「怪物はささやく」母親への想いが怪物を創り上げ、真実を突き止めて行く。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「怪物はささやく」を観てきました。

 

ストーリーは、

裏窓から教会の墓地が見える家で難病の母と暮らしている少年コナー。ある晩、彼の前に怪物が現われ、これから3つの「真実の物語」を語ること、そして4つ目の物語をコナー自身が語るよう告げる。しかもその内容は、コナーが隠している「真実」でなければならないという。嫌がるコナーをよそに、怪物は夜ごと現われては物語を語りはじめる。

というお話です。

 

 

少年・コナーは、病気の母親と暮しています。母親は長く治療を続けているのですが治る様子は無く、コナーはいつも不安に怯えていました。両親は離婚しており、父親はアメリカに既に新しい家族と住んでいます。

 

ある日、母方の祖母がやってきて、母親が一時入院するからと言い、一緒に住むようになります。祖母は厳しく、コナーの自由にならず、コナーのストレスは極限になり、ある夜、夢を見ます。彼の前に巨人が現れ、お前に3つの物語を語るから、終わったら、お前が4つ目の話をするようにと言われます。

 

 

怪物は、いつも12:07に訪ねてきて、話しをし始めます。最初の話は、ある王国のお話。二つ目は薬屋と司祭のお話。3つ目は誰からも見えなかった透明人間の男の孤独のお話。

 

日毎にコナーの母親の病気は悪化していき、どんな治療薬も効かなくなり、最後の望みだった”イチイの木”の薬も効きませんでした。母親は、もう、いつ亡くなってもおかしくないという状態になってしまい、コナーは怪物に助けを求めます。

 

 

コナーに呼ばれた怪物はコナーの元にやってきて、4つ目の話をするようにと話します。しかしコナーは拒み、話したくないと突っぱね、母親を治して欲しいと願いますが、怪物は、自分がやって来たのは、母親を治す為では無く、おまえを癒すためだと話します。追い詰められたコナーは、等々、怪物に話しをし始めます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

このお話、辛い話ですね。13歳くらいの男の子はまだ母親が必要な時なのに、重い病気で苦しむ母親を労わって、気遣って、守らなければならないなんて、それは、可哀想だと思いました。そりゃ、怪物も現れますよ。

 

 

この怪物は、コナー自身の分身なんだと思うのですが、その怪物は、3つの物語を話しながら、人間それぞれの立場によって正義は違うのだと言う事を語っていきます。確かにそうなんですよね。被害者だと思っていても、誰かから見れば加害者であり、一番の破壊者だったりする。だから、考えを持つ時は、必ず、相手の立場だったらどう思うかという事を考えるべきなんです。それを、コナーという少年は、既に自分の中に持っていて、それを怪物に語らせる。自分で自分に問いかけているんです。凄く苦しいと思いました。

 

 

コナーは、母親に治って欲しいきっと治ると考えながらも、この病気は治らない、なんでいつまでも苦しめるんだと思っている。これって、誰でも思いますよね。病気の母親を看病していたら、治って欲しいと思いながらも、もう楽にしてあげたいし自分も楽になりたいと思う。その繰り返しだと思うんです。でも、コナーは、自分が楽になりたいと思うって事は母親の死を願っている事だから、自分は酷い人間だと思って、自分を責め続けているんです。

 

自分を責めるコナーは、そう思う事は普通の事だし仕方のない事だと納得させようとする自分の中の葛藤を、自分と怪物という関係の中で解決しようとするお話なんです。13歳なのに、ここまで理解して考えているんだから、素晴らしい子供ですよね。これ、大人だって解決出来ない事だから。

 

 

人はいつか必ず死ぬものだし、それがいつ来るかなんて誰にも分らないでしょ。あまりに病気などで苦しんでいる姿を見たら、もう見たくないと思いますよ。それが大好きな母親なら尚更だと思います。男の子にとって、母親は自分のすべてですもん。

 

このお話、身近な人を亡くした事のある人なら、このコナーの気持ち、解かると思います。誰もが、一度は感じる事ですから。それは悪い事では無いし、そう思う事こそが、これから身近な人を送ることを受け容れる準備なんだと思います。必要な事なんだと理解して良いと思いました。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当は、超お薦めと言いたいほど感動したのですが、この話は、人によって、全く感じない方もいらっしゃると思うので、何とも言えません。愛する人を亡くす苦しみを知っている人でないと、この感情は分からないと思うんです。ですから、観る人を選ぶ作品だと思います。気になったら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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