといつも思うのですが、聖書ってキリスト教でなくても、一応、勉強してみると、映画が面白くなるんですよ。あの聖書をそのまま読むと、はぁ?となるから、読みやすい聖書物語があると良いのにねぇ。教会が日常とかけ離れたところにある日本人には、洋画を根本から理解するのは大変だよなぁと思う今日この頃です。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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