「アリスのままで」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
50歳の言語学者アリス（ジュリアン・ムーア）は、大学での講義中に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に家に戻るルートがわからなくなるなどの異変に戸惑う。やがて若年性アルツハイマー病と診断された彼女は、家族からサポートを受けるも徐々に記憶が薄れていく。ある日、アリスはパソコンに保存されていたビデオメッセージを発見し……。
というお話です。
50歳の言語学者アリスは、３人の子供を持ち、医者の夫と幸せに暮らしています。３人の子供は、既に一人立ちし、夫婦二人の生活を送っていました。ある日、大学の講義中に言葉が出てこない事があり、ジョギングをしていたら、自宅が解らなくなるという事が起こり、これは何かおかしいと思い、病院に行く事に。病院に行き、幾つもの検査をすると、若年性アルツハイマー病と診断される。
彼女の若年性アルツハイマー病は、遺伝によるものであり、彼女は父親からの遺伝だったらしい。直ぐに３人の子供たちに告げて、３人の内、２人が検査を受ける。長女は陽性であり、若年性アルツハイマー病を発病するだろうという事が予想され、長男は陰性だったため、その恐れは無い。末っ子は、検査を受ける事を拒否。アリスは、自分のせいではないが、子供たちに謝り、自分のこれからの事をどうしようか、悩みます。
悩んでも、毎日毎日、忘れて行くものが増え、夫も子供たちも、嫌な顔をせず、何度でも同じ事を教え、アリスを助けて行きます。自分でも、自分が何をしたいのか、何をしているのか、良く理解が出来なくなってきたある日、娘から送られたデータをＰＣで開こうとしていると、自分が録画しておいたビデオを見つけ、それを見始めます。
そこには、まだ、アルツハイマー病だと診断されて直ぐのアリスが映っており、自分に向かって呼びかけています。２階へ行き、キャビネットに入っている錠剤を全部飲み込むようにと言っているんです。アリスは、良く解らず、そのビデオの通りに行動しようとするのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
アリスは、まだ５０歳。その年齢で、アルツハイマー病だと診断されたらどうしましょう。まだまだ、これから仕事もしたいし、子供も手を離れ、ある程度の経済的余裕も出てきた頃だと思うので、やりたい事が山ほどある時期ですよね。そんな時に、全てを忘れてしまうと言われたら。余命宣告と同じですよね、だって、全て忘れてしまうんだから。
余命宣告よりも残酷です。だって、自分の愛する人達に迷惑をかけてしまうのが解っているから。出来れば、愛する人達に迷惑をかけたくない。最後まで自分を好きで居て欲しい。アリスの気持ちが、イヤって言うほど伝わって来て、とても苦しかったです。自分がそうなってしまったらという恐怖も大きかったのですが、アリスが変わって行くのを、ずーっと、ただ見ているしかない家族の気持ちも、非常に苦しいものがありました。
ハッキリ言って、本人は、忘れてしまうのだから苦しみは無くなって行きますよね。自分さえも解らなくなってしまうのだから。でも、家族は、それまでのしっかりしたアリスを知っている訳だし、そのアリスが、段々とおかしくなって行くのを、周りで見て行かなくてはならないんです。自分の事も、家族の事も忘れてしまい、自分の子供たちも解らなくなってしまう。子供から見ると、悲しくて、辛くて、どうしようもないと思います。
そして、今回、遺伝性の若年性アルツハイマー病というのが大変だなと思いました。長女は結婚しているのですが、遺伝子検査をしたら陽性でした。子供を作ろうとしていたところにそれが解ったのですが、彼女は、別に気にせずに、子供を妊娠し、双子を産みます。そこに、遺伝性という不安は残りますが、今から準備をしていれば、いくらでも手立てはあるし、長女夫婦も、妊娠する前に解って良かったと言うんです。
これ、素晴らしいことだと思いました。遺伝の病気が判っても、それに対処すれば良いという考え方で子供を授かって、これから育てて行くという彼女たちの選択に、拍手を送りたくなりました。病気はいつか克服出来る時がくるかも知れないし、もし、そうなっても、最初から判っていれば準備が出来ます。私も、目からウロコが落ちる思いでした。
若年性アルツハイマー病は、遺伝性だけでなく、いつ、誰に起こるのか分かりません。でも、恐がってばかりいても仕方ありません。それに、病気は、それだけじゃなく、ガンだって、あっと言う間に身体を蝕んでしまう事もあるのだから、今、ここにある自分を大切に、出来るだけの生き方をするのが一番なのかなという思いを持ちました。
アリス役のジュリアン・ムーアも素晴らしいですが、長女のケイト・ボスワース、長男のハンター・パリッシュ、次女のクリステン・スチュワート、がとても良かったと思います。そして、夫役のアレック・ボールドウィンも、しっかりしなくてはと思いながらもヒヨってしまう夫を上手く演じていたと思います。実際、男性って、慌ててしまって、あまり役に立たないような気がします。やっぱり、こういう時は、娘が一番しっかりして、面倒を見てくれますよね。
私は、この映画、超・お勧めしたいと思います。これ、とっても現実的な話だと思うし、苦しんでいる方も居るんだと思うし、明日には、自分にも訪れるかも知れない出来事なので、観てみると良いのではないかな。もちろん、映画としても、良く出来ているので、安心して観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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