舞台「笑った分だけ、怖くなる」を観てきました。
ストーリーは、
第一ラウンド 東野圭吾 「超税金対策殺人事件」
(「超・殺人事件 推理作家の苦悩」新潮文庫より)
主人公はミステリー作家。友人である税理士から、来年度の支払い調書を見せられ、あまりの巨額に作家とその妻はパニックに。こうなれば経費を増やして、支払う税金を少しでも減らしたい。かくして、執筆中の「氷の街の殺人」は、どんどんと書き換えられていく。。。人気作家・東野圭吾の笑いに賭ける情熱は一筋縄ではいかない。
第二ラウンド 小池真理子「妻の女友達」(集英社文庫より)
一見、平和そのものに見える市役所戸籍係の広中肇は家庭第一のマイホームパパである。ある日、妻の女友達である流行作家が飛び込んで来て、大切な妻の時間をどんどん奪ってゆく。次第に沸き起こる殺意・・・そして最後の凍りつくようなどんでん返し。
の2本です。
題名どおり、大笑いしながら観ているんだけど、段々と、あれ?あれ?っという感じで、怖い方向に曲がっていき、笑っていながらも、ゾッとするような話になっているんです。白石加代子さんが、最後、「ニッ・・・。」と微笑んだ顔が、涼しさを醸し出して、ぞわぞわきました。うーん、面白かったなぁ。
1作目は、作家が、自分の経理関係を担当してくれている税理士から、来年度に支払う税金が1億円以上だと聞かされ、目が飛び出るほど驚いてしまいます。作品が売れたのは嬉しいけど、既に、税金として払うお金が無いので、何とか、税金に払う額を減らす為、色々なものを経費に計上することにして欲しいと頼むところから始まります。
旅行費用から、妻の買い物まで、全てが小説を書くために必要だったものだと証明しなければならず、今書いている作品に、経費に計上する為の領収書に書いてある項目を、盛り込んでいくという作業を始めるのですが、小説の筋に関係が無い事が多過ぎて、もう、しっちゃかめっちゃかになってしまい・・・というお話なんです。
2作目は、公務員の家庭で、妻は専業主婦。ある日、妻の昔の友人だという女性が訪ねて来ます。友人は、現在、有名な作家になり、羽振りが良さそうでした。そして妻に、手伝いに来て欲しいと頼みます。妻は、彼女の家の手伝いに、時々、行くようになり、公務員の家庭は、バランスが崩れて行きます。
キッチリした公務員は、自分の生活を壊す、友人の女性が許せず、そんな手伝いを辞めさせたいと思っているのですが、口には出せず、ある日、行動に移します。そして・・・。
白石加代子さんと佐野史郎さんのお二人の芝居なんです。これが、息がピッタリで、あっと言う間に、2人の世界に引き込まれて、目が離せなくなるんです。台本を持って、朗読劇のように始まるのですが、それに動きが入って行き、演劇っぽく見えるんだけど、でも、台本を片手に持っているんです。とっても不思議でしたよ。だって、観ていて、のめり込んでしまうから、つい、現実のような気持ちになって観ているけど、ふと見ると、片手に台本があって、あ、演劇なんだったって思い出す感じなの。
いやぁ、あまりに素晴らしくて、何と言ったら良いのか解りません。私が書くような酷い文章では表せないほどの、素晴らしい舞台でした。この面白さは、観て貰わないと分からないです。私も、結構、沢山、演劇を観ているのですが、白石さんと佐野さんのコンビほど、スゲー!って思った事はありませんでした。濃いというか、本当の、玄人芝居を観せて頂いたという感じです。
もちろん、人気の俳優さんが出る演劇は、良い演出家が付いているし、話も面白いものを持ってきているので、楽しめるのですが、今回のように、演出家も、俳優も、ベテランで、一緒に作り上げているという舞台は、本当に、良いものを観せて頂いたと感謝してしまうほどなんです。
この演劇、超・超・お勧めなのですが、私が観た回が千秋楽だったので、また、この企画をやってくださるのを待たなくてはなりません。これは面白いから、ぜひ、またやって欲しい舞台です。それも、佐野さんとやって欲しい。これ程に素晴らしく出来上がったものを見せて頂けるのは、本当に至福この上ありません。ぜひぜひ、また観たい演劇です。もし、白石さんの舞台のお知らせを観たら、一度、観に行ってみて下さい。驚くほど素晴らしいですよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「笑った分だけ、怖くなる」
http://majorleague.co.jp/stage/warattabundake/