舞台「足跡姫」を観てきました。
ストーリーは、
江戸時代のとある鄙びた芝居小屋。三、四代目出雲阿国座の看板踊り子、三、四代目出雲阿国と二番手の踊り子ヤワハダたちが妖艶に舞う女カブキは、幕府では御法度。伊達の十役人が河原に取り締まりにやってくる度、一座の男たちが女形に化けて、女たちとすり替わって難を逃れてきた。
阿国の弟サルワカは母恋しさに穴を掘ることに熱中する変わり者で、騒動を起こして座長の万歳三唱太夫の怒りを買う。ある死体を我が物にしようとする”腑分けもの”と、何やら密かに企んでいる”戯けもの”とともに、姉弟そろって一座を追い出されるはめに。困り果てた阿国は「サルワカに女カブキの筋(すじ)を書かせてみては」と提案。そこに売れない幽霊小説家が現れ、サルワカのゴーストライターを買って出た。やがてサルワカと幽霊小説家による新作『足跡姫』の幕が開く。
一方、ヤワハダを持ち上げて劇団を始めた万歳三唱太夫は、ヤワハダを餌に、役人と手を組み、大っぴらに女歌舞伎をやり始め、将軍様の前で披露するほどになっていくのですが、ヤワハダは、出雲阿国として舞台に立っていたので、阿国という証拠を持ってくるように言われてしまいます。出雲阿国としての証拠となる書付を、本当の阿国から取り上げようと、阿国に近づくヤワハダ。二人は争う事になり、阿国はヤワハダを殺してしまいます。
阿国はヤワハダが持っていた、将軍の前で踊るための札を手に入れ、本当の阿国として御前で舞台を披露しようとするのですが、その札を持っていると言う事は、ヤワハダを殺した犯人だと言う事を告白しているようなものであり・・・。後は、舞台を観て下さいね。
とっても感動的な内容でした。形として残らない芸術を、のちに伝えていく為に沢山の人々の苦労とか思惑とか、そういうものが混じり合って、また新しい形になって行くということが描かれていました。
出雲阿国は、弟のサルワカを大切にしていて、ちょっとぼんやりしているような弟には、何か才能があると思い、脚本を書かせるのですが、死体だったゴーストライターに頼んでいるとは思わなかっただろうなぁ。それに死体だった人が動いて、色々助けてくれるって、笑えました。確かにゴースト(幽霊)ライターだけど、どこでどうなってんのか、もう、理屈じゃないんですよ。野田さんのお話って、そういう部分が多いのですが、それが苦にならないんですよねぇ。不思議です。
大騒ぎして、すごく楽しい舞台なんだけど、最後に必ず泣かしてくれる内容に、いつも野田さんって凄いなぁと思ってしまいます。そして、いつも自分も出演されていて、トンデモナイ役なんですよねぇ。今回は、死体が欲しい人なんですけど、双子らしいんです。笑えるでしょ。聞いただけだと、何なんだ、その役って思うと思うけど、これがしっくりくるのよ。何故に、この設定で上手く回るかなぁと思うんだけど、出来るのよねぇ。不思議よねぇ。(笑)
愚行録の時にも書いたけど、やっぱり妻夫木さん、本当に上手くなったと思います。昔から上手かったけど、ここ数年で、格段にそれが上がったような気がしました。男性って、結婚すると変わるのかな。鰻のたれみたいに、継ぎ足して継ぎ足して、とうとう完成したような、そんな感じが見えていて、嬉しくなりました。
この舞台、もちろん、超!超!お薦めなのですが、チケット、手に入らないかも知れません。もし、観れるチャンスがあるなら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
足跡姫 http://www.nodamap.com/ashiatohime/