舞台「幽霊でもよかけん、会いたかとよ」を観てきました。
ストーリーは、
長崎県の小さな町に住む、ある家族の物語。
剣道場を営む嬉里家の長女・弥生は、父・広重の反対を押し切り女優を目指して上京したのだが、母の死をきっかけに実家に戻って来た。
そんな折、母の死から49日を目前に心労で倒れた父の寝言「お前に会いたか・・・幽霊でもよかけん、会いたかとよ」。それを聞いた兄・康弘と弥生は、父にはどうしても”亡くなった母に聞きたかった事がある事を知る。
兄妹の話しを聞いた珍客の提案により、母と瓜二つである弥生が母親の幽霊を演じるというとんでもない計画を実行して、父親が胸ため込んでいる母親に聞きたかった事を吐き出させてしまおうとします。
親類そして町民をも巻き込んだ計画は果たして、成功するのか。父が母に伝えたかった思いは届くのか。
というお話です。
まぁ、聞いたことがあるようなお話ではあるのですが、とっても感動してしまうような良い作品でした。子供達から見ると、両親の恋愛なんて知りたくもないけど、でも、両親が本当に愛し合っていたと言う事を知ると、自分たちは幸せなんだという事を感じるのではないかと思うんです。
亡くなった母親の事を、今でも夢に見て、夢の中で問い掛けている父親の後悔を考えたら、騙してでも、スッキリさせてあげられたらと思うのは、間違っていないと思うんです。嘘は良く無いけど、人を助ける為の嘘なら、やっぱり必要だと思うんですよね。
この嬉里家の弥生は、本当は、とっても優しい娘なんだけど、それを父親に伝えるのがとても下手な、不器用な娘なんです。それに対して、父親も、とても娘の事を思っていながら、伝えられないような、無骨な父親なんです。そんなそっくりな父娘を見ている長男は、きっと母親に似ているのだと思いますが、優しくて、懐が大きそうな男性なんです。長男が見守っている中で、父娘は、意地を張りながらも、思い合っていることが良く伝わってきて、ほっこり感動するような内容でした。
大笑いしながらも、そんな温かいお話を見せて頂いて、感動してしまいました。やっぱり、父親役の渡辺哲さん、素晴らしかったです。ガンコ親父の役なんですが、その時々で、なんだか、とっても可愛く見えて来てしまって、大笑いでした。何でこんなに、百面相みたいに出来るのかしら。もう、ため息が出てしまうほど、上手いと言うか、気持ちに染みてくるというか、感動でした。
福士さん、初めての演出ということで、どうなるのかなぁと思っていたのですが、とても王道を行くような演出で、舞台も昔ながらの民家を造られていて、良かったと思います。慣れて行くと、また、色々な冒険をしてくださるのでしょうね。楽しみです。
貫地谷さんと駿河さん、良かったです。優しい両親から生まれた良い兄妹という雰囲気が出ていて、感動でした。伊嵜さん、成長したんですねぇ。「夢」で見た時は、可愛い少年だったけど、こんなに立派な男性として舞台に立っていて驚きました。良い役者になりましたね。大竹さん、「乱」の舞台では拝見させて頂いていたのですが、今回は、強烈な役で、大笑いいたしました。その頭、ツボでした。今後も楽しみです。
とっても楽しい舞台で、満足をさせて頂きました。私は、超!お薦めしたいと思います。下北沢の駅前劇場での上演なのですが、小さい劇場なのに、パワーが溢れていて、素晴らしかったです。また、彼らの舞台を観てみたいと思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
「幽霊でもよかけん、会いたかとよ」 http://www.atari.co.jp/2016_yureidemo.html

