「下衆の愛」を観てきました。
ストーリーは、
40歳を目前にしながらも夢をあきらめきれない自主映画監督のテツオは、映画祭での受賞経験を唯一の心の支えにしながら、女優を自宅に連れ込む自堕落な生活を送っていた。そんな彼の前に、才能あふれる新人女優ミナミが現われる。新作映画の実現に向けて立ち上がったテツオは、「裸と動物」にこだわるプロデューサーの貴田や売れない女優の響子ら個性的な仲間たちと最後のチャンスに挑むが、やがて現実の壁にぶちあたってしまう。
というお話です。
映画監督のテツオは、一度の受賞経験を支えにして、今も良い映画を作りたいという夢を諦められず、実家暮らしをしながら、資金を集める為に、AVを撮ったり、インチキまがいの演技指導のスクールのような事をしたりしています。それで、資金が集まれば良いのですが、結局、飲み代などの消えてしまい、映画を作る夢はいつまでも叶わないまま。
ある日、テツオの前に、女優を目指すミナミが現れます。演技指導をしていると、ミナミだけは他の誰とも違い、才能がある事に気が付いたテツオは、今度こそ映画を撮ろうと意気込むのですが、プロデューサーは、流行りのモノを取り入れろと言うし、女優は言う事を聞きません。そして、やはり現実の問題が目の前に立ちはだかり、映画の計画はどうなってしまうのやら・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、結構、現実に近いことを描いていたんじゃないかなぁって思いました。映画監督なんて言うと、とってもカッコ良くて、儲かりそうな気がするけど、そんなの一握りの監督だけで、まず、自分の作りたい映画なんて、簡単には撮らせてもらえないんだと思いますよ。作りたい映画を撮ろうと思ったら、資金集めも自分でやらなければならないし、大体、トップクラスの監督だって、好きなモノが撮れないのに、中堅の監督じゃ、名前は知られていても、お金を出してやろうなんて思う企業も人も、ほとんど居ないだろうなぁ。
まして、こんな景気の時代に、娯楽の映画にお金を出すなんて、株に投資するよりも、ギャンブルをやるよりも、恐ろしい賭けじゃないかな。だから、イマドキの邦画って、漫画原作が人気とか、有名な小説とか、TVドラマで当たったものとか、安全牌の映画しか作られないんでしょ。是枝監督くらいじゃないの?自分の映画を撮らせてもらえている監督って。後は、もう、職業監督っぽくなっちゃっているでしょ。
これ、映画なんだけど、映画世界の裏を描いていて、作りながら、辛くならなかったのかしら。だって、私が、自分の仕事の建築業界の裏話を小説にしたり、映画化したら、辛くて見ていられなくなっちゃいそうですもん。現実を受け止めないと描けないだろうし、現実を受け止めるのって、結構、勇気がいるもんね。
テツオ役の渋川さんが、また、下衆っぷりがイイのよ。実家の自分の部屋で、3Pとかしちゃってると、妹に怒られたり、何処までも下衆なのよ。でね、その周りに居る奴らも、みーんな、ゲスなの。もちろん、それぞれに思いがあって、自分の夢を叶えたいと思っているんだけど、でも、上手く行かなくて、もがいてもがいて、それでも落ちて行く。

そんな中で、夢を叶えられた奴も居るんだけど、でも、上に行けば行ったで、また、嫌な事があり、そこでも下衆になって行くんです。それなら、下で、みんなで”もさもさ”していた方が良かったじゃんって思うんだけど、でも、また下には戻りたくないんです。難しいでしょ。何処まで行っても、人間の欲は無限にあり、喉はいつも乾いてしまう。仕方ないよね。
そんな、どーにもならない人達の愛のある生活を描いている映画です。私は、この映画、超!お薦めしたいと思うのですが、もう、上映が終わっちゃっているのよね。DVDが出るかなぁ。レンタルしてくれるかなぁ。これ、映画好きな人には、本当にお薦めしたいので、もし、観れることがあったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
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