「月と雷」出会って別れて、それが人生の仕組みであり、また出会う事も出来るのかもしれない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「月と雷」を観てきました。

 

ストーリーは、

子どもの頃に母が家出したため、普通の家庭を知らぬまま大人になった泰子。スーパーのレジ打ちの仕事をしながら、家と仕事場を往復する毎日を過ごしていた。婚約者もでき、亡くなった父が残してくれた持ち家で暮らす日々は、大きな喜びこそないが小さな不幸もない、穏やかな生活だ。泰子のそんな静かな日々が、父の愛人の息子・智が現れたことで、大きく揺らいでいく。

というお話です。

 

 

田舎町に住む泰子は、スーパーのレジ打ちの仕事をしながら、一人で暮らしている。父親は数年前に亡くなり、今、付き合っている男性とは結婚を考えている。しかし、何か物足りないという毎日を過ごしていました。

 

ある日、子供の頃に一緒に暮らしていた男の子が家の前に現れる。お互いに大人になっていたが、それ程の違和感も無く、泰子はその男性=智を家に入れる。

 

 

泰子の父親は、泰子の母親が居たにも関わらず、智の母親である愛人・直子を家に入れ、泰子の母親は愛人に追い出されるように家を出て行った。直子と智は、半年ほどその家で暮らし、突然2人で出て行ってしまったのだった。泰子は、直子が出て行くとき、自分も連れて行って欲しいと頼んだのだが、願いは聞き入れられず、それからは、泰子と父親でその家に住んでいたのだ。

 

泰子は、結婚する前に、本当の母親に連絡したいと思い、TVの人探し番組に出演し、母親を探して貰って、再会を果たす。母親は、既に新しい家庭を持っていて、妹までいるらしい。母親と再会するも、生活は何も変わらず、智との再会で、婚約者との関係もギクシャクし始める。

 

 

そして、20年も経ったある日、直子まで現れて、一緒に家に住むようになる。その上、本当の母親の娘=泰子の妹も、泰子の家にやってきて、不思議な4人の生活が始まります。突然、一人だった人生に、3人もの人間が現れ、その上、智と男女の関係になってしまい、妊娠までしてしまい・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、ちょっと難しいかな~。私も、観た後直ぐには、ちょっと、不思議な気持ちになり、何が良いのか分かりませんでしたが、後から考えると、じんわりとその感動が湧き上がってきて、血の繋がりとか、結婚とか、家族とか、そんな契約のようなものよりも、何か大切なものを教えてもらったような気がしました。

 

 

泰子という役は、主人公ではあるんだけど、観客目線と同じなんですよね。泰子の目の前で展開していく風景が、人とは自由であり、優しいものであると教えてくれていて、一見、寂しそうに見えるんだけど、そうじゃない、きっと心の中に繋がりがあると思えて、感動するんです。

 

普通だったら、知らない人と出会ったとして、直ぐに家に連れてきて一緒に住むなんて考えられないでしょ。どんな人とも分からないんだから、怖くて出来ないと思うんですけど、結構、平気な人がいるのかもと思い、驚きました。本来は、人間って助け合うものだから、良いとは思うんだけど、やっぱり、怖いよね。

 

 

そんな人の優しさに付け込みながら生きているように見える直子なのですが、彼女は、身の引き方を知っていて、これはダメかなと思うと、スッと居なくなるんです。大体、図々しく家に泊まり込む人間って、いつまでもダラダラ居て、人に迷惑をかけまくって、追い出されるというのが良くある話のような気がするのですが、直子はそうじゃないんですよねぇ。だから、酷い女のように見えて、恨まれる事は無いのかも知れません。

 

そんな直子に子供の頃から振り回された泰子は、嫌な女と思いながらも、直子の事が大好きだったのだと思います。直子は、懐に入りながらも処か引いていて、決して本心を見せない人だけど、本当はとても深い思いを持っている人で、人を愛しているんだろうなぁと思えるような女性でした。観ていると、最初は酷い女と思うけど、段々と彼女の魅力に気が付いて、目が離せなくなるんです。

 

 

直子の息子・智も、同じ様に自由に生きて、人を深く愛しているのだけれど、直子に育てられているから、その場所で落ち着くと言う事が出来ないんじゃないかなと思いました。決して、相手を思っていないのではなく、人の負担になって生きることが出来ない人なのだと思いました。智は、自分勝手な男だと思われがちですが、本当は人を愛し、その人の為なら何でもやってあげたいと思うような男なのだと思います。ただただ、相手の足手纏いになったり、重荷になることが嫌なだけなのだと思います。自分が自由を好きだから、相手だって自由を好きなんだろうと思っているんじゃないかな。

 

一見、誰もが自分の事しか考えていないように見えるけど、誰もが相手の事を深く思いやっていて、人間って難しいけど、愛おしい生き物なんだと思いました。たとえ離れていても、思いは通じ合っていて、寂しい事は無いんだと思えました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても良い映画なのですが、ちょっと難しいです。口に出す事と、その奥に描かれていることが違うので、単館系の映画が好きな方とか、慣れている方にお薦めです。その場で楽しんで、感想を話し合うというより、後から思い出して、じーんと感動する映画だと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

月と雷|映画情報のぴあ映画生活