イタリア映画祭4作目「La vita possibile」を観てきました。
邦題は「はじまりの街」で、今年の秋に日本公開だそうです。
ストーリーは、
夫の暴力に耐えかね、アンナは13歳の息子ヴァレリオを連れてローマからトリノに向かう。トリノでは旧友の舞台女優カルラが、ふたりを自宅に温かく迎え入れる。突然見知らぬ街に住む事になったヴァレリオは、周囲に馴染めず、放課後自転車で町を放浪するヒビを送る。友達も出来ず、言葉を交わすのは、近所のレストランを経営するフランス人のマチューと、公園で客引きをする東欧出身の娼婦ラリッサだけだった。
アンナが清掃の職を得た日、息子は復縁を願う父親が自分宛に書いた手紙を見つけ、手紙を隠した母親に反発して家出をする。ヴァレリオを探すのを手伝ったマチューは、その後も何かと彼を気に掛ける。同じ歳の弟がいると話す娼婦のラリッサに、ヴァレリオは淡い恋心を抱くが、彼女が脚の相手をする現場を見て傷つき、母親に対してこれまでの不満を爆発させる。傷ついた心をマチューに打ち明け、ヴァレリオは母親に謝罪する。同居生活に安らぎを感じ始めたカルラが見守る中。ふたりの新生活は気球のように上昇し始める。
というお話です。
夫のDVに苦しみ、警察にも頼んでいたのですが家に侵入され、息子の目の前でボコられた母親・アンナは、とうとう息子のヴァレリオを連れて、トリノにある友人の家に逃げるんです。この息子の目の前で妻をボコる夫って、トンデモネーって思うんです。これ、トラウマになるよね。映画の中で、息子はおもらしをしてしまうのですが、それくらいショックだと思います。本当に可哀想でした。
夫のDVから逃げるのは、本当に大変な決断だと思います。だって、それまでの人生をほとんど捨てなければいけない訳でしょ。辛いですよね。結婚する前にDVをする男だって判っていれば結婚なんてしないのに、まず判らないですもんね。それに、優しかった夫が、いきなり、ストレスで豹変する事もあるんでしょ。恐いです。我が家は大丈夫かしら。喧嘩はするけど、手を挙げられたことは無いからなぁ。きっと、私なんて小っちゃいから、夫に殴られたら、直ぐに骨折とか内臓破裂だろうな。良く言っておかなくっちゃ。
ヴァレリオは、新しい所で直ぐに友達は出来ず、父親を憎む気持ちもあるけど恋しい気持ちもあって、何をして良いのか分からず、自転車で町を走り回ります。友人の家に転がり込んでいるので、ヴァレリオには一人になる部屋も無いんです。思春期の男の子に、この状況は、あまりにも可哀想でした。

でも、DV夫の所に居る訳にもいかないでしょ。不安定な息子にカウンセリングを受けさせたくても、両親の同意が必要だから、父親の分が取れないので、出来ないんです。やっぱり、こういう所は、行政が助けてあげる法改正が必要ですよね。夫に住所を知られたら踏み込まれるし、女性を守る為のシェルターが必要だと思いました。どーも、行政って、他人事だと思って、抜けているのよねぇ。日本でも、元夫に住所を教えちゃったりして、殺された事がありましたよね。もっと危機感を持ってもらわないと、あっと言う間に何か起こるんだから、困ります。

アンナは、何とか仕事を見つけて働き始めます。ヴァレリオは、アパートの前のレストランのオヤジと仲良くなったり、娼婦のラリッサに出会ったりして、少しづつ、心を開き始めます。でも、大人たちには、それぞれの事情があったりして、ヴァレリオの理想とは違ったりして、この頃の男の子は難しいっす。でも、こうやって大人になって行くんだよ。誰もが通る道なんです。優しい男性に育って欲しいけど、父親の事があるから、どうなって行くのかな。

私は、この映画、お薦めしたいと思います。これ、日本でも同じような事が沢山起こっていると思うんです。一緒に考えて行かなくてはいけない問題なので、ぜひ、観て欲しいし、行政は考えて欲しい。子供が安心して暮らせる環境を作ってあげる事が、これからの未来を考える一番大切な事だと思います。ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
イタリア映画祭 http://www.asahi.com/italia/2017/