「パターソン」何気ない毎日を何気なく過ごしているようで随分と変わっていく日常を描く。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「パターソン」を観てきました。ジム・ジャームッシュ監督の新作です。

 

ストーリーは、

ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。

というお話です。

 

 

ニュージャージー州パターソンで暮らす運転手のパターソン。月曜日、朝6:15に起床し、妻ローラにキスをし、一人でシリアルの朝食を食べて、ランチボックスを持ち、出社する。バスに乗り込み、今日も路線バスを運行し始める。

 

仕事が終り、いつもの道を歩いて帰宅する。家に帰ると、ローラがカーテンに絵を描いたようで、白地に黒い○が沢山踊っている。妻が、今、ハマっている模様らしい。それもイイかと思い、夕食を取る。その後、犬のマービンを散歩に連れて行き、バーでビールを飲み帰って就寝。

 

 

そんな毎日を繰り返すパターソンですが、ある日は、ローラが双子を産む夢を見て、その日から双子が目に付くようになったり、ある日は、バーで別れ話がこじれているカップルの仲裁をし、道端で犬が盗まれるかも知れないから気を付けてという忠告をされたり、ローラがカップケーキをバザーで売ると言って沢山作ったり、詩が好きな女の子に出会ったりと、同じ毎日なのに、どこか違っています。

 

 

パターソンは、パターソン出身の詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ(確かこの人だったと思う。)が好きで、自分も詩を書いていて、何気ない日常の中の風景を詩に描くのが趣味です。何か浮かぶとノートに書き入れていて、ローラは、早くその詩を読んで欲しいと待ち焦がれているのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、何がどうとか言えないのですが、雰囲気がとても良いんです。誰もが、毎日、会社に行って、仕事をして、帰宅して、寝るという繰り返しですよね。でも、その中に、いつもと違った風景が挟まってきて、あれ?と思う事がいくつもあると思うんです。それを流してしまわず、気にして、詩に描いて行くというのがパターソンなんです。

 

 

確かに、同じ毎日と言いながらも、全く違うことが起きていますよね。季節は変わるし、人は年老いて行く。もちろん、新しい命も生まれて、子供も成長して行く。それって、普通の事と思っているけど、凄い事ですよね。物は朽ちて行くだけだけど、生き物は美しく変化して行くんですから。

 

パターソンは、そんな変化を見逃さずに詩に収めて行くのですが、犬のマービンがその詩のノートをいたずらしてボロボロにしてしまうんですよ。別に、食べた訳じゃないですよ。犬は紙を食べないから。私は、きっと、マービンにも何か変化があったのではないかと思うんです。人が何かを感じて不安になるように、犬だって飼い主の心の変化を読み取って、イライラする時だってありますよね。

 

 

私が思ったのは、ローラが双子の夢を見てから、パターソンが双子を何度も目にするようになり、二人が子供を持つという事を意識し始めて、それを敏感に感じたマービンがイライラしたのかなと思いました。ペットって、家に子供が来ると、自分の居場所が無くなるのではないかという不安と嫉妬に駆られて悪戯をする事が増えますよね。それなのかなぁと思いました。だって、月曜の朝から毎日の朝を描いていたけど、最後の方はローラがヌードだったもん。子供を作る為に、夜、頑張ったんじゃないの?(笑)そこら辺、見逃さないでくださいね。

 

 

それと、永瀬さんが、凄く良い味を出しているんです。彼が出てきて、言葉をパターソンと交わす事で、その変化とは良い方向に向いているんだよっていう安心感を与えてくれていて、前に進んで行けるような気がするんです。本当にちょっとしたシーンなのですが、それだけでこんなにも気持ちが穏やかになるかっていうくらい良いんです。

 

こういう映画は、家でまったり、夫婦で観たいなぁと思いました。なんか、夫に見せたら”何が面白いの?”って言われそうだけど、何が面白いのか解らない夫が愛おしくなるような、そんな映画なんです。解らなくても一緒に観れてる、今、がしあわせだなぁって思えるような、そんな感じかな。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。但し、この映画を観て、何が面白いの?って思う方もいらっしゃるかなと思いますが、解らない事も幸せかもって思って欲しいなぁ。そんな訳で、単館系の映画に慣れている人向けかなと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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