【演劇】「髑髏城の七人 風」今回は一人二役バージョン。信長の影武者として生きた人間の苦しみ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「髑髏城の七人 風」を観てきました。やっと3作目です。

 

ストーリーは、

 

時は戦国末期。巨星、織田信長が堕ち、その天下統一の野望を豊臣秀吉が、今まさに叶えようとしていた頃、関東平野は荒れ野と化していた。二万の鉄機兵を擁する関東髑髏党が次々と村を蹂躙し、田も、畑も、人々の心も荒れ果てていた。


そんなある日、一帯に強い風が吹き抜け、砂塵の彼方に一人の男が姿を見せた。名を問われ、男は答える。
「浮き世の義理も昔の縁も三途の皮に<捨之介>」
しかし、この男には、どうしても捨てられない過去があった。

 

 

その過去を知る男が「無界の里」と呼ばれる色街にいる。名を<無界屋蘭兵衛>。そこは、かつてこの地に流れ着いた蘭兵衛と、関東きっての花魁<極楽太夫>が共に築き上げた救いの里。裏切りと謀略が渦巻く荒れ野の中、ここだけがただ一つ、心やすらぐ平和な場所だった。

 

その「無界の里」に突然、関東髑髏党の鉄機兵が襲い掛かる。

 

異形の鎧に身を包んだ、その首魁の名は<天魔王>。仮面の下に隠した素顔を見た者は、その命が尽きるという。そしてこの男の過去もまた、<捨之介><蘭兵衛>と重なっていた。

 

乾いた風が、いんがの風車をカラカラと回し、その風向きの命じるままに再び3人の男たちが巡り合う。やがて<捨之介>は「無界の里」を守るため、そしてこころにまとわりつく因果の糸を断ち切るために、<天魔王>の命を奪う決意をする。手にするのは孤高の刀鍛冶<贋鉄斎>が鍛えし業物「斬鎧剣」だ。

 

 

「無界の里」に集う者たちもまた、<天魔王>打倒に立ち上がる。
関八州荒武者隊を率いる若き傾奇者<兵庫>。
極秘の絵図面を手に<天魔王>から逃げる女<沙霧>。
そして諸国流浪のやせ牢人<狸穴二郎衛門>。

関東荒野に漆黒の城、髑髏城が浮かび上がる。


鉄機兵が四方を固めるその<天魔王>の居城を、ある夜、<蘭兵衛>が密かに訪れる。するとその目の前で、<天魔王>がゆっくりとその仮面をはずした。果たして、<蘭兵衛>が目撃した、その<天魔王>の正体とは。

 

というお話です。

 

 

うーん、今回は、とても考え深い舞台でした。というか、一人二役バージョンが、この話としては一番の王道なんじゃないかな。捨之介も天魔王も、どちらも信長の影武者として生きていた訳でしょ。という事は、2人とも信長にそっくりだったと言う事で、2人もそっくりでないとおかしいのよ。同じ顔なら、天魔王が”自分も信長になれるんじゃないか。”と勘違いしてしまうのも解るし、捨之介が全て捨ててしまいたいと思うのも解るのよ。

 

捨之介は、同じ顔だからこそ、何処かの国に行って士官する事も出来なかったんだろうし、大っぴらに動くことも出来なかったんじゃないかな。そんな時に、髑髏党というのを立ち上げた天魔王の事を知って、仕方なく、過去を清算する為に、この地に遣って来たんだと思うんです。

 

 

今回は、松ケンさんが、捨之介も天魔王もやっているから、同じ顔だからこその苦しみがあったんだろうなぁと言うのが理解出来て、ちょっと天魔王にも同情が出来るんですよ。だって、あの信長の影武者ですよ。あんな我儘な男の下に居たら、本当に苦労をしただろうし、同じ顔なのに、なんでこんなに違うんだと思ったと思うんです。

 

どんなに可愛がられていたとしても、やっぱり天下を取る人の後ろにいたなら、自分も天下を取ってみたいという思惑が浮かんできても仕方なかったんじゃないかと思いました。だから、天魔王が謀をして、明智にやらせたみたいなセリフがあるんでしょ。全ては、そこから始まっているんです。それが、今回のバージョンだと、本当に分かり易くて、とっても感情移入が出来て、楽しめました。

 

 

やっぱり、松ケン、上手いなぁ。今回は、とっても満足しました。楽しかったです。でも、ゴメンナサイ、蘭兵衛の向井さん、いけないとは思うんだけど、早乙女さんと比べてしまい、どうしても殺陣が気になっちゃって、ダメだったんです。綺麗な顔で、蘭兵衛らしいんだけど、早乙女さんのを見ちゃっているからねぇ。あと、極楽太夫の田中さん、今一つ、花魁というには、貫禄が足りなかったような・・・。美しいのですが、あの無界の里を仕切るボスというには、少し辛かったかな。

 

兵庫の山内さん、沙霧の岸井さん、狸穴の生瀬さん、は、安定した楽しさでした。そして贋鉄斎の橋本さんは、言わずもがなですね。完璧です。あのMな役は最高です。お尻は生じゃなかったね。(笑)

 

 

私は、この「髑髏城の七人 風」のバージョン、超!超!お薦めしたいと思います。この一人二役バージョンこそ、信長の影武者だった人間の辛さが良く判って、このお話を理解出来るような気がしました。まだ、今月はやっているので、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

髑髏城の七人 風

http://www.tbs.co.jp/stagearound/kazedokuro/