「わたしに会うまでの1600キロ」を観てきました。
ストーリーは、
砂漠と山道を徒歩で旅することにしたシェリル(リース・ウィザースプーン)。旅をスタートさせる少し前、シェリルは母の死を受け入れられず、薬と男に溺れる日々を送り、結婚生活は崩壊してしまう。シェリルは人生について思い直し、自分自身を取り戻そうと決意。こうして彼女は旅に出たが、寒さが厳しい雪山や極度の暑さが体力を奪っていく砂漠が彼女を苦しめ……。
というお話です。
アメリカ西海岸を南北に縦断する自然歩道パシフィック・クレスト・トレイルという1600キロのコースを歩く、1人の女性がいる。彼女は、シェリル・ストレイドと言い、それまで山歩きなどした事の無い女性です。何故、そんな過酷なことをするのか、それは、彼女の過去を清算するためなのかな。
シェリルは、両親と弟の4人家族に生まれます。父親は、DVを母親にしており、いつもシェリルは怯えていました。そして、シェリルが大学を卒業し、これからという時に、母親に病気が見つかり、余命幾ばくも無いと医者に言われ、とても悲しみます。彼女にとって、母親は何よりも大切な人だったんです。
母親を亡くした悲しみに耐えられず、優しい夫が居るにも関わらず、ドラッグに溺れて、行きずりの男と寝て、家に帰らない日々を送ります。夫も、とうとう耐え切れず、シェリルと離婚します。全てを失ったシェリルは、自分が悪い事を十分に自覚していて、このままではいけないと思い、何故か、1600キロの徒歩旅に出る事にするんです。
大きな荷物を背負い、初めて歩き出す山道は、彼女を苦しめ、彼女は何度も旅立った事を後悔しますが、それでも、辞めようとはせずに、何度も間違えながらも、前へ進みます。山道を歩き、砂漠を歩き、雪の山を越えて、彼女が見つけたものとは。後は、映画を観て下さいね。
うーん、良い映画だとは思うんだけど、歩いて、思い出して、また歩いて、思い出してって、暗い思い出しか無くて、しんどい映画でした。途中、ちょっと眠くなっちゃったもん。自分探しの旅って、口では良い風に聞こえるけど、ハッキリ言って、他人の自分探しを見させられても、大して得るものは無いのよね。確かに、映画として、上手く作ってあるし、演技も素晴らしいし、アカデミー賞にノミネートされたのも解りますけど、でもね、その自伝で儲けて、成功したって話を聞いても、ふーんって感じなんですよ。
私が捻くれているからかも知れませんが、私なら、自分探しを金儲けの為に使おうとは思わないと思うなぁ。それって、自分の大切なものでしょ。人にそれを売って、私、凄いでしょって言う事じゃないような気がするんだけど、どーなんでしょ。母親を亡くしたのは辛かったかも知れないけど、遅かれ早かれ、みんな亡くす訳だし、母離れ出来なかった女ってだけでしょ。
それで、ドラッグに溺れて、男と寝まくって夫を裏切って、それでも夫を頼ろうとするなんて、結構、図々しい女だなぁと思いました。それに、旅の途中で、色々な男と出会うんですけど、途中で、やっぱり、男とイイ感じになって、寝てるんですよね。それ、全然ダメじゃん。前と同じじゃん。せめて、自分探ししている時くらい、男を断とうよ。下半身、緩すぎるっつーの。
と文句ばかり書いてしまいましたが、映画としては、良く出来ていると思いました。構成が上手いので、旅をしながら、少しづつ、事実が判明していき、それに合わせて、彼女の表情は、明るくなって行くという感じになっていて、その重荷を、一つづつ捨てて、前に進んでいるというのが判るんです。そして、彼女の母親の美しさが、とてもステキなんです。
映画としては、素晴らしいのだと思いました。でも、私には、気に食わなかったってだけなんです。誰でも、新しい自分を探すための時間と苦労が必要な時が来るんですけど、それを、誇らし気に人に話すのは、日本人の私には、受け容れられない事でした。日本人は、表に出さない事が美しいとしていて、私も、そうやって教育されて来たので、身体や脳に、それが染み付いてしまっています。だからなのか、アメリカンな人の考え方で、私はこんなに大変だったけど立ち直ったのよぉ~!みたいな事を言いふらす姿が汚く見えてしまうのです。ゴメンナサイ。
私は、この映画、お薦めしても良いと思います。映画としては、素晴らしいものだと思いました。でも、私のような日本人気質がある方は、ちょっと鼻に付くかも知れません。辛いのはアンタだけじゃないんだよ。歩くよりも辛い事をやってる奴は山ほど居るんだよって言いたくなっちゃった。(笑)ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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