「或る終焉」を観てきました。
ストーリーは、
死期が迫った患者の看護師として働くデビッド。息子の死をきっかけに元妻や娘と疎遠になった彼は、患者の在宅看護とエクササイズに励むだけの寂しい日々を送っており、患者たちとの親密な関係が心の拠りどころとなっていた。そんなある日、デビッドは末期がん患者のマーサから、安楽死を手伝ってほしいと頼まれる。
というお話です。
看護師のデビッドは、末期がんの女性の患者の介護をしています。病院で働くのではなく、患者の自宅に付添い、最後まで看取るというのが彼の仕事です。何処へ行くにも支えになり、お風呂に入れ、下の世話まで、全てをデビッドが手を貸し、やっと生活が出来るようになるのです。身体は弱っていくばかり。救いの無い仕事のように見えますが、デビッドは親身になって患者の事を思い、行き過ぎと言えるほどに介護をします。そして、女性は亡くなります。
デビッドは、看護師紹介所で、今度は建築家の男性の看護に付きます。病気で身体が動かなくなってしまい、リハビリをしながら看護をするのですが、頭は正常な患者の男性は、PCを与えると、AVを見たり、とてもお茶目なお爺さんなんです。そんな彼と仲良くなるデビッド。またデビッドの悪い癖が出て、患者に対して看護師以上の信頼をしてしまい、近づいてしまいます。そんなデビッドを、彼の家族は不審がり、デビッドを看護から外し、セクハラで訴えると言う事をしてしまいます。突然、解雇されたデビッドは、仕方なく、他の看護の仕事を請負い、今度は、末期がんの女性の看護に付きます。

新しい仕事は、実は、元妻と娘が住んでいる地域に近い場所であり、娘や元妻と久しぶりに会う事になります。デビッドは、息子が死んでから、妻と上手く行かなくなり、離婚をしたんです。妻は、以前、家族で住んでいた家に住んでおり、死んだ息子の部屋を久しぶりに訪れたデビッドは、その思いに浸ります。
新しい患者の女性は、末期がんが酷くなり、お願いだから自分を殺して欲しいとデビッドに頼みます。デビッドは、そんな事は出来ないからと断り、彼女の看護も解雇されてしまいます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、なんか辛かったなぁ。デビッドは、息子が亡くなって、それまで以上に看護の仕事にのめり込んでいったのではないかと思います。大切にしていた息子が、病気で苦しんで亡くなり、同じように苦しんでいる人をほおっておけなかったのかも知れません。でも、それって、救いが無いような気がしました。そんな事をしていたら、いつまでも息子を忘れられないですよね。どこかで忘れないと、苦しみは無くならないんです。
最初の女性は、苦しんではいるのですが、静かに亡くなっていきます。だから、それまでは、親身になって看護をしているのですが、2人目の患者の男性は、身体は動かなくても、頭はしっかりしているんです。だから、デビッドの良い友人のようになって行くのですが、仲良くなり過ぎて、疑われてしまうんです。デビッドには、友人にしてあげると同じようにしていたと思うのですが、家族からしてみれば、ただの看護師だから、そのデビッドの姿は、異様に見えたんでしょうね。
私だって、看護師が嫌に病気の家族にピッタリ寄り添って助けていたら、やっぱり、何となく変みたいに思うもん。そこまでしてくれって頼んでないのよって言いたくなっちゃう。看護師の方は、そこら辺の兼ね合いを考えるのって、難しいんでしょうね。大変な仕事だと思います。本当に頭が下がりますもん。
デビッドは、仕事以外に、ほとんど何も無いような人でした。家族と久しぶりに逢ってからは、少し、やる事も出来たかも知れないけど、仕事だけしかないと、人って、寂しいんでしょうね。それは、ダメでしょ。やっぱり、仕事は仕事、遊びは遊びにしないと。もし、友達が居なかったら、どこかに習い事にでも行けば良い。そこで友達も出来るだろうから。
ネタバレ出来ないから、最後の事は書けませんが、人の命って、病気で苦しもうが、ぽっくり行く事になろうが、事故などで突然であろうが、死ぬことは同じなんですよね。そしたら、苦しまない方が楽そうだけど、でも、突然に事故などで死ぬのも、自分の後始末が何も出来ないから辛いと思うんです。死んだら何も分からないでしょって思うかも知れないけど、でも、やっぱり心残りだろうと思うなぁ。出来れば、死ぬとなったら、用意がしたいなって思いました。エンディングノートを作らなくちゃ。
私は、この映画、まぁ、お薦めしても良いかなと思います。でも、ハッキリ言って、気持ちの良い終わり方をする映画ではありません。後に、もやもや残ります。でも、単館系の映画が好きな方には、色々、考えさせてくれる作品だし、良いと思いますよ。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・或る終焉|映画情報のぴあ映画生活
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