舞台「欲望という名の電車」を観てきました。
ストーリーは、
5月始めのたそがれ時。アメリカ南部ミシシッピ川の河口にあるコスモポリタン都市ニューオリンズ。
フランス植民地時代の面影を残すフレンチ・クォーターの街角には、絶えず安ピアノのブルースが聞こえている。「欲望」という名の電車に乗って、「墓場」という名の電車に乗り換え、「天国」に降り立ったのは、ブランチ・デュボアだ。貧しく卑俗だが活気あふれるこの街に、白づくめのお上品な装いはいかにも場違いである。
ブランチが訪ねたのは妹ステラの家だった。南部の大農園ベル・レーヴで育った上流階級出身のブランチは、二部屋しかないアパートでの妹の暮らしに驚くが、ステラは意に介さず、幸せな結婚生活を送っていると強調する。ステラの夫、スタンリー・コワルスキーは、当初からブランチの上品ぶった振る舞いが気に障って仕方がない。しかもブランチがベル・レーヴを手放したことを知り、ブランチへの不信感をあらわにする。狭い家の中は一触即発の空気が充満していく。
8月になってもブランチはステラの家にいた。ブランチによれば、教師として勤める高校を神経披露から休職して行く宛てもなく、しばらく妹の家に身を寄せるほかに術はない。スタンリー家に夜な夜な男たちが集まってはポーカーに興じる中、スタンリーの親友で母親思いのミッチは、ブランチの優雅さに惹かれていく。ブランチもまたミッチの優しさに希望を託すのだった。
9月半ば。ブランチの誕生日。ステラとの生活をかき乱され、怒りを募らせるスタンリーは、ブランチの過去を調べ上げていた。ベル・レーヴを失ってからの彼女の足跡、ニューオリンズに現れる前にいた街・ローレルでの評判、そして勤務する高校で何があったのか。スタンリーの告発を聞くうちステラが産気づき、病院へと向かう。その晩、逃げ場を亡くしたブランチには破局が訪れる。そして・・・。
というお話です。
もう、この舞台、脱帽でした。素晴らしくて、最後、声も出ませんでしたもん。とにかく、あまりの衝撃で、凄いという言葉しか出てこないんです。やっぱり上手い方々の舞台を観ると、もう、惹き込まれてしまって、何にも言えないんですよね。
演技も最高でしたが、演出も細部に渡って気を使ってあり、ここまでと言うほど、繊細に演出がされている事に驚きました。あのね、だって、1幕と2幕の間の休憩中の舞台に、”蛾”が飛んでいる影が映っているんですよ。そして羽音も。それは、後半にブランチが狂っていく前兆であり、羽ばたくのは美しい”蝶”では無く”蛾”なんです。前半は保っていた美しさが、音を立てて崩れていくのがそれだけで感じさせられるんですよねぇ。気が付くか気が付かないかは別として、観客に不安さを感じさせるんです。それだけでも、細かいことが解るでしょ。
やっぱり、大竹さん、大女優です。最初、客席に現れて、すぐ横を歩いて行くのですが、本当に小っちゃい人なんです。綺麗な顔をしているけど普通だし、全体的に小さいし、町中で会っても、そんなに気にならないような方なのに、舞台に上がり、演技をし始めると、その大きさに驚かされるんです。もう、オーラは凄いし、その迫力と言ったら、誰もが押されてしまうほどなんです。そこが演技力なんでしょうね。本当に素晴らしいと思いました。
そんな大竹さんに負けない鈴木杏さんも素晴らしかったです。子役からやられていたと思うのですが、アイドル的な感じでは無く、どうなるかなぁと思っていたら、こんなに凄い女優になっちゃいました。大竹さんに堂々と相対せる女優なんですから、上手いに決まってますよね。以前から上手いなぁと思っていたのですが、今回は、特に、女優二人のぶつかり合いが凄くて、驚嘆いたしました。
そんな二人を支える北村さん。上手いですよねぇ。特に、今回の様な役は、当たり役だと思います。素敵でした。いや、実は、先日、「羊の木」の完成披露に行ったら、北村さんだけいらしてなかったのでなんでかなぁと思っていたら、そうでした、この舞台があったのでした。そりゃ、舞台挨拶は行けないよねぇ。北村さんと言えば、蟲の男(あなたの隣に誰かいるというTVドラマの役)が印象的で、今でも蟲の人だねぇって思ってしまう私でした。
あまりにも素晴らしかったので、もっと書きたいけど、もう止めておきましょう。もっと増えてしまう。書きすぎだっつーの。ごめんなさい。
私は、この舞台、超!超!超!お薦めしたいと思います。いや、なんか、もう、凄かった。あんぐりしてしまうほど衝撃でした。もし、チケットが手に入るようでしたら、ぜひ、観て欲しいと思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「欲望という名の電車」シアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/17_desire/
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