「帰ってきたヒトラー」込み上げてくる笑いの中に恐怖が見え隠れする、もしもの世界。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「帰ってきたヒトラー」の試写会に行ってきました。”優秀外国映画輸入配給賞”の授賞式の記念試写会でした。今回は、ギャガさんが最優秀賞として表彰されました。「セッション」などの作品での受賞です。その後、この映画の試写会でした。


ストーリーは、

服装も顔もヒトラーにそっくりの男がリストラされたテレビマンによって見出され、テレビに出演させられるハメになった。男は戸惑いながらも、カメラの前で堂々と過激な演説を繰り出し、視聴者はその演説に度肝を抜かれる。かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸として人々に認知された男は、モノマネ芸人として人気を博していくが、男の正体は1945年から21世紀にタイムスリップしたヒトラー本人だった。

というお話です。


ヒトラー

ある日、男がタイムスリップして、現代に現れる。それは、1945年から来たヒトラー本人でした。彼は、タイムスリップした事実を認識しておらず、過去と同じように行動し始めます。でも、現代では、既に誰もがヒトラーを知っているので、また、誰かがモノマネして笑わそうとしているのだと思い、ヒトラーを正面から起こる人は無く、笑って歓迎してしまうのでした。

ヒトラー

気を良くしたヒトラーは、ある売れないテレビマンと出会い、テレビマンに言われるがままに、TVに出演するようになります。視聴者たちも、また、強烈なコメディアンが出てきたとしか思わずに、面白がって、彼を受け入れてしまいます。ヒトラーは、以前と同じように、強烈な演説をし、その人々を巻き込む才能を駆使して、ナチスの時と同じように、人々を魅了し始めます。

ヒトラーは、現代に合うように演説を考え、人々の考えを先導し始めます。人々は、ヒトラーが言っていることを、最初は、お笑いの人間が適当に言っていると思うのですが、段々と、彼が話している事は的を得ていると考えだし、彼の考え方に共感していきます。

ヒトラー

誰もが、アホかと大笑いしながらも、過去と同じようにヒトラーに洗脳され、考え方を彼に同調していってしまう様が映像に撮られ、笑いながらも、ちょっと恐ろしい方向に動いて行ってしまいます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

これ、面白い企画なのですが、ドキュメンタリーも交えながら映画を作っていて、何とも、恐ろしいなと思いました。本当に、正論を言っているんですよ。今で言う、アメリカのトランプみたいな感じかな。あの人は、どう考えてもアホだと思う所があり、全部を同調する事は無いのですが、このヒトラーは、とても上手いんです。そこら辺の、ツッコムところと、同情して助ける所と、上手く混ぜ合わせて、誰もが、納得する雰囲気に持って行ってしまうんです。でも、アレ?と気が付くと、トンデモナイ極論を話している事になるんです。


ヒトラー

確かに、ヒトラーだって、ナチスの時、最初は正しいことを言っていたんだと思いますよ。でも、その考え方が極論になっていき、大きな戦争になり、ユダヤ人の虐殺をしてしまい、他国侵略という事になってしまう。ほんの小さな事を話していた彼が、段々と、周りの人間を巻き込んで、同調を大きくしていったという姿が、この映画の中に描かれていました。

なんたって、ドキュメンタリーが混ざっているので、本当に、人々の考えが、ヒトラーの言っている事に、頷いていく姿が撮られているんです。確かに、私も、あの場に居たら、ヒトラーくん、あんたの言っている事は間違ってないよねって言ってしまっていると思います。それくらい、演説が上手いのよ。

ヒトラー

きっと、本当のヒトラーも、こんな風に周りを巻き込んでいったんだろうなというのが想像出来て、恐くなりました。人って、本当に弱いから、段々と周りが”そうだ、そうだ!”って言い始めちゃうと、そうなのかなって思っちゃうんですよね。周りと同じことをしているんだから、安心できるから、これでイイんだって思ってしまうんです。

良く、こんな事、考えたと思って、ビックリしました。ブラックユーモアなんだけど、考えれば考えるほど、恐くなって行くんです。Twitterとかでも、みんなでつぶやいていて炎上とかしちゃうと、悪く無い人が悪者にされてしまうってあるでしょ。あれと一緒なんです。冷静に考えれば、いくらでも解釈の仕方があるのに、誰かの誘導で、それしか考えられなくなってしまう人間の弱さを、ここで、上手く描いているんですよ。

ヒトラー

本当に、ネット社会になった現代、多角的に考えなければ危ないと思いました。誰かに考え方を先導されてしまいますもんね。文春の交際報道だって、ヤラセとマジな部分を混合されたら、何が本当かも判らないし、不倫と言ったって既に離婚の話し合いをしているなら問題無いでしょ。奥さんが裏から情報を売って、慰謝料をたんまり貰うなんて腐るほどあると思うよね。本当に、人々を誘導するって、恐ろしいことです。ナチスと一緒だもん。


でも、映画として観ている分には、本当に大笑い出来て、楽しめる映画です。その恐さを感じて欲しいけど、とっても笑えます。爆笑コメディです。アドリブというか、ドキュメンタリー部分的なところが、超笑えて、オイオイってツッコミたくなりますよ。


ヒトラー

私は、この映画、お薦めしたいと思います。誰もが、この映画を観て、自分が考え方を誘導されていないか立ち止まって冷静に周りを監察するという事を、身に付ける必要があると思います。でないと、誰か恐ろしい人に誘導されて、戦争になったり、虐殺になったりと言う事が出て来てしまうかも知れません。そう言う事を考えて欲しいので、ぜひ、この映画、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





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