「愛しき人生のつくりかた」を観てきました。
ストーリーは、
パリの小さなアパルトマンに暮らし、3人の息子を育て上げ、最愛の夫と一緒にささやかだが幸せな人生を送っていたマドレーヌ。ある年のクリスマスの目前、夫に先立たれた彼女は、一人暮らしの母を心配する息子により、老人ホームに入れられてしまう。そこでふと自らの人生を振り返ったマドレーヌは、黙ってパリから姿を消す。マドレーヌが生まれ故郷のノルマンディーに戻っていることを知った息子や小説家志望の孫は、母であり祖母であるマドレーヌの知られざる過去を知る。
というお話です。
パリに住むマドレーヌ。クリスマスの目前に夫に先立たれてしまい、一人暮らしになってしまいます。既に、90歳を過ぎた老女であるマドレーヌは、広いアパートに一人で住む事になってしまいます。母親を心配した3人の息子たちは、マドレーヌを老人ホームに入れて、何かが起きても直ぐに対処出来るようにと考えます。でも、マドレーヌは、老人ホームで、他の老人たちとまったりと過ごすような生活は望んでおらず、1人でアパート暮らしを満喫し、時々、孫に遊びに来て貰う生活で満足していたんです。

孫のロマンも、お婆ちゃんはアパートに住む事を望んでいると言うのですが、長男のミシェルと他2人の兄弟は、何かが起きてからでは遅いと言い、マドレーヌを老人ホームに入れてしまいます。老人の家族に対しての顔だけを取り繕う職員たちの様子にガマンが出来ずに、アパートに帰るというマドレーヌですが、アパートは、既に、息子たちの手によって、売られてしまっていました。老人ホームに入れるお金や、葬式など、色々な事にお金が必要で、売るしか無かったんです。

帰るところが無くなってしまったマドレーヌは、ふと、自分の過去を振り返り、昔、自分が育ったノルマンディーを思い出し、こっそり、老人ホームを抜け出して、ノルマンディーのエトルタに向かってしまいます。突然姿を消したマドレーヌを探し出そうと、息子たちは大騒ぎをしますが、孫のロマンは、きっとお婆ちゃんの過去に関係がある場所に居るよと言い、祖母の過去に関係があるノルマンディーに向かいます。そして、古いホテルに着くと、エントランスでお茶を飲む祖母の姿を見つけます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

この映画、とっても雰囲気が良いんです。本当に、これこそフランス映画っていう感じの映像でしたし、内容でした。3人の息子を立派に育てたマドレーヌは、夫も居なくなり、ポッカリ空いた穴を埋めるように、昔の自分を思い出し、ノルマンディーに行くのですが、なんだか、この気持ち、解るなぁと思いました。年を取って無くても、何かをやり終えた時とかって、何か、ぼんやりしてしまって、昔はどうだったかなぁとか、あんなこともあったよなぁとか、色々思い出しませんか?

心が緩んだ時って、懐かしい風景とかをゆっくり眺めて、それまでの事を振り返りたくなるのよね。いつもせかせか生活に忙しくしていると、そういう思いを忘れてしまっているんだけど、時々、そんな気持ちが浮かんできて、全てを捨ててしまってもいいかなぁなんて思う事もあったりするのよね。そんな事、無いですか?私は、時々、全部捨てて、逃げ出したくなる時があるんだけどな。

そういう時って、結構、周りの人って、気が付いていないのよね。いつもの気まぐれじゃないの~なんて言って、全然、気にしない人が多いのよ。でも、この映画の中でも、ただ一人、孫のロマンが気が付くんです。うーん、解るなぁ。近すぎても解らないし、遠すぎても解らないの。この丁度良い”塩梅(あんばい)”っていう関係が、人間に必要なんだと思うんですよね。そういう人って、皆さんの周りに居ますか?私は、今の所、夫と一緒に居られる時間は少ないけど、でも、その分、相手の様子がいつもと違ったり、体調の変化に気が付いたりがあるかなって思っています。ベタベタ、四六時中、一緒に居るよりも、解ると思うんですよね。
そんな人間関係の良い所、悪い所を、良く描いている内容で、フランスでもロングランヒットしたのかも知れません。派手な映画ではありませんが、何となく、じんわり感動する1作だと思います。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ゆっくり、じんわり楽しむ映画で、観た後に、何となく、優しい気持ちになれるような気がしました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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