「天空の蜂」20年前の小説なのに、今の時代にピッタリという事が恐ろしいです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「天空の蜂」の試写会に行ってきました。


ストーリーは、

1995年夏、愛知県の錦重工業小牧工場から防衛庁へ納品する最新の設備を搭載したヘリコプターが、正体不明の人物によって奪われてしまう。やがて遠隔操作されたヘリは稼働中の高速増殖炉の上空でホバリングを開始し、テロリストが日本全国の原発停止を求める犯行声明を出す。さらに、ヘリ内に子供がいることがわかり……。

というお話です。


天空の

1995年8月8日、最新鋭の超巨大ヘリ「ビッグB」が防衛庁(まだ庁でした。)に納品されようとしています。これから式典という時に、突然、何者かにヘリを自動操縦で乗っ取られてしまいます。式典に参加する為に来ていたヘリの設計士・湯原とその家族。息子の高彦は、式典会場を散策していて、父親の設計したというヘリに入っていたところに、突然、ヘリが動き出し、逃げ遅れてしまいます。

天空の

少年一人を載せたまま、無人のヘリは、原子力発電所「新陽」の上空に飛び、ホバリングを続けています。犯人からの要求は、日本政府に、日本全土の原発を廃棄しなければ、ヘリを原発に墜落させると言うんです。ヘリには、爆発物が積んであり、その爆発物の量によっては、いくら厚い壁に覆われた原発でも、持たないかも知れないんです。もし、原発が爆発した場合、日本は、ほぼ半分を放棄しなければなりません。

政府は、原発を破棄する事は出来ないという見解を出すのですが、子供がヘリに乗っているので、見殺しには出来ず、犯人との交渉をしながら、地上では、犯人探しを警察が始めます。ヘリの燃料が尽きて墜落するまでの時間は8時間。それまでに、出来れば原発を止めずに、ヘリの墜落を回避する方法を見つけなければなりません。

天空の

ヘリの設計者である湯島と、原発の設計士の三島は、それぞれの立場で、ヘリを取り返す手立てを考え、原発の安全を考え、現場で闘っていくのですが、政府の動きは鈍く、思うように動いていきません。とにかく、息子の高彦を助け出すことを考えなければと、犯人に、子供は関係無いのだから助けたいと要求すると、ヘリに乗り移るのは許さないが、助け出すことは許され、自衛隊が決死の覚悟で、ビッグBにヘリで近づき、高彦を助け出そうとするのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。

この原作が20年前に書かれたとは思えないほど、今の時代に合っていて、驚きました。1995年というと、やっと原発が動き出して、起動に乗った頃ですかね。1974年に電源三法が出来ているので、それから20年後というと、丁度、原発が動き出し、これから儲けるぞって時代かな。今と同様、原発に賛成と反対が対立していて、同じ住民同士で争いがあったりして、本当に大変です。


天空の

この映画の中でも、その争いで、小学生が虐めに合い、自殺をするという場面があるのですが、大人の争いに子供を巻き込むなと言いたいです。原発で働いている親の子供が、原発を反対している親の子供に虐められるのですが、これ、今でも、現実にあるんでしょうね。TVで、過激にデモとかしている映像を観ると、本当に醜くて、そういう親の子供だから、虐めをしちゃうんだろうなと思います。力で相手を組み伏せたいと思うのでしょう。そんな現実が描かれていました。

天空の

原発で働いている人は、自分の仕事に誇りを持っているし、素晴らしい仕事をしている人々だと思っています。原発を憎むのは勝手ですが、働いている人を憎むのは間違いですよね。そして、原発で作られる豊富な電気で、私たちは暮らしているのだという自覚を持って行くべきだと思いました。エアコンが無くなったら熱中症で死ぬ人がバンバン出るだろうし、高層マンションなんて成り立たないし、電車も動かないんですよね。火力発電は、そろそろ限界だし、新しいエネルギー開発が成功するまでは、何かで補てんする必要があるのに、ただ、怖いからと原発を目の敵にしても、何も始まらないと思うんだけどな。

天空の

この映画では、原発が悪いとか、良いとか言うのではなく、原発というものが、とても恐ろしい物であり、だけど、その発電によって、人々が生きているのだという事も描いているのではないかと思いました。生きる為には、少しづつの毒を身体に貯蓄して行くのも許容しなければならないという事なのかも知れません。全てが完璧に上手く行く何て事は、この世の中に無いんですから。キレイ事だけで生きている人は居ないんです。それに気が付いて欲しいと言っているように思えました。


一つ、文句を言わせてもらえば、犯人の一人(最初に見つかる人)の理由が、とても解りにくかったです。自分は必要とされなかったから、組織に捨てられたから、と言うのですが、その意味が分からん!あまり詳しく描かれていないので、そこがあやふやです。

天空の

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。本当に面白かったです。ちょっと、古い邦画っぽい作りかなと思ったのですが、それは1995年のお話なので、わざと車とか古い物を使っているからそう思ったのだと思います。今のCG技術があればこその映像だったと思いますよ。ヘリのアクションは、凄かったです。緊迫するシーンが多く、楽しめました。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





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