「at Home/アットホーム」の試写会に連れて行って貰いました。
ストーリーは、
空き巣の父・和彦(竹野内豊)と結婚詐欺師の母・皐月(松雪泰子)は、 犯罪で生計を立てながら3人の子どもたちと暮らしていた。そんなある日、 母の詐欺が相手に見破られたことで誘拐され、身代金を要求されてしまう。血のつながりはなくとも、それぞれに苦しい過去を持つ寄せ集めの家族は、ささやかな幸せを守るため立ち上がる。
というお話です。
一見、普通の幸せそうな家族なのですが、父親は空き巣、母親は結婚詐欺師、という夫婦に、長男、長女、次男と3人の息子。実は、5人とも、全く、血縁関係の無い家族であり、夫婦も結婚はしていません。それぞれに深刻な問題があり、本当の家族の元に居られない、いや、居る事が出来ない人々なんです。
父親は、一度、刑務所に入っていて、それで離婚してしまい、孤独な男性なんです。そんな彼は、空き巣を職業としていて、ある家に空き巣に入って、男の子を見つけたり、街を歩いている青年を拾ったりして、家族になりました。母親は、夫のDVで家から逃げ出し、自殺しようと思っていたところで、同じように自殺をしようとしている女の子を見つけて、一緒に逃げて、この家族の父親である和彦と出会います。
5人は、新しい名前を決めて、それぞれに設定を決めて、まるで舞台を始めるかのように、生活を始めます。5人ともが、今までに味わった事の無い、幸せな家庭というものを手に入れ、それまでの過酷な人生を捨てて、自分を手に入れて行くのですが、でも、生活するにはお金が必要です。空き巣が仕事の父親と、結婚詐欺が仕事の母親なので、危険が伴います。
結婚詐欺の母親ですが、プロでは無いので、やっぱり抜けているんです。ある不動産会社の社長の息子と付き合い始めるのですが、デートの最中に、つい、家に電話をしてしまいます。相手が席を外しているから大丈夫だと思ったのでしょうが、それはダメだよね。相手に電話を聞かれてしまいます。そして、その相手が、酷い男だったから大変。母親は、拉致されてしまいます。

父親の和彦のところに電話があり、出てみると、拉致した相手からの電話であり、身代金1000万円を要求されてしまいます。母親を助ける為には、どうしても取引をしなければならず、お金も用意しなければならず、パニックになるのですが、母親を助け出したい一心で、お金を用意するから、お金と引換えに母親を返して欲しいと言います。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、実は、あまり期待していなかったのですが、いやいや、面白かった。本当に面白かったです。5人ともが、それまで、過酷な人生を歩んできているんです。これは、今、問題になっている、子供虐待、娘への性的虐待、夫からのDVなど、本当に酷かった。こんな風に、悩んで悩んで、苦しんでいく子供や妻たちが沢山いるのかと思うと、本当に辛くなりました。

助けてあげたくても、本人が声を上げてくれないと、どうしてあげようもないし、DV夫に苦しんでいる人は、夫の時々見せる優しさに支配されてしまい、逃げられなくなってしまうんでしょ。それ、ダメですからね。夫が殴ったりしたら、直ぐに病院へ行って、警察に行きましょう。一度でも、キチンとした対処をしていれば、少しは夫だって、自分の悪い所に気が付くだろうし、別れる時に有利になるし、もし、危ない時は、直ぐにシェルターに駆込めるように出来るから。殺されてからでは遅いんです。お願いします。行動してください。

そして、もし虐待されている様子が見えたら通報して欲しいし、行政も、もう少し動いて欲しい。全国で、沢山の子供が行方不明になっているんでしょ。親が殺しちゃっている事も多いと思うんです。小学校に来て、出席を取らなければ、子供手当などは払わないとしなくちゃダメですよ。もっと、行政も横の繋がりを持って、警察と連携して、地域で対処するべきだと思います。

こんな問題が、この映画の中に描かれていました。だからこそ、名前を変えて、新しい人生を歩み始めた5人の家族は、本当の家族に見えるんです。血の繋がりなんて関係無い。戸籍なんて関係無い。家族として生きる事が、こんなにも大切なことなんだという事が、描かれていて、感動しました。家族を軽く見ている方もいらっしゃるかもと思いますが、最後に頼れるのは家族なんです。そこには、利害関係は無く、情で繋がっているので、それを大切にした方が良いですよ。気が付いた時に家族が居なくなっていたという事にならないように、大切にしましょう。

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思いました。こんなに深い映画だと思っていなくて、驚いちゃいました。まぁ、事件が起こってからの話は、ちょっと陳腐ですが、家族に至る過程が素晴らしいので、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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