舞台「怪獣の教え」を観てきました。
ストーリーは、
小笠原諸島の青い海。海の上を漂う一隻の船。船の上には二人の男。国家の秘密を暴露して、政府から追われる天作(窪塚洋介)。パラダイスで生きることの葛藤を胸に抱く、島育ちのサーファーの大観(渋川清彦)。天作は東京で事件を起こし、島へ逃げて来た。従兄弟の大観に船を出してくれるように頼んだ。何か事件を起こして無人島にでも隠れるのだろう、と大観は思っていた。しかし、天作の目的は別にあった。祖父から教えられた、『怪獣』を蘇らせることだった。一隻の船に乗り込むと二人は海へ出る。昨夜、二人はひとりの女性と会った。世界の島を転々としながら暮らす、アイランドホッパーのクッキー(太田莉菜)。クッキーは怪獣の教えの秘密を知っていた……。
というお話です。
美しい小笠原の父島に住む天作と大観。子供の頃から仲が良く、この島でゆっくり暮らして行けば良いと思っていたのですが、天作は、東京に出て、広い世界を見るんだと言って、島を出て行きます。それから15年後、天作は、島に帰ってきます。久しぶりという大観に、急いでいるから船を出して欲しいという天作。
海に出て、天作は大観に話し始めます。天作は、ある軍事工場で働いていて、エンジニアとしてスカウトされ、システム開発の仕事をしていたらしいんです。そして、究極の兵器を開発したのですが、恐くなって、その機密を漏えいし、逃げてきたんです。
天作は、あまりにも酷い事を計画していた都会を破壊するため、伝説にある怪獣を蘇えらせようとしているんです。白い岩礁の上に”杭”を打てば、怪獣が蘇えるという伝説があり、天作は、呪術的な力を持つジャッジと呼ばれる人の末裔のようなんです。そして、白い岩礁を見つけて、杭を打とうとするのですが・・・。
この舞台、演劇と映画と音楽をプラスしたライブシネマということで、上演したんです。確かに、舞台としては、窪塚さんも渋川さんも上手いので、見応えはあるし、太田さんもあの雰囲気で美しいので、良かったのですが、映画と音楽というのと、上手くコラボ出来ていたのかというと、何とも言えません。
まず、舞台としてですが、舞台のセットが、この赤レンガのステージにしては大きすぎて、上手く回ってないと思いました。ここで、この大きさのセットは、無理でしょ。タッパが無いので、無理なんです。大きいセットを舞台上に上げてしまうので、後ろの映像があまり意味が無くなってしまうんですね。バランスが悪いのだと思いました。舞台用のホールなら、奈落があるので、岩を下に半分ほど沈めた状態なら、もっと深みが出て、岩の頂上に杭を打つ雰囲気が出たと思うのですが、残念でした。
そして、映画ですが、映画では無かったですね。映像です。映画としてやるなら、映像を背景として使うのではなく、話の続きが映画になっていたりして良いと思いました。都会に行った天作の状況は、全て映画で表現して、そして、父島では、舞台で表現とか、分ければ、コラボになったのかなと思います。今、舞台に出ていた人が、映画に出ていてもイイじゃないですか。それがコラボでしょ。

音楽は、後ろで生バンドが演奏していてくれて、楽しめました。これは、良いですね。劇団新感線とかと一緒かな。音で感動だったのは、最初に、ディジュリドゥ奏者のGOMAさんが奏でて下さって、もう、感動でした。東京国際映画祭で、「フラッシュバック・メモリーズ」を観てから、この音、この音楽の素晴らしさに感動していて、また聞けたら良いなと思っていたら、思いもよらないところで、生で聞くことが出来て、マジ感動でした。コンサートに行ってみたい。
うーん、内容的には、面白かったのですが、イマイチ、舞台と映画のコラボというのが、あまり感動出来ず、その上、舞台セットがムリムリに見えてしまったので、何とも言えませんが、こういう新しいことを始めるというのは、とっても良い事だと思っています。これから、色々改善を重ねたら、もっと、素晴らしくなるかなって期待しています。
美しい海の岩礁に杭を打つ。それは、人間の手を加える事だから、あまり良いとは思えないけど、でも、もし、世界を壊そうとする欲の権化みたいのが出て来たら、手を加えてでも、止める必要があるのかも知れませんね。人間も、自然を壊すのだから、それなりの犠牲を払う事になると覚悟しなければね。何事も等価交換、何かを望めば何かを失うんです。自然に助けを求めるなら、それなりの代価を支払わなければ。
この天作の言っていたことは真実なのか、天作が壊れているのか、それとも世界が壊れているのか。金持ちが儲けるためという言葉で、これは、本当かもと思わせるところが、上手いなぁと思いました。戦争も、災害も、結局は、金持ちのところに金が流れていく為の布石です。お金って、あるところに流れていくんです。水とは違って、上に上に流れていくの。何かが起きれば、必ず、お金が流れ出す。だから、何かが起きる前に上に登らなければならない。そんなシステムを壊す為に、怪獣が必要なんでしょ。でもね、怪獣が暴れると、また、お金が上に流れ出すかも知れませんよ。何処までも変わらない仕組みなんです。(笑)
豊田監督、もう一回やって下さい!!これ、本多劇場とか、KAATの大スタジオとか、もっと小さな舞台でも、タッパがあって、セットが組めれば、もっと面白い事が出来ると思います。音楽も、途中で舞台の中にバンドが組み込まれて、ライブ的になっても面白かったのではと思いました。もっともっと、変わっていて、おかしくても良かったと思います。ぜひ、またやってください。お願いいたします。m(__)m
生意気に書いてしまい、申し訳ありませんでした。でも、もっと先が観たいので、決して、不満を言っているのではないです。皆さんも、もし、またこういう舞台があったら、ぜひ、参加してみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
怪獣の教え http://kaijuno-oshie.com/
- フラッシュバックメモリーズ スペシャル・エディション<2枚組> [DVD]/角川書店
- ¥5,076
- Amazon.co.jp
- RHYTHM&BREATH/GOMA&Jungle Rhythm Section
- ¥2,800
- Amazon.co.jp