「愛を積むひと」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
東京の下町で営んでいた工場を閉鎖し、残りの人生を北海道で過ごそうと決意した篤史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)の夫婦。かつて外国人が暮らしていた家を手に入れて暮らす二人だが、仕事一筋だったゆえに篤史は手持ちぶさたになってしまう。そんな彼のために良子は、家を囲む石塀作りを頼む。しかし、良子が以前から患っていた心臓病を悪化させて他界してしまう。深い悲しみに沈む篤史だったが、石塀作りを手伝う青年・徹(野村周平)との交流や、娘・聡子(北川景子)との再会を経て、前を向くようになる。
というお話です。
北海道の田舎に一軒屋を購入した篤史と良子。外国人が住んでいたらしく、ちょっとログハウスっぽい雰囲気のある家です。そこで、新しい生活を初めた2人は、東京で経営していた工場の経営が傾き、借金を返すには工場を売るしか無くなり、工場を売って借金を返し、残ったお金で北海道の一軒屋を購入したのでした。
仕事を引退して、悠悠自適に移ってきた訳では無いので、2人は、ひっそり、暮らして行こうと考えていたのですが、妻の良子は、昔から心臓が悪く、病院に度々通っているのですが、あまり良く無くて、医者から、それ程持たないと言われていたんです。でも、良子は、その事を夫に話す事はせずに、北海道での暮らしを、楽しみたいと思ったんです。篤史は、良子の身体を心配しているのですが、良子から薬をキッチリ飲んでいれば大丈夫だと聞き、一安心していました。
北海道での生活では、決まったやるべきことがある訳では無いので、生活が不規則になりがちだと気が付いた良子は、夫に、石塀を組んで欲しいと頼みます。前に住んでいた外国人が、少し作って、そのまま放置してしまった石塀が、庭先にあるので、それを完成させて欲しいというんです。最初は、イヤがっていた篤史でしたが、近所の造園屋に手伝いも頼んでしまい、仕方なく、やる事にします。
石塀の手伝いに来たのは、まだ若い17歳くらいの男の子・徹。毎日、石塀を積む作業をして、最初は、何も話さない徹だったのですが、少しづつ、馴れて行きました。しかし、徹の昔の悪い仲間が訪ねて来て、篤史の家が留守の日を狙って、盗みに入ろうと計画します。徹はイヤなのですが逆らえず、仕方なく、一緒に盗みに行くのですが、良子が戻って来てしまい、逃げる弾みで良子を付き倒してしまいます。
怪我をした良子は病院に運ばれ、直ぐに退院は出来たのですが、足を捻挫して、あまり動けません。徹は、申し訳なく思い、自分の彼女の紗英に事情を話し、篤史と良子の手伝いに来ることにします。何も知らない篤史と良子は、とても有難く思い、2人を歓迎して、温かく迎えます。
幸せな時間が続くと思われたのですが、良子の具合は、どんどん悪くなり、ある日、紗英と森にキノコ狩りに行き、倒れてしまい、そのまま逝ってしまいます。突然の事に、篤史は呆然となり、気力を無くしてしまいます。そんな時に、警察から連絡があり、家に入った泥棒が捕まり、盗品のネックレスのみ戻ってきます。そして、その泥棒に徹が加担していた事を知り、2人が自宅に手伝いに来ていた理由が解り、激怒します。
紗英が篤史の所に来て、理由を話し、少し気持ちが収まったところで、帰ってきたネックレスをしまおうと箱を開けると、そこに良子からの手紙が入っている事に気が付きます。それから、事ある事に、色々な場所に良子からの手紙が置いてあり、良子が自分が死んだ後の事を心配し、いつまでも篤史を見守って行けるように手紙を潜ませておいた事が解ってきます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
内容を紹介するのに、随分とかかってしまいました。結構、この映画、長いし、内容も濃いのですが、イヤな感じはせずに、とても感動させてくれました。これ、外国の小説が原作なんですね。日本のお話として、全く違和感無く、出来上がっていました。日本でも、景気が悪くなり、小さな工場が沢山潰れたり、畳んだりしたのですが、外国でも、同じような事が起こっていたんですね。
主人公の篤史という人物は、日本にとても多い男性像だったと思います。無口で人付き合いも苦手、会社の経営の事は妻に任せて、自分は作業を進めるばかり。我が家にも、同じような人が一人居ますが、家で夫婦でいる時は、何て事無いのですが、外に出て、他人と社交的に話そうとすると、緊張しているのか、表面的な言葉しか出てこないみたいで、会話が弾まないんですよ。ま、私も、どちらかというと、同じようなタイプなのですが、2人ともが無口でいる訳に行かないので、仕方なく、私が話します。

この映画の2人も同じで、いつも良子さんが社会との関わりを繋いでいる感じなんです。篤史さんは、良子さんに頼りっきり。可愛くもあるのですが、奥さんは、もし自分が死んでしまったらどうしようと、不安になりますよね。映画の中でも、良子さんが、とても心配しているのが解るのですが、でもこればかりは仕方がないので、良子さんは、自分が死んでからも、夫が社会と交わって行けるようにと、色々な手立てをして置いてくれるんです。解るなぁ~って思ってしまいました。
出来れば、夫の方が先に亡くなってくれる方が、妻は安心だと思うんです。だって、ずーっと世話をしてきたんですから。子供と同じなんですよね。その人を、一人、ほおり出して自分だけ死ぬのは、とっても悔しかっただろうなと思いました。だから、出来るだけの事をしていたんだと思います。考え深い内容でした。

この映画は、すっごくお勧めしたいと思います。若い人よりも、30代から上の方で、出来たら結婚している方には、とても考えさせられる作品ではないかと思います。いつもクソジジイと思っている夫でも、この映画を見ると、仕方ない世話してやるかって思えてきちゃうかも。だって、奥さんが死んだ後の落胆の仕方と来たら、凄いんですもん。本当に可哀想でした。女性の平均寿命が長いのは、夫を送ってから天国に来なさいという、神様の考えなのかも知れませんね。男は弱いから女が守りなさいと、神様も考えたのかも。ぜひ、この映画、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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