「ザ・ウォール」を観てきました。
ストーリーは、
2007年、イラクの荒廃した村。アメリカ兵のアイザックとマシューズは、瓦礫の中に残る大きな壁に潜む敵を狙っていたが、5時間まったく動きがないため、マシューズが様子を見るために壁に近づいたところ、想定外の場所から銃撃されてしまう。援護に向かったアイザックも銃弾に狙われ、なんとか壁の背後に退避したものの、まったく身動きが取れなくなってしまった。その時、仲間を名乗る謎の男から無線が入り、その声にかすかな訛りを聞き分けたアイザックは、男の正体を確認しようとするが・・・。
というお話です。
2006年末にフセイン元大統領の死刑が執行されたが、2007年になっても、まだイラク国内は情勢は収まる事が無く、アメリカ軍の犠牲者は増えて行くばかり。そんな中、イラクの荒廃した村を2名のアメリカ兵が監視しています。
彼らが監視している村には、既に死体が何体も転がっており、通信兵など、アイザックとマシューズという2人が来る前に、この村に派遣された兵士たちは、頭を撃ち抜かれて死んでいます。敵が何処にいるのか、どこから狙撃しているのか、全く分からない状況なので、2人は探っているのですが、既に何時間も動きがありません。
マシューズは、もうここは敵が撤退したんじゃないかと言い、立ち上がって村に近づきます。すると、何処かから狙撃され、倒れてしまいます。アイザックはマシューズを助けようと動きますが、彼も狙撃され、足を撃ち抜かれて、仕方なく、瓦礫の中の壁に身を潜めます。
仲間に連絡をするのですが、通信機のアンテナを撃ち抜かれ連絡が取れず、マシューズもこのままでは死んでしまいます。どうしようと焦るアイザックの無線機に突然連絡が入り、助けに行くと話すのですが、何かが違う事に気が付きます。そして相手の所属などの確認をするのですが、相手は自分の事は話さず、アイザックの事を知りたいと話してきます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、本当に面白かったです。これこそ、凄い作品っていう奴じゃないのかな。だって、出演しているのは、ほとんど1人ですよ。最初は2人居るけど、撃たれてずっと寝てるだけだから、アイザックが一人で、無線で敵と言葉で戦うんですよ。あ、もちろん、銃撃される部分とか、色々あるにはあるけど、精神的に追い詰められていくんです。そして、何処まで行っても、相手の目的が解らないんです。最後には解るんだけどね。でも、まるでサスペンス映画を観ているような気持ちになって行くんです。凄かった。
この2人のアメリカ兵を狙撃する敵は、イラク戦争時のスンニ派の狙撃手”ジューバ”をモデルに描かれているそうです。”ジューバ”は、2005年に動画投稿でアメリカ兵を殺すと予告し、次々と狙撃する様子を動画で流したそうで、欧米諸国を震撼させたそうです。”ジューバ”は覆面をかぶっており、声も加工されていたので、正体は判らず、1人なのか複数なのかもわかっていないようで、今も、その生死は謎に包まれているそうです。
そんな伝説の狙撃手の標的になってしまった二人のアメリカ軍兵士を描いているのが、この映画です。姿が見えず、完璧に頭を撃ち抜く腕は、ゾッとする光景でした。最初は、普通の通信連絡に聞こえる声が、段々と恐ろしい謎の敵の声に聞こえてきて、人間の心理で、こんなにも同じ声が恐ろしく聞こえるのかと思いました。
映画としては、難しいストーリーがある訳ではないのですが、このイラクの荒野で、狙われて、打つ手が無く、ただ、相手に問い掛けられる質問にビビりながら答えて、何とか助けを呼ぼうともがく姿が描かれているだけなのですが、これが、凄いんですよ。ずーっと緊迫していて、いつ頭を撃ち抜かれるんだろうと、ドキドキなんです。盾にしている壁も壊れそうだし、なんだか、もう、ええー!って叫びながら立ち上がりたくなるような映画でした。もう、撃っちゃってくれ~!!って言いたくなる感じって言えば分かるかなぁ。もう、追い詰められて、追い詰められて、狂ってしまう一歩手前って感じになるんです。それが、上手いんですよねぇ。
こんなスゴイ映画、なんで話題にならないんだ。ダク・リーマン監督だから、これだけでも、もっと宣伝しても良いと思うんだけど。主演だって、アーロン・テイラー=ジョンソンですよ。演技も上手いしねぇ。日本の映画評論家というか、宣伝する人達って、本当に観る目が無いなぁと言いたくなっちゃいます。確かに有名俳優が出ている作品を宣伝したいのは解かるし、その方が儲かるんでしょうけど、プロなら、本当に良いものも、お金なんて関係無く紹介していく義務があるんじゃないかしら。だって、プロなんでしょ。みんなが本当に良いものを見分ける手助けをするのが本来の仕事じゃないの?有名俳優が出ていてもクソの様な映画が山ほど生産されている今、本物も紹介しないと、誰も信用しなくなりますよ。
あ、つい、怒りが出てしまった。そんなに怒りたくなるほど、良い映画だったんです。たまたま、近くの映画館でやっていたから観たけれど、近所でやっていなかったら、鑑賞作品からハズしてましたよ。もっと宣伝してくれないと、いや、口コミでも良いので伝えてくれないと、観忘れてしまいます。もー!ちゃんと言ってよっ!
私は、この作品、超!超!お薦めしたいと思います。これ、凄い映画です。喉が渇くと思うので、飲み物を買って行ってください。眼が釘付けで目が乾くので、目薬も持って行った方が良いかも。観ている最中は、目薬を差す余裕なんて無いけど、観た後、目を潤してあげて欲しいです。とにかく、それくらい、私、瞬きが出来ないほど釘付けになる作品でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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