「武曲 MUKOKU」敵と闘いながら、実は自分と闘っていることに気付いてこそ見えて来る。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「武曲 MUKOKU」を観てきました。

 

ストーリーは、

剣道の達人だった父に幼少時から鍛えられ、剣道5段の腕を持つ矢田部研吾。しかし父をめぐるある事件をきっかけに剣を捨て、自堕落な日々を送っていた。研吾のもう1人の師匠である僧侶・光邑は、研吾を立ち直らせるため、ラップのリリック作りに夢中な高校生・羽田融を送り込む。融は剣道初心者だったが、本人も気づかない恐るべき剣の才能を秘めていた。

というお話です。

 

 

剣道5段の腕を持つ矢田部研吾は、自他楽な生活を送っている。剣道の達人だった父親に子供の頃から鍛えられ、父を目標としてきたのですが、どうしても父親とは解り合うことが出来ませんでした。ある事件により、剣道を辞め、フリーターとなって、昼から飲んでふらふらするような生活を送っています。

 

研吾のもう一人の師匠である僧侶・光邑は、剣道を教えている高校の体育館で、ある少年に出会います。剣道初心者の少年・羽田融は、剣道部の部員との諍いにより、体育館に連れ込まれ、勝負を挑まれます。初めて竹刀を持つはずなのに、その動きには光るものがあり、光邑は、その才能を見抜き、剣道をやるように勧めます。

 

 

剣道を始めた融は直ぐに頭角を現し、ある日、高校の剣道部に光邑に呼び出された研吾は、融と試合をする事になります。初心者の融に負ける訳が無いと思っていたのですが、無心で向かって来る融に一本を取られてしまう研吾。驚き、怒る研吾ですが、光邑に、今のお前ではコイツにも勝てないと言われ、自分を恥じる研吾でしたが、どうしても、事件の事が頭から離れず、一歩踏み出す事が出来ません。

 

 

融は、研吾が気になり始め、もっと自分と闘って欲しいと思い、研吾に付きまとい、もう一度、自分と闘って欲しいと願います。そんな真っ直ぐな融と出会い、自分と向き合い、父親と向き合い、今まで、自分の中に溜め込んでいた苦しみを吐き出し、そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

研吾という男が、ある事件から立ち直る話です。書いてしまうと簡単ですが、まぁ、その事件が酷いのよ。これ、どう考えても、研吾が被害者じゃないですか。やりたくてやった訳じゃないし、こんな事されたら、そりゃ、研吾の心は壊れてしまいますよ。周りは、確かに、お前のせいじゃないって言ってくれるけど、人間壊れちゃうよね。酷い話だと思いました。

 

 

そんな研吾を立ち直らせる為に、光邑さんが当ててきたのが融くん。融くんは母子家庭で、本当に普通の男の子なんですが、剣道の天性の才能を持っていて、初めてにもかかわらず、スゴイんです。と言われても、剣道をやった事のない私には理解が出来ませんが、きっと動体視力が良いとか、洞察力が鋭いのだと思います。それなら相手の動きが読めるから、武道とかなら強くなると思うもん。

 

 

融くんを研吾に当ててみると、自分の父親が望んでいた才能を持った青年の融を見て、父親に攻め続けられているような気持ちになり、闘争心が湧き上がるんですよ。父親への反発と、負目と、そして、本当は父親をとても愛していて、解り合いたかった、手を取り合いたかったという気持ちの全てが湧き上がってくるんです。

 

 

その感情の変化が、良く描かれていて良かったなと思いました。綾野さん、上手いですよね。村上くんも負けず劣らず、本当に上手くなりました。そんな二人がぶつかる気迫が、何とも凄かったと思います。

 

でもね、アクション映画でも無く、心の内面を描く作品なので、それ程、表立っての変化が見えず、演技の中の人物たちの葛藤を読み取ることが出来ないと、あまり面白いと感じられないかも知れません。

でも、剣道の試合とかは、迫力があって面白かったですよ。私は引き込まれましたもん。こういう場面を見ると、剣道もやってみたかったなぁとか思います。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な作品では無いし、心の内を描く作品ですので、万人に楽しんでもらえるかと言うと、ちょっと難しいかも知れませんが、人間の再生、恐怖からの脱却、などが描かれているので、もし、同じ様な気持ちを味わったことがある方には、心に刺さって来るかも知れません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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