「だれかの木琴」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
夫と娘と郊外に越してきたごく普通の主婦・小夜子は、新しく見つけた美容院で髪を切った。その日のうちに届いた美容師・海斗からのお礼の営業メールに返信したことから小夜子の日常が一変する。何度もメールを送り、頻繁に店に足を運び、海斗を指名する小夜子。そして、海斗のアパートを探し当てた小夜子は、部屋の呼び鈴を押してしまう。ストーカー行為がエスカレートするほどに、小夜子はいきいきと輝き、美しくなっていった。
というお話です。
新居に越してきた、夫と娘と幸せな家庭を築いている小夜子は、新しい土地で、当たらしい美容院を見つけます。日常の出来事として、美容院で髪を切ってもらうのですが、初めての美容院で、新しい美容師の山田海斗に名刺を貰い、家に帰ると、お礼の営業メールを貰って、何となく、良い気分になってしまう小夜子。
営業メールに返信する小夜子でしたが、普通、営業メールに返信することは無いので、もちろん海斗も、返したと聞いた家族も不思議に思います。しかし、まぁ、メールくらいの事だからとそれ程気に留めずに、流してしまいます。
それから小夜子は、海斗にこだわりはじめ、彼に、まるで友人のようにメールを送り始め、美容院にも、頻繁に通い始めます。不思議に思った海斗は警戒をし始めるのですが、そんな事はお構いなしに、海斗に積極的に押し始める小夜子。ある日、海斗が休日の時に、家にまで押しかけてしまいます。すると、海斗の家には、海斗と海斗の彼女が居て、小夜子を牽制します。
海斗と彼女は、これで小夜子からのストーカーまがいのこだわりが消えるのではないかと思い、安心していたのですが、今度は、海斗の彼女の勤めている洋服やに来てドレスを買ったりだの、不思議な行動をしてしまう小夜子。そんな小夜子を見て、不安になって、悩んでしまう小夜子の娘と、小夜子の突然の変化に驚いて、どうして良いのか分からない夫。
そんな二人を尻目に、海斗にのめり込み、どんどんキレイになって行く小夜子ですが、さすがにキレた海斗の彼女に、自宅に乗り込まれ・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、小夜子の心情が、とても理解出来ました。きっと、主婦の方には、良く解ると思います。私も、今から何年も前に、前の結婚をした時に主婦をやっていたので解るんですよ。主婦って、忙しいとは思うけど、ぽっかり空く時間って、あるんですよね。そうすると、とっても虚しくなるんです。”私、こうやって年を取ってしまうのかしら”って、感じてしまうんです。
家族になって、子供も生まれて、成長してくると、夫は、仕事が面白くなる時期であり、子供も手を離れて、自分ひとりが取り残されているような気持になってしまう。そんな時、自分に興味も持ってくれた美容師にハマるという気持ちも分からないでは無いなぁと思ってしまいました。夫を愛していて、本当は夫にかまってもらいたいのに、仕事が忙しくてかまってくれないし、夜も相手になってくれない。そうしたら、妻も空虚になって不安になるし、他の男に目が行くのも当たり前よね。
でも、小夜子本人は、それに気が付いていないんです。これ、解るなぁと思ったのですが、夫を愛しているんだけど、夫が触れてくれなくて、何故か、美容院で男性に触れられると、それが夫と重なってしまうんですよね。その美容師とどうなりたいとか思う訳では無いけど、たまたま、触れてくれたという事で、こだわってしまう。それが、自分の夫であれば良いのにって事なんです。
だから、この映画でも海斗に彼女が居ようと、何だろうと、関係ないんです。夫は自分の所に戻ってくると信じているし、夫に重なる男性は、悪い人じゃないと思っているんですから。だけど、小夜子は、行動がエスカレートしてしまって、私、どうしたのかしらと思っているんですよね。この、彼女のふわふわ浮いている感じが解って貰えるかなぁ。全く、悪気なんて無いんですよ。でも、傍目から見れば、やっぱりおかしいんです。この不安定な雰囲気を、良く描いているなぁと思いました。主婦の方なら、解って貰えるかなと思います。
でもね、ただ夫の代わりになる、自分をかまってくれる男性を願っていてもダメなんです。それぞれ生活があるのだし、自分にだって家庭がある。それに気が付いて、彼女も、間違えちゃったっていう気持ちになるんです。でも・・・。
根本的に、やっぱり、主婦をしていると、寂しくなると思います。傾けるものが無いし、夫かまってくれないと欲求不満になるのって、解るよなぁ。ご主人、大変ですよね。子供が手を離れたら、夫婦の形を変えて行く事も考えた方が良いと思いますよ。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。面白かったです。とても身に摘まされました。まぁ、私は、そんな主婦を辞めちゃったんですけどね。(笑)主婦の方、子供が手を離れたら、外に出て、何かしてみることも大切ですよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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