「海辺のリア」を観てきました。
ストーリーは、
役者として半世紀以上のキャリアを積み、かつては大スターとして映画や舞台で活躍した桑畑兆吉。認知症の疑いがある兆吉は、家族に裏切られ、遺書を書かされた挙句、高級老人ホームへと送り込まれる。ある日、その施設から脱走した兆吉は、シルクのパジャマ姿にコートをはおり、スーツケースをひきずり、あてもなく海辺をさまよううちに、娘の伸子と突然の再会を果たす。伸子は兆吉が妻とは別の女に産ませた子だったが、そんな伸子が私生児を産み、それを許せなかった兆吉は、伸子を家から追い出した過去があった。兆吉は再会した伸子に「リア王」の娘であるコーディーリアの幻影を見る。
というお話です。
この映画は、シェイクスピアの「リア王」を日本の現代に置き換えているような内容です。昔、俳優でトップに居た男が、今は年老いて、娘に全てをむしり取られて捨てられるって事なので、シェイクスピア版リア王の話をある程度知っていないと、この映画は分かりにくいかと思われます。という訳で、映画の解説は上記で、リア王の解説をしますね。
ブリテン国王のリア王はそろそろ引退を考え、3人の娘に自分を大切に思ってくれている順に、沢山の遺産を分け与えようと話し、長女と次女は誰よりも父親を愛している事を嘯き、末娘だけは、嫁いだら相手の男性を愛するので父は2番目だという事を話します。リア王は、長女と次女に遺産を分け与え、末娘は追放するように他国に嫁がせるんです。
蓋を開けてみれば、リア王は全てを長女と次女に取られて、荒野に捨てられるんですよ。末娘のコーディリアは、父親を心配して、嫁ぎ先のフランスから軍を伴いドーバーに上陸するのですが、ブリテンを操る長女ゴリネルと次女リーガン、ゴリネルの夫・オールバニ公、リーガンの夫・コーンウォール公が迎え撃ち、フランス軍は負けてしまいます。
そんな中、ゴリネルはリーガンの夫と不倫し、リーガンを殺そうとするのですが、リーガンもその策略に気が付き、反対に策を巡らせ二人を陥れようとします。結局、ゴリネル、リーガン、そしてコーンウォール公は亡くなり、マトモだったゴリネルの夫・オールバニ公のみ残って、リア王に会います。
リア王は、コーディリアは何処にいると聞くと、ゴリネルが捕虜にしていて、既に処刑の命令を送っていたことが判り、リア王が駆けつけると、既に殺されている姿を見つけます。自分の考えの無さに後悔し、嘆き悲しみ、息絶えるんです。
そんなお話を、そのまま置き換えているので、仲代さんがリア王、原田さんがゴリネル、阿部さんがオールバニ公、小林さんがコーンウォール公、コーディリアが黒木さんとなっています。次女役は割愛ですかね。
この映画では、ラストがちょっと違っていますが、きっと長女が転落するだろうなっていう期待を持ちました。
映画としては、まるで演劇の舞台を野外でやっているような雰囲気で、とても美しいと思いました。映画として観ると、ちょっと不思議な感じなのですが、これを舞台の映画化と思えば、説明的なセリフも、大振りな仲代さんの演技も、全く違和感が無くなると思います。
このキャストで、リア王の舞台をやったら、素晴らしいだろうなぁ。本当に観たいと思いました。まぁ、難しいと思うけど、でも、もし、これが生で観る事が出来たら、どんなに素晴らしいんだろうと思います。仲代さんのリア王、観たいなぁ。ダメ男のオールバニ公を阿部さんがやったら、大きな背が小さく見えるかも。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。但し、舞台を良く観ている方には、受け入れられると思いますが、映画として観ると、ちょっと受け容れるのに難しいかなと思いました。映画としての動きが少ないんです。舞台なら当たり前の事ですが、映画という広いメディアとしては、ちょっと難しいかなと思いました。ぜひ、観てみてくださいね。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
![]() |
リア王 (光文社古典新訳文庫)
Amazon |
![]() |
シェイクスピア 映画大全集 DVD10枚組 BCP-057
2,037円
Amazon |