「アルビノの木」を観てきました。
ストーリーは、
農作物を荒らす害獣駆除会社で働くユクのもとに高額報酬の仕事の依頼が舞い込んだ。それはかつて鉱山として栄えた山あいの村で、「白鹿様」と呼ばれる鹿を秘密裏に撃つことだった。ユクは普通の鹿と異なるというだけで害のない動物を殺すことに多少の疑問を感じながらも、山に分け入っていく。山の集落で静かに暮らす人びとと出会い、山々や木々など圧倒的な自然に触れるユクの前に白い鹿が現れる。
というお話です。
害獣駆除会社で働くユク。母親が病気で入院し、その手術費用を工面するため、ある地方の山の害獣を駆除して欲しいという高額報酬の仕事を引き受けるかどうか悩んでいました。その山間の村には「白鹿様」と呼ばれるアルビノの鹿を神と崇める風習が残っており、その風習があるが故に、村の人々は、外界との交流をあまり持たず、周りの市町村からはあまり良く思われていないのでした。その地域を収める行政庁は、その鹿が居なければ、もっと開かれた市政が行えると考えたからなのか、アルビノの鹿を駆除して欲しいというんです。
ユクは、母親の病気が悪化し、直ぐにでも手術が必要となったため、仕方なく、その仕事を引受け、その山に向います。山に入る前に、その村に詳しい猟師に話しを聞きに行くと、白い鹿を神と崇めているという話を詳しく聞き、ユクと一緒に駆除に行った仲間は、そんなものを撃ちたくないと仕事を辞めて山を下りてしまいます。
ユクは、一人、その仕事を引受け、山へ分け入ると、その村に住む女性と出会い、交流を深めて行きます。彼女に惹かれて行くユクは、その鹿を本当に殺して良いのか、彼女に相談をすると、彼女は考えた末、殺して欲しいとユクに頼みます。
「白鹿様」を駆除に向かったユクは、「白神様」を崇めている村の男性に阻止されるも、母親の手術費用が必要な上に、彼女にも乞われたので、全てを振り切って、「白鹿様」を駆除する事に成功します。都会に戻ったユクは、母親の手術も無事に終わり、村で別れたきりの彼女に会いに行こうと、再度、山に向かうのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
うーん、この映画、どうかなぁ。獣害とはっていう問い掛けをしている内容なのですが、もっと「もののけ姫」的に、ファンタジーに傾いているのかなと思ったら、現実的に作られていて、取っつき難いというか、受け入れにくい感じなんです。
白鹿様というアルビノの鹿が、もっとファンタジックで、象徴的に大切にされていて、何か力があるのかと思ったら、結構、普通の鹿なんですよね。ただアルビノなだけなの。でね、その鹿を駆除するってだけだから、別に、他の鹿を駆除するのと変わらないんだけど、そこに人間同士の事情が絡まってって事だと思うのよ。それが、どーも、シックリ来ないんですよねぇ。
村人が神と崇めているなら、それなりの理由があるハズなのに、ただ白いだけってだけだからインパクトが無いし、観ているこちらからは、どうしてそんなにこだわる訳?って思っちゃうんです。それなら、白いカラスでも、白いスズメでも、白いタヌキでもイイじゃん。白鹿というから、もしかして”でいだらぼっち”的なモノかなと思ったのに、残念でした。
害獣ってなんだって言うと、そりゃ、人間の生活圏に邪魔な動物ってことでしょ。人間が山を侵蝕した癖に、自分たちの邪魔するのは害だと言い放つ人間が一番の害獣なんですけど、今は食物連鎖の頂点にいるから人間が王様。好き勝手をしているだけなんです。でも、その内、神様の鉄槌が下されるでしょうね。仕方がないことです。その時は諦めて、鉄槌を受けるしかない。
人間が、いくら綺麗事を言っても、何も変わりません。保護をしようと動いても、結局はウィルスの元凶である人間が減らない限り、変わらないんです。
そんな諦めにも似た気持ちになった映画でした。映画としては、万人受けする内容では無いし、分かりにくいし、面白いと言えるほどでは無いような気持ちがしてしまいましたが、もっとエンタメとして改良すれば、楽しめるのかなと思いました。
私は、この映画、まぁ、お薦めしても良いかなぁ、どうかなぁ、という感じですかね。面白くない訳では無いのですが、イマイチ、途中で退屈になるし、鹿の描写に違和感があって、何ともなぁという感じでした。既に公開は終わっているけど、もし、観る機会があったら、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。