「幼な子われらに生まれ」の試写会に連れて行って貰いました。
ストーリーは、
中年サラリーマンの信と妻の奈苗はバツイチ同士で再婚し、奈苗の連れ子である2人の娘とともに幸せに暮らしていた。奈苗の妊娠が発覚し、長女が「本当のパパ」に会いたいと言いはじめる。前の父親である沢田とはDVが原因で離婚していたため、信と奈苗は長女が沢田と会うことに反対するが、長女は父親としての信の存在自体を辛辣な言葉で否定する。そんな長女を前妻との間に生まれた実の娘とつい比べてしまい、現在の家庭を維持することに疲弊した信は、新たに生まれる命の存在すらも否定したくなる心境になっていく。
というお話です。
何処にでもいるサラリーマンの田中信とその妻・奈苗。二人は4年前に再婚をした夫婦です。奈苗は連れ子が2人いて、信の娘は元妻と暮している。信は3ヶ月に一度、娘と会う事にしていた。
信は、若い頃、大学の研究者の妻と結婚していたが、妻はキャリアを優先し、子供を持つことを嫌がっていた。しかし信は子供が欲しかったために、無理に子供を作り、その事が、後々の二人の離婚原因となった。
奈苗は、二人の娘を生んだのですが、下の子が産まれて直ぐに夫のDVに耐えかねて離婚をしました。子供が五月蠅く泣くのに耐えられず、子供にも手を挙げていたんです。
そんな二人が出会い、結婚をしたんです。奈苗の二人の連れ子とも上手く言っていたかに見えていたのですが、奈苗が妊娠し、信との子供を授かった事により、信の本当の子供ではない長女は、不安を覚え、本当の父親に会いたいと言い出します。
DV夫に会わせる訳にはいかないという奈苗ですが、長女の意志は固く、信にはお父さんじゃないから一緒に暮したくないと言い放ち、どうしようもなくなってしまいます。そして、父親に会わせることにするのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
結構、シンドい映画でした。この再婚時の子供の問題って、大変ですよね。特に、子供が小さいと、最初は解らないだろうから、お父さんだよって話していて、大きくなってから、本当のお父さんは他に居るとか知ると、やっぱりショックだろうし、急に父親が他人に見えちゃったりする子だってあると思う。それは仕方がないと思います。
愛情があればとかキレイ事ではかたずけられない、色々なモヤモヤしたものが心の中に湧いてきて、簡単には解決出来ないですよね。お父さんじゃないって言われれば、その通りだし、本当のお父さんに会いたいとか言われちゃったら、会わせない訳に行かないでしょ。そりゃ、ストレスになりますよ。子供は、そんな事、解らないだろうけど。
子供の立場からすれば、親の勝手で離婚して、再婚してんだから、我儘言わせて貰いたいわよね。子供だって打算があるから、自分が楽に生活出来る親にくっついて行きたいだろうと思うよ。親子の問題は、簡単には片付かないと思います。
信が、娘にお父さんじゃないと言われて、空を見上げて、ああー、めんどくせーなーって感じでため息をつくのですが、凄くこれ解かるなぁと思いました。家族のゴタゴタって面倒臭いと思います。逃げ出したくなるの、凄く解ります。でも家族だから逃げられないんだよね。何とか受け流して、誤魔化していくしかないんです。
そんな信に対して奈苗の方は、とっても図太いんです。周りの人間だって感情があるんだよ。子供と自分が世界の頂点じゃないんだよって言いたくなっちゃいました。この奈苗は、私の嫌いなタイプでした。周りの人の気持ちが全く見えないんです。鈍感な人間って、嫌いなんですよ。人の気持ちが解らない人間は罪だと思います。眼には見えないけど、人の心を傷つけているんですから。それは、不器用というだけで済まされないと思いました。
うーん、良い映画なんだけど、心の中がモヤモヤして、スッキリしない作品でした。だって、こういうのって、解決しない問題でしょ。良く出来ている内容なので、映画としては、素晴らしいとは思うのですが、観た後にスッキリしないんです。
私は、この映画、お薦めしたいと思いますが、観た後、ハッキリ言って、スッキリしません。もやもやが残ります。映画としては、考える所が多いので観て欲しいのですが、気持ちとしては沈むので、何とも言えません。それを解って、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)
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