「蜜のあわれ」を観てきました。
ストーリーは、
自分のことを「あたい」と呼ぶ愛くるしい赤子と、赤子から「おじさま」と呼ばれる老作家。親子以上に年の離れた二人だが、とめどない会話を交わし、夜になると体を寄せ合って寝るなど、仲睦まじく暮らしていた。赤子はある時は女(ひと)、ある時は真っ赤な金魚と姿を変えるが、普通の人間には彼女の正体はまったくわからない。そんな中、老作家の過去の女が幽霊となって現れた。
というお話です。
自分を「あたい」と呼ぶ赤井赤子は、実は金魚。3歳の可愛い金魚なんです。作家の先生が、金魚屋から連れてきて、飼っているのです。毎日、人間の姿になって、先生に寄り添っているのですが、時々、先生のお金を貰って、一人でお出かけします。真っ赤なドレスをひらひらさせて、街をふらふら漂います。
先生を独り占めしたいのですが、先生は、いつもお出かけをしてしまい、何をしているのか分かりません。うーんと考えていると、そこへ、先生の昔の女の幽霊が現れます。彼女も、先生への愛ゆえに、先生に寄り添う赤子が気になって、いつも後を付けてくるんです。気になった赤子は、幽霊に話しかけ、ちょっと仲良くなります。そして、2人で、先生が出かけて、いつも何をやっているのかを探ろうとします。
先生は、教師をしている女性の所に通っているようで、2人は女のアパートを突き止めます。女と近づきたいと思った赤子は、金魚の姿に戻り、金魚屋に自分を彼女に売るようにと頼みます。そして、金魚屋に金魚を薦められた女は、赤子を購入し、自宅へ持ち帰り・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、イメージフィルムっぽくて、ストーリーはあるのですが、無いようにも思えて、不思議な作品でした。一見、現実の話のように見えて、幽霊と一緒に、5時以降に行くと迷ってしまうよと言われている場所に行ってしまったりして、夢と現実が交錯してしまっていて、どう受け取って良いのか、考えながら観ていました。
きっと赤子は、先生が寂しい生活の中、妄想として生み出したものなのですが、自分の都合の良いように作り上げているハズなのに、勝手に動き出してしまったという感じが正しいのかなと思いました。自分にいつも寄り添って、何も求めない赤子が、とっても楽だと思っていたのに、自分の汚い部分などを探るようになって来て、ちょっと困ったりして、でも、可愛くてしょうがないんです。
だけど、そんなしあわせな時間がずっと続く訳も無く、状況は変わって行きます。先生にも問題が起きてきて、赤子も、嫉妬を覚えてしまい・・・。妄想だと言っても、男と女は難しいですよね。完璧に上手く行くのは、相手に意志が無い場合だけ。人形なら良いけど、それじゃ、面白く無いし、温かく無いですもんね。
金魚、可愛いです。私も、実家には金魚を沢山飼っているのですが、水槽に入れている訳では無いので、あんな風に、横から堪能する事はありません。映画で観ると、本当にキレイですね。横から鑑賞するって、イイなぁ。だけど、いつも思うんですけど、金魚鉢に入っている金魚って、あれで満足しているのかなぁ。いつも、空間に浮いているような感じでしょ。まぁ、人間みたいに足がある訳では無いから、足が着かないから不安とか言う事は無いと思うけど、何故か、あのギョロっとした目で見られると、鉢の中に居るのが不満なのかしらと思ってしまうんです。
室生犀星って、私、読んだことが無いんですよ。文豪だとは知っているのですが、何故か、手が出せず、あの時代の本は、芥川龍之介ばかり読んでいました。芥川の作品は、何か、力強いものがあって、そういうものに惹かれたんです。だから、この映画も、イマイチ、理解が出来ませんでした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。私は、あまり理解は出来ていませんが、映像が美しいし、なんかコケティッシュで、二階堂さんがとっても魅力的なんです。そんな彼女を観るだけでも、価値があると思うので、お薦めしたいです。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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