フランス映画祭 ２作目は「ＥＬＬＥ」を観ました。
ストーリーは、
自宅で覆面の男に襲われたゲーム会社の女社長が、自ら犯人をあぶり出すために恐るべき罠を仕掛けていく。彼女は強靭な精神力と、妖艶な魅力を放つ大人の女性だ。だが、事件の真相に迫るに従い、観客は衝撃の連打を浴びる。この女、いったい何者！？彼女こそが、犯人よりも遥かに危ない存在だった。
というお話です。
ゲーム会社の社長・ミシェルは、或る昼下がり、家でくつろぎ、外から帰って来た猫を家に入れようとドアを開けたところに突然、覆面の男が入ってきてレイプされてしまいます。あまりの突然の事に抵抗も出来ず、助けも求められず、逃げられてしまいます。
本当は、警察に届け出るべきだと解ってはいるのですが、ミシェルには警察にあまり関わりたくない理由があります。ミシェルの父親は、ある地方都市に住んでいた時、ちょっとした近隣問題によって、近所の人々を大量殺害してしまった犯人なんです。既に30年以上経っている今も、まだ裁判が続いており、ニュースで話題になる事もある事件で人々の記憶にも残っています。そんな事件を10才の時に経験したミシェルは、警察とは出来れば関わりたくないと思っているんです。
子供の頃から、殺人者の娘と後ろ指を指され、嫌がらせをされていたので、精神力は鍛えられ、大したことではひるまない、美しい女性となったミシェルは、とても魅力があります。男性から欲望の目で見られる事も多いので、自分にそういう目を向ける中の誰が犯人なのか、暴こうと考えます。
元夫、恋人、部下、隣人、周りの誰もが怪しく、一人づつ、ミシェルは探っていきます。そして、犯人はコイツだと分かった時、彼女が取った行動とは･･･。後は、映画を観て下さいね。
うーん、スッキリした。私もミシェルと同タイプなので、同じ様な事するだろうなぁ。ティーチインで、ミシェルに残酷な部分があるのは、父親からの受け継ぎなのかというような質問が出ていましたが、はぁ？と思っちゃった。父親の殺人は、ほんの些細な事で、人は壊れて殺人者となってしまうという事でしょ。朝、子供のおでこに十字を切っただけで避難されて、とても良い町のおじさんだったのが殺人鬼になってしまう。
ミシェルは、些細な事では無かったけど、最初は仕方ないという思いに傾いていたんです。でも、このままだと自分だけじゃなく、他の人も同じ目に合うかもという考えが浮かび、許しちゃいけないと、相手には鉄槌を下すんです。そりゃそうよ。当たり前でしょ。レイプ犯なんて、許しちゃダメですよ。
チラシにも、彼女が危ない存在だったって書いてあるけど、いや、普通にこれくらいやりますよ。どんな女性でもね。レイプ犯ですよ。報復するのが当たり前でしょ。警察に言ったって、イヤな事ばかり聞かれて、思い出させられて。それだったら、自分で復讐しようと思うよ。男には、そういう気持ちが解らないんだろうね。ただ泣き暮らすか、強い精神力で立ち向かうか、女性はどちらかしかないんです。
だから、彼女がやる事は、全然、残酷ではないと思います。父親が殺人犯だなんてことは関係無い。突然にキレて人を殺した父親、表向きは良い人なのにレイプでしか感じない男、パートナーが居るのにその友人と寝る男、大人しい顔をして彼女を犯す動画を作って喜ぶ男。その上、ミシェルの息子はダメ男です。彼女の周りには、変な男しか居ないのですが、それならそれで、適当にあしらって、使って行けば良い。
女の仲間さえ持っていて、強い精神力があれば生きて行けるんです。
そんな強い女性を描いている、女性から見ると爽快な映画でした。傷つけられて泣いているだけじゃ、これからの女性は生きて行けません。完璧な復讐計画を立てて、罠に誘い込み食い殺す。そんな蜘蛛のような女になる事も必要になるかも知れません。出来れば、やらないに越したことはないですけどね。男も、女は力が弱いからと嘗めてかかっていると、既に罠にハマっているかもしれませんよ。
うーん、この映画も面白かったぁ。これは夏に公開なので、直ぐに観れますよ。なんか、飄々とした顔で復讐するミシェルに、ちょっと笑いが込み上げてきます。嬉しくなっちゃうの。いいぞー！って応援したくなっちゃった。
私は、この映画、超！お薦めしたいと思います。これは面白いです。サスペンスだし、人間ドラマだし、人々が絡み合って、とても楽しめるお話になっていました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
フランス映画祭「ＥＬＬＥ」
http://unifrance.jp/festival/2017/films/elle