「怒り」これは凄い作品です。1つの事件の容疑者らしき男が3人。誰が犯人なのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「怒り」の試写会に行ってきました。Yahoo!のレビュアー試写会が当選いたしまして、行かせて頂きました。

 

ストーリーは、

東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は、無人島で田中という男と遭遇するが……。

というお話です。

 

 

ある夏の日、八王子郊外の住宅地で殺人事件が起こります。夜になっても気温が30度を下回らない茹だるような暑さの中、締め切った室内で、犯人は全裸で現場に6時間も留まっていたらしい。犯人は、現場に「怒」という地文字を残し、逃亡をして顔を整形したらしい。

 

それから1年後、TVの特別報道番組として、指名手配犯の情報を求める放送がされ、顔写真が整形した場合などのバージョンを交えて伝えられます。そんな番組を横目で観る3地域の人々。

 

千葉の漁港で暮らす陽平と娘の愛子。愛子は、少し知能が遅れているような様子が見られ、陽平は目が離せない。そんな2人の前に、田代という青年が現れ、漁港で働き始めます。黙々と真面目に仕事を熟す田代に惹かれて行く愛子ですが、陽平は心配でたまりません。しかし田代と愛子の距離は縮まり、一緒に暮らす事になります。無下に引き離す事が出来ない陽平ですが、素性の判らない田代を不安に思い、彼の事を調べ始める陽平でしたが・・・。

 

 

東京の大手企業に勤める優馬はゲイであり、出会いの店で直人という青年と知り合います。行くところが無いという直人に、家に来るかとさそう優馬。得体の知れない直人に「お前を全面的に信用している訳じゃないから。」という優馬に、そういう事を言ってくれるなら、信用されているんだねと喜んだ表情を浮かべる直人。お互いに惹かれあい、2人で優馬の余命少ない母親の面倒を見たりしているのですが、ある日、カフェで女性と楽しそうに話す直人の姿を偶然見てしまった優馬は、直人が信じられなくなってしまいます。そして・・・。

 

 

沖縄の離島に暮らす女子高生の泉。母親の事情で引っ越してきて、辰哉という青年と仲良くなり、無人島の探検に来ています。探索していると、廃墟に人影が見えて、恐る恐る声をかけます。田中という男性は、働きながら色々な所を旅していると話し、もうしばらくここでゆっくりしたいから、ここに居ることはナイショにして欲しいと話します。それから何度か無人島で会い、孤独だった泉は、この地に慣れて行きます。ある日、辰哉に沖縄本島に映画を観に行こうと誘われ、デートに出かけた2人は、本島で田中に会います。3人で飲み、辰哉はベロベロに酔っ払って島に帰ろうと田中と別れますが、辰哉と泉ははぐれてしまいます。そして・・・。

 

こんな3箇所に現れた素性の判らない男たち。3人とも、指名手配の写真に似ているようにも見えるし、似ていないようにも見える。素性の判らない男を信用出来るのか、それとも・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、凄かった!これ、まだ原作を読んでいないのですが、これから読みます。だって、映画、素晴らしいんですもん。最後、震えましたよ。だって人間が根本的に持っている猜疑心と信頼する心、この相反するものを、本当に良く描いているんです。1人の中に、どちらもあるからこそ、人は迷い、後悔し、愛するんですよね。そういう、何て言うのかな、この綺麗事だけじゃない、ドロドロしたものを内包しながらも、真っ直ぐに愛する心を失わない人間の美しさというのかな、そういうものが、この映画の中に入っていて、シビれました。

 

「悪人」の時も凄かったけど、これ、その上を行っているんじゃないかしら。この感動をどう伝えたら良いのか、上手く言えないんですけど、でも、考えれば考えるほど、人間って凄いって思っちゃう。そんな映画でした。

 

 

漁港の話では、愛する娘の為に、男を疑いながらも信じなければと自分に言い聞かせる父親と、愛する人を疑いながらも守りたいと思う複雑な気持ちの娘の葛藤が、観ているこちらにも伝わって来て、苦しくなりました。

 

ゲイカップルの話では、男女だろうとゲイだろうと、愛し合う2人に変わりは無いからこそ、嫉妬は人の感覚を迷わせてしまい、判断を誤ってしまうという事が伝わってきました。この2人、本当に美しくて、やっぱり同性婚も認めてあげて欲しいって思っちゃいました。私、先日、籍を入れたとこのブログに書きましたが、別に籍なんてどーでもイイやって思っていたんですけど、この話を観て、やっぱり籍を入れるのって、大切なのかもって思いました。だってどこかで倒れたら連絡が来て、同じ墓に入る訳でしょ。それを考えると、同性だって愛し合っていれば婚姻を認めてあげて欲しい。じゃないと可哀想だよ。やっぱり愛する人の事は知っておきたいよね。

 

 

沖縄の話は、これ、ちょっと”リンゼイさん殺害事件”を元にしているのかなって思いました。実際に、沖縄の方の島に逃げていたんですよね。そんな感じで、この田中という男が島で暮らしているんですけど、良くいるようなバックパッカー的な男性なんです。泉も辰哉も懐いて行くんですけど、どこか変わっている男なんです。この微妙な感じって、判断が難しいですよね。でも、若い2人には、そんな判断が出来ないんです。大人がもっと近くに居れば良かったんですけど。この話も、衝撃的でした。

 

この映画、出演者たちが、すごいチャレンジだったんじゃないかしら。内容が、とても衝撃的なものであり、すずちゃんも、良くこの役を熟したと思います。妻夫木さんと綾野さんも、ゲイの話なのに美しくて、2人の愛に感動してしまいました。宮崎さんは、ちょっと障害がある役を明るく演じていてステキでした。松山さんも森山さんも、もうベテランなので、どんな役でも、その役に入り切って演じていて、やはり舞台で慣らしているだけの事はあるなぁと感心してしまいました。渡辺さんは、もう、言う事は無いですね。完璧です。そんな素晴らしい役者がそろってこその、この素晴らしい映画だと思います。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは、感動でした。直ぐに動けなかったですもん。公開されたら、また観に行く予定ですが、やっぱり李監督、凄いっす。脱帽でした。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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