「ドリームホーム」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
シングルファザーで無職のナッシュは、ある日突然、不動産ブローカーのカーバーによって自宅を差し押さえられ、強制退去させられてしまう。長年暮らし続けてきた家を取り戻したいナッシュは、カーバーが持ちかけてきた儲け話に乗ることに。それは法の穴をすり抜け、自分と同じような境遇の人々の家を差し押さえて大儲けするというものだった。家族に真実を言いだせないまま、大金を稼いでいくナッシュだったが……。
というお話です。
建築現場で働くシングルファザーのデニス・ナッシュは、ローン返済に苦しんでいました。建築の仕事も不況の為に減ってしまい、ローン返済が、3回も遅れていたんです。そして、とうとう裁判所より命令が下され、強制退去させられることになってしまいます。突然に家を奪われたデニスは、追い出された時に、自分の工具を盗まれ、それを取り返しに行った先で、不動産屋のリック・カバーに出会います。
リックがデニスの家を奪った張本人ではあるのですが、彼は、法的に間違った事をしている訳ではありません。リックには何も文句を言えず、仕方なく帰ろうとすると、リックがデニスに仕事が欲しくないかと聞いてきます。金が欲しいなら現場に来いと言われ、付いて行くと、強制退去させようとしていた家が空家になっていて、内部は汚物まみれにされていました。家主がローンを払えず出て行く腹いせにやったんです。その掃除を誰もが嫌がったのですが、デニスは金額交渉をして掃除をします。こいつは使えると思ったリックは、デニスに自分の下で働かないかと言います。

金額の大きさに驚き、デニスは働くことに決めて、自分の家を買い戻そうという夢を持ちます。リックから与えられる仕事は、サブプライムローンで返済が出来なくなった人々を強制執行まで持って行き、家の差し押さえをする事、そして、それ以外にも、汚れ仕事がたくさんあります。しかし、汚い仕事だからこそ、大きな金額が入ってくるんです。家族の為、家の為と思って、デニスはどんな仕事でも引受けて、どんどん、リックに近づいていきます。
汚い仕事とは言え、法は犯していない事ばかりだったのですが、その内、エアコンの室外機やプールのポンプなどを盗んだり、空家との賃借契約の書類を偽造し、鍵の買取り(立ち退き料)をくすねたりと、犯罪と呼ばれることもやり始めてしまいます。いや、やらされるようになってしまいます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

この映画、不動産や銀行の事について、ある程度知っていた方が、より楽しめると思いました。まず、サブプライムローンは、信用の低い人々に貸すローンで、金利が高いんです。まして、短期変動型ローンがほとんどだったので、最初、借りた時は安い金利なのですが、2年後に倍くらいになってしまい、返済出来なくなるんです。アメリカのローンというのは、日本のローンとは違い、コピー機のリースみたいな感じなんです。日本は買った人が所有権を設定し、担保として銀行が押さえているんですけど、アメリカは、所有権は銀行となり、ローン完済まで本人のものにはなりません。だから借りている家に住んでいるだけなので、追い出されてしまうんです。

追い出される人が沢山出てしまうのですが、仕方ないですよね。だって、借りる時の考えが甘いんですもん。私の仕事は建築ですが、不動産とも密接に関わっているので、私も、この借金取りの一味と間違われます。日本でも、ローン返済が出来なくなる人は多くて、銀行や国が差し押さえる事があるのですが、出来れば差し押さえられる前に、ある程度の金額で売ってしまい、その売ったお金で返済を済ませて、せめて借金を失くして、新しい生活に移る方が良いんです。そんな物件を新しく買いたい方が出ると、私が検査に行って、ローンが組めるだけの価値のある物件かどうかを見るんです。合格すれば、ローンが組めるので、その物件は売れることになります。

そんな私は、ハゲタカの一人と思われていて、家に行くと、冷たい目で見られるんですよ。違法な事をしている訳では無いのですが、彼らからすれば、自分の家を売っぱらう不動産屋の関係者ですから、仕方ありません。彼らは、銀行が悪い、不動産屋が悪いと思っているのだと思いますが、ハッキリ言いましょう。借りたお金を返せない自分が悪いんです。計画が甘すぎる。いつも不動産購入をする方に、固定金利が良い、元金均等の方が良いって言っているのに、どうしても、目先の楽な返済に目が行ってしまい、変動型の元利均等にするのよね。それって、銀行が儲かるだけだから、ちゃんと考えようよ。

映画の中で、デニスの母が、デニスに「人を追い出した金で買った家には住めない。」と言うのですが、凄く失礼な母親だなと思いました。息子が嫌な思いをして必死で稼いだ金なのに、良くそんな事が言えるなと思います。表面しか見ない人間は、平気で人を傷つける事が言えるんですよね。母親だって、美容院のような事をしていたけど、もしかして整えた髪形で結婚詐欺を働いているかも知れないし、人から盗んだ金で美容院に来ているかもしれない。キレイな金汚い金なんて無いんです。みんな、お金を稼ぐことは汚いことをしているんです。だって、自分が稼げたなら、誰かが稼げなくなっているって事でしょ。人から奪っているんです。

かと言って、犯罪をしてお金を稼ぐことはダメだと思いました。文書偽造とか窃盗は犯罪です。それは一度でもやったらダメなんです。一度でもやってしまうと、タガが外れてしまう。犯罪を悪い事と思わなくなってしまう。だから、決してやってはいけないんです。まだ、鍵の売買は違法では無いから良いけど、文書偽造はダメでしょ~!まして、室外機とかを盗むのはダメでしょ~!それは犯罪ですからね。
あー、長くなっちゃったから、そろそろ切らなくちゃいけないね。私は、リックの味方です。どんなに極悪人と言われようと、自分をやり通そうとする男は、カッコいいと思います。キレい事言って、泣き崩れるナッシュのような男は嫌いです。なんだ、お前。カッコ悪いぞ。だから、私は、この映画が言いたい事に共感は出来ません。ゴメンナサイ。でも、とても面白い映画です。
最後に一つだけ。この邦題「ドリームホーム」はダメでしょ~!変な映画が沢山引っかかってきちゃうもん。この内容にあった放題を付けて欲しかったです。今さらですが・・・。残念です。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。大人になったら、こういうお金の事も良く勉強して、人に負けずにお金を動かせるようになりたいと思わせてくれました。弱者は弱者のまま潰れて行くなんて、カッコ悪いでしょ。やられたらやり返そうよ。だから、相手より知る事ですね。知らなくちゃ戦えない。そんな映画でした。但し、不動産、金融系の事を全く解らない方には、この映画の面白さは分からないかも知れません。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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