「ぼくと魔法の言葉たち」を観てきました。
ドキュメンタリーなので内容は、
サスカインドの次男オーウェンが2歳から言葉を失い、コミュニケーションが取れなくなってしまった。オーウェンが発するモゴモゴとした意味不明の言葉の正体が、彼が毎日擦り切れるほど見ていたディズニー映画「リトル・マーメイド」に登場するセリフであることに気づいた父ロンは、息子の好きなディズニーのキャラクター、オウムのイアーゴのぬいぐるみを手に取り、身を隠しながらオーウェンに語りかける。父の問いかけに言葉を返すオーウェン。その時、オーウェンは7歳になっており、5年ぶりに耳にした息子の言葉に涙をこらえながら、両親はディズニー映画を通じてオーウェンの言葉を取り戻すための作戦を練る。
というお話です。
オーウェンは、2歳になった頃に突然、喋らなくなるんです。幾つもの病院を周って、最後に出された診断が自閉症なんです。でもね、それまでは、普通に言葉を覚えて、会話をしていたんですよ。不思議ですよね。でも、2歳ころまでは、まだ子供には自我が目覚めて無くて、自分というものを自覚した時点で、話す事を止めてしまったのかなと思いました。
それからは、御両親が凄く献身的に支えて、話さないオーウェンは成長していきます。時々、何かに反応するオーウェンに、きっとこの子は言葉の意味が解っているはずだと思っていた御両親は、ある日、オーウェンが何かをつぶやき、何を言っているんだろうと医者に連れて行くのですが、医者は、何かの音を反復しているだけで、条件反射だと言います。5年ぶりに息子の言葉を聞いた両親は、絶対に何かを話しているはずだと、根気強くオーウェンに話しかけます。最初にオーウェンが話した言葉は、ディズニー映画のリトル・マーメイドのジャファーのセリフだった事に気が付き、ディズニー映画をきっかけに、言葉を取り戻す為に、訓練をしていきます。
ディズニーの映画をきっかけに、話すことが出来るようになり、障害を持つ人々が集まる施設で、ディズニー倶楽部というサークルのようなものを作って、コミュニケーションの取り方を学んでいきます。オーウェンだけではなく、他の人々も、このサークルによって、色々なことを学び、自立への道を歩んでいきます。そして・・・。
という感じの内容でした。
とても繊細で、こだわりが強いオーウェンですが、自閉症というくくりの中では、ご両親の努力もあってなのか、他人とのコミュニケーションも上手くて、沢山の人々の中でも、暮らして行けるようでした。いつも考えるのですが、この自閉症という障害は、何なのでしょうか。
私の子供の頃も、小学校の1クラス、何人くらいいたのかしら。その中でも、勉強の出来る子と出来ない子、社交的な子と引っ込み思案な子、頭の回転が速い子と遅い子、運動神経の良い子と悪い子、沢山の個性を誰もが持っていて、そこに、優越感や劣等感が生まれて、子供ながらに、順位が出来たような気がします。そんな中でも、集団生活に溶け込めず、付いて来れない子が一番最下位に居たような気がします。その子が、今で言う自閉症だったのかな。最後まで学校には来れず、いなくなってしまった子もいたと思います。でも、もちろん、一緒に進学した子だっていたんです。
今の時代だと、障害などの診断も進み、色々な診断をされるのだと思いますが、昔は、酷い障害でない限り、ちょっと変わった子とされて、そのまま、学校に放置されました。○○ちゃんって変だよ、とか言われて、そのまま、学校に通っていれば、進学させられた訳です。今思うと、それが良かったのかな。何でも、病気とか障害って言われてしまうと、同じように教育が受けられず、無理もさせないようになり、家に閉じこもるようになっちゃうんじゃないかな。昔は、変わっているけどと言いながらも、同じ部屋に置かれていたので、強制的に教育をされてしまったんですよね。そして、下の方にいる子供を、上にいる子供が助けていたので、助けるという行動を、知らず知らずの内に、覚えて行ったのかなと思います。
でも、今は、直ぐに病気や障害だとされて、隔離させられてしまうので、人を助けるとか、待ってあげるという気持ちを持つことが無くなったから、”情”というものが薄くなったのかなと思いました。この映画の中では、ご両親が、どんな診断をされても、諦めずに、普通に接していくという事を徹底して、言葉を復活させて、行動も自由に出来るようになり、独り立ちするのですが、これって、家庭だけでやるもんじゃなくて、社会全体でやることなのになぁと思ったのは、私だけなのかな。
本当に昔って、私みたいに不思議ちゃんでも、ちゃんと注意されて、怒られて、優しくされて、一般的にいう、”強制的に矯正”されたと言うのが正しいと思うんだけど、悪いことは悪い、良い事は良い、正義と悪の違いを完璧に教えられ、努力しろと言われたんですよね。出来ないと言っても、出来るまでやらされた、そういう時代だったんです。そんな時代に、日本ではロボットアニメが盛んで、正義と悪、努力をすれば地球を守れるんだってアニメで教えられていたんです。だから”頑張れ”っていう言葉がいつも出て来てしまうんです。
同じように、オーウェンはディズニーアニメで活路を見出します。ディズニーアニメも同じで、正義が必ず勝つし、努力をしないと夢は叶えられない。いつの時代も、どこの国でも、同じなんです。子供の頃に、障害だ病気だと騒がず、大切なことを教えてあげることが、生きて行くことに繋がるのかなと思いました。アニメは永遠ですね。やっぱり、子供の頃に、大切なアニメに出会う事って、大切なんだなって思いました。
出来ればオーウェンは、一般の学校で一緒に生活して、教育を受けて欲しかったけど、障害が大きかったからか、普通の学校には受け入れてもらえなかったようでした。それでも、社会の中で、一人で生活が出来るほどになり、コミュニケーションが取れるようになりました。日本も、もっと、そんな風になっていったら、優しい国になるのかなと思います。でも、最後に毒づくけど、何の努力もしないで、人に助けて貰おうなんて、100万年甘いんだよ。その努力が何の役に立たないように見えても、努力という”力”が人の気持ちを動かすんです。みっともなくても、カッコ悪くても、這いつくばって頑張れよ。必ず、誰かが見て、手を差し伸べてくれるハズです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。医者に見放されても、努力をして、独り立ちしていく彼の姿は、ステキだと思いました。やっぱり、こういう映画を観るべきだよね。お金持ちが悠々自適に生活をして、自然を愛してとかご託を並べている映画を観るより、よっぽど有意義だと思います。ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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