「CINEMA FIGHTERS/シネマファイターズ」を観てきました。
ストーリーは、
“ShortShorts”がコラボしたシネマプロジェクトの第1弾。『光』の河瀬直美、『東京喰種 トーキョーグール』の萩原健太郎ら6名の気鋭監督が参加し、EXILE TRIBEの楽曲からインスパイアされた個性豊かな短編ストーリーを作り出す。
「パラレルワールド」
木漏れ日が降り注ぐ駐輪場、渡り廊下、水道。15年ぶりに母校を訪れた徹は、懐かしさに誘われて天体観察室に向かう。あの頃のまま時間が止まったような部屋で1冊のノートを見つける。「見ていてくれてありがとう」。そこには想いを寄せていたダンス部の真矢からのメッセージが綴られていた。伝えることができずに行き場をなくした感情があふれ出し、徹の瞳を濡らす。過ぎ去った刻はもう戻らないのか…。1999年の七夕、すべてはそこから始まった。夕日を見るために屋上へ行こうとしていた真矢が、天体観察室にいる徹に偶然声をかけた。それ以来、放課後の天体観察室は2人だけで過ごす秘密の場所になり、忘れられないファーストキスも経験した。屋上で羽を得たように踊る真矢の姿を天体観察室から眩しそうに見つめる徹。しかしそんな2人の気持ちは、徹の母親によって引き裂かれてしまう。
河瀬監督っぽい光の取り入れ方ではあったのですが、どーも、ストーリーが解り難いというか、母親が引き裂いたという部分がサラッと描かれてしまっているので、イマイチ、気持ちが伝わってこなかったかな。
でも、山田くんが高校生に見えるようで、良かったです。石井さんは若いから当たり前なんだけど、山田くん、おっさんだから。(笑)でも良かったですよ。
「キモチラボの解法」
人対人のコミュニケーションが希薄になってしまった近未来の東京。そんな都会の真ん中で営業している“心の整体”「キモチラボ」。ここは人間の奥底に眠っている感情を呼び起こし解放する、一風変わったメンタル・クリニックだ。様々な感情エキスを操る天才メンタリストのマイスターとその助手の少年シュンが、日夜感情に飢えた人々の心を解きほぐしている。患者として訪れたゴージャスな女性・アオイにマイスターがうつつを抜かすある日、無表情な少女・リンがふらりとクリニックを訪れる。マイスターは未成年であることから治療を断るものの、リンに一目ぼれしてしまったシュンは、彼女の笑顔を引き出そうと感情エキスの調合を自ら引き受けるのだが…。
シュンがリンを笑顔にさせたいという、ただそれだけの事に奔走する姿は解るのですが、何となーく空回りしている風に見えるというか、大人の手の上で踊っているだけの子供たちが、ちょっと寂しいように感じたかなぁ。ショートフィルムだから、ちょっと解り難いしねぇ。イマイチって感じでしたかね。
「Snow man」
舞台は今からさほど遠くない未来。永遠の愛を誓い合った20代の夫婦・ロクと深雪。しかしロクは不治の病に侵されており、生き残るためには特効薬が完成するまで永い眠りにつかなければならなかった。深雪は冷凍保存されたロクを慈しむように、彼が眠る巨大カプセルを来る日も来る日も磨き、ロクが目覚めるそのときを心待ちにしていた。月日は流れ、ついに目覚めのときがやって来た。しかしロクの目の前にいたのは、見たこともない老女だった。混乱するロクに老女はこう告げる。「50年です。でも病気は治せるようになりました」。その老女こそ、永遠の愛を誓い合った深雪だった。受け入れられない事実を前に苛立ちをぶつけるロクだったが、ふと深雪の手が目に入る。その両手はロクが眠るカプセルを毎日のように磨き続けていたために荒れ果てていた。計り知れないほどの深い愛情を知ったロクは、深雪にある提案をする。
これは、ショートフィルムながら、要点を絞っていて、良く出来ていたかなと思います。ショートフィルムって、重要部分だけを描いて感動させるものなんだけど、肉付けをすれば長編に出来るよねっていう話じゃないと面白くないんですよ。この作品は、ちゃんと肉付けすれば長編になりそうなお話で、良かったと思います。この映画の中で一番好きな作品です。面白いです。
「色のない洋服店」
多くの命が失われた大震災の悲しみによって、人々が色を受け付けなくなった世界。街は色彩を失い、行き交う人々のファッションや食べ物までもが黒一色に統一されている。古い商店街にある洋服店で自ら仕立てた洋服を売っている中目由衣は、生まれながらの金髪で、それが原因で幼いころからイジメにあっていた。今では黒いフードですっぽりと顔まで隠すように生活している。もちろん仕立てる洋服も黒一色。しかし2階にある由衣の仕事部屋だけは違う。色鮮やかな洋服、カラフルなデッサン画、緑に燃えた生命力を感じさせる植物。誰にも見せないその“秘密の部屋”でだけ、由衣はありのままの自分になることができた。そんな由衣の前に謎の画家・近江仁助が現れる。色鮮やかなパレットを開き、スケッチブックに描いたのは金髪の由衣の顔とその赤い襟元。驚く由衣に仁助はこういう。「目に見るものが真実とは限らない」と。
これは、まぁ、長編に出来そうな内容のお話ではあるのですが、ハッキリ言って、主演の女優さんがあまりにも下手で、観ていられませんでした。加賀さんが上手いから最後まで観たけど、あまりにも表情は無いし、動きもぎこちない、セリフも言わされているような感じって思えて、私はダメでした。この方に慣れていれば良いのかもしれませんが、初めて観た方だったので、辛かったです。
色の無くなった世界というのは、ちょっと面白い発想かなと思いました。この作品内では、ただ人々が拒否しているだけだったけど、あれが条例とかで決まっていたり、何かあったら面白かったかもね。
「終着の場所」
出会いは突然だった。東京のグランドホテルでボーイとして働く北川俊介は、降り出した雨にずぶ濡れになりながら涙にくれる小河加奈子に恋をした。それから半年。遠距離恋愛ながらも2人は静かに愛を育んでいた。「来年も2人で一緒に花火を見よう」と誓いながら。ある冬の日、ホテルでの仕事を終えた俊介は、その足で地方に住む加奈子に会いに行くために早朝の下り電車に乗り込む。右手に握られた携帯電話には、上り電車に乗ろうとしている加奈子とのメッセージのやり取りがある。加奈子には内緒だが、俊介は心に決めている。今日プロポーズをすることを。そのための婚約指輪も用意した。はやる気持ちを押さえながら「早く会いたいな」とメッセージを送る俊介だったが、加奈子からの返答が急に止まってしまう。胸騒ぎを覚える俊介のもとに、知らない男からの不穏な電話がかかってくる。
この作品は、本当にありそうなお話で、面白いと思いました。これも長編になりそうですよね。ドラマとかで、良くありそうな感じかな。でも、この主役の二人が上手いので、結構、SNSだけの会話とかも面白いと思いました。表情で文字の会話を表現するって、面白いですよね。もちろん、SNSの会話を録音で入れているんですけど、実際は話していないので、不思議な感じなんです。でも、面白いんですよ。これは、良いと思いました。
「SWAN SONG」
隕石の衝突から1週間。地球の表面温度はマイナス20度までに冷え込んでおり、世界は雪が降り積もる白銀の世界と化していた。ストリートミュージシャンのアサヒは、世界がまだ正常だったころに自分を応援してくれていた一人の女性の面影を追うように、雪に埋もれた東京の街を彷徨っていた。人類滅亡までの間に、名前も素性も知らない彼女のために、人生最後の曲(SWAN SONG)を聴かせたいと思っていた。そんな時、避難所の地下鉄構内でその女性のことを知るウミという天真爛漫な少女に出会う。そこでアサヒは探し求めていた女性の名前がチサであることを知る。ウミとチサは高校時代の同級生で、バトミントンではダブルスのコンビを組むほどの親友だったという。そんなウミに連れられて、アサヒは無人の雪原をチサの自宅へと向けて歩き出す。ウミの企みも知らずに…。
この作品は、壮大な設定がされていて、あと少しで人類が滅亡しちゃうかなというお話なのですが、そんな中でも、男女の関係というか、そういう汚さみたいのが見え隠れして、それを雪景色で消していくみたいな雰囲気が良かったと思いました。これも、長編になりそうですね。良いと思いました。
これ、6作品で2時間弱のショートフィルムなのですが、この試み、良いと思います。日本は、どうしてもショートフィルムがあまり盛り上がらないので、こんな風に提供して行くのは良いと思います。でも、これを1800円で観て下さいというのは辛いなぁ。1100円の日なら観るけど、そうじゃ無かったら、EXILEのファンじゃなきゃ観ないと思います。
それと、作品のレベルが、やっぱり海外のに比べて、ちょっと低いかな。ブリリアショートショートシアターに良く通っていたのですが、海外の作品は、要点はキッチリ決めているし、良く練られていますよ。だから、「ナイン-9番目の奇妙な人形」のように、ショートフィルムが認められて、それの長編が作られる事になるんです。日本もそのレベルになって欲しい。若手の監督は、もっとそういうのを作って、認められて欲しい!待っています。本当に待っています。
だからこそ、こういう試みは続けていって欲しいです。ありがとうございます、別所さん、EXILE HIROさん。これからもお願いいたします。曲に沿った作品だけでなく、もっと色々な試みをして欲しいです。
私は、この作品、お薦めしたいと思います。新しい試みです。まだまだダメな部分もあるけど、これからショートフィルムが認められていくべきだと思うので、盛り上げてあげたいと思っています。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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