未体験ゾーンの映画たち「神なるオオカミ」を観てきました。
ストーリーは、
文革期の1967年、モンゴル内陸部へ羊飼いの遊牧民たちに勉強を教えるため下放されたチャン・ジェン。そこで彼は、地元民が聖なる動物として崇めるオオカミについて多くを学び、その存在に魅了される。チェンは赤ん坊のオオカミを保護し、飼い慣らそうとするが……。
というお話です。
1960年代に、中国からモンゴルの遊牧民たちの所に、勉強を教える代わりにその土地での生き方を教えて貰い、その後は、そこで生きて行くという仕事というか、生き方がありました。それが国の政策の一つであったのだと思います。その地で生きる中国人を増やして、モンゴルに安定した中国支配を根付かせようとしていたのかも知れません。
モンゴルの遊牧民の中で生活を始めたチャンは、オオカミに気を付けろと言われ、追い払う道具を貰うのですが、オオカミの恐さを知らないので、なんだろうと思っていました。ある日、羊の番をしていて、仲間と交代し、家に帰る途中、オオカミに襲われます。危機一髪の所で、長老に教わっていた「オオカミは金属の音が嫌いだ。」という言葉を思い出し、なんとか逃げおおせます。
狼の恐さを知り、狼を研究してみようと考え始めます。そして、草原で狼の子供を探して、１匹捕獲してきて、自分の家（ゲル）で育て始めます。犬のように、一緒に暮らすという訳にはいかないので、家の隣に飼う場所を作り、そこに繋いで飼うことにしました。野生の血なので、懐くことはせず、餌をやると、こっそり出てきて食べるという感じでした。
寒い冬のある日、狼が狩りをした鹿が大量に凍っている場所に行き、狼が食べ残した鹿を人間が取ってきます。それは、毎年やっている事なのですが、必ず、春に狼の子供たちが生まれた時の栄養になる分は残して、後を人間が貰ってくるのです。しかし、中国の影響で、先の事を考えず、取れるだけ取ってしまえという考え方をする人間たちが鹿を一匹残らず搾取してしまいます。春になり、食べるものが無い狼たちは、人間の飼っている家畜を狙い始めます。
折角、大きく育ててきた羊たちが、狼に食い荒らされ、酷い被害が出てしまいます。人間は、自分たちが蒔いた種なのに、そんな事はお構いなしに、狼が悪いと言って、狼の駆除に乗り出します。狼の研究をしているチャンを連れてきて、狼の子供をおとりにしようとするのですが、狼たちは、そんなおとりには引き寄せられません。それならばと言って、車で狼を追いまわし、駆除をするというシンプルな方法に切り替え、狼をどんどん殺していきます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
自然破壊をどんどんして行って、そこに住む人々の生活までも変えて行ってしまう中国の酷さに怒りを覚えました。知ってはいたけど、やっぱり許せないですね。こいつら、マジで許さねぇって思っちゃったもん。特に、狼を駆除し始めた時は、もうこの人達、地球を壊すなって思いました。だって、狼は神なんですよ。その地の指標になるべき動物なのに、それを駆除って、あり得ないでしょ。
主人公のチャンだって、なんで野生の動物を飼い慣らそうなんてするのかな？色々な勉強をしてから、この地に来たんでしょ。野生に手を出そうなんて、そんなおこがましい事、絶対にやってはいけない事なのに、主人公ながら、このバカチンがっ！て思いました。全然、共感なんて出来ません。神への冒涜なんですから。
こんな事が、モンゴルで行われていたんですね。現代では、どうなっているんだろう。酷い状況になっているんだろうか。それとも、考え直して、自然を保護してくれているんだろうか。とても心配になりました。中国って、酷い事するけど、でも、人が多い分、ちゃんと考えてくれている人だっていると思うんです。だから、こういう映画が出来てくるんでしょ。これからの時代は、中国を非難するだけじゃなくて、一緒に問題を解決して行かないとダメだよなって思いました。
狼なんですけど、毛がふっさふさで、かわいいの。彼らは、群れで獲物を捕まえるんですね。良く一匹狼って言うけど、実際は居ないっぽかったです。一匹熊とか、一匹虎とかは居そうだけどね。狼は、人間には懐かないだろうなぁ。目が鋭くて、いつも何かを訴えているような感じですもん。きっと、彼らの目には、人間だって、獲物くらいにしか見えていないんだろうな。
私は、この映画、超！お薦めしたいと思います。これ「未体験ゾーン～」で上映される映画じゃない感じでした。とっても正当な内容で、自然と人間との関わりをとても良く描いていて、訴えてくるような映画でした。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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