「ナショナル・シアター・ライブ2015/ザ・オーディエンス」を観てきました。
ストーリーは、
即位以来60年以上にわたり、バッキンガム宮殿で、歴代首相たちがイギリス女王エリザベス2世(ヘレン・ミレン)に謁見(えっけん)してきた。その内容は決して公にされることはなく、国内外の諸問題から私的な話題まで率直な会話が時の首相と女王との間で交わされる。チャーチル(エドワード・フォックス)に始まり、歴代首相と女王との対話を通じて激動する時代が垣間見える。
というお話です。
この映画というか、舞台、本当に面白いと思いました。エリザベス2世とイギリスの首相たちが、謁見する場のみを舞台化しているんです。そこには、イギリスの時代時代の情勢が全て盛り込まれていて、エリザベス女王が、若い頃に即位して、段々と年齢を重ね、彼女自体も政治のことを理解して行くという姿が描かれています。若い頃は、経験が無いので、首相たちが話す事を、ただ聞くだけだったのに、年を重ねて、段々と、助言が出来るようになり、自分の考えを話せるようになって行くんです。
エリザベス女王は、まだ子供の頃、自分の父親が、突然、王位に付かなくてはならなくなり、娘のエリザベスも驚いている姿が描かれています。詳しい経緯については、「英国王のスピーチ」を観ると、良く解ると思うのですが、エリザベスの父、ジョージ6世は、その兄エドワード8世が、いきなり離婚歴のあるアメリカ人女性と結婚することを選択し、王位を放棄した為、王位に付かなくてはならなくなりました。
父親が王位に着いたため、長女のエリザベスが次の継承者となり、継承者としての教育をいきなり受けなければならなくなりました。それまでのように、穏やかな日々は過ごせなくなり、大きなストレスとなったのではないかと思います。そんな彼女の心の声も、描かれているんです。
この脚本は、本当に上手いなぁと思いました。だって、舞台は、謁見室のみなんですよ。全く、同じ場所で、同じ椅子(一部、別荘の場面は変わります。)で、エリザベス女王役のヘレン・ミレンは、ずーっと出ずっぱり。相手役の首相たちは、どんどん変わるのですが、それぞれの特徴を掴んでいて、本当に面白いです。でも、これは、その時代その時代、その首相のタイプを知っていた方が、もっと笑えるだろうなって思いました。私も、ある程度の首相は知っているので、大笑いしましたけどね。
メージャー首相やブラウン首相とのやり取りが面白かったですね。エリザベス女王は、とってもジョークが上手くて、素晴らしいコメディになっているんです。上品でおしゃれな内容なんだけど、とっても面白いんです。組立が上手いなぁという感じなんですよ。やっぱり、これは、脚本が上手いんだろうなぁと思います。
なんで、日本では、こういう舞台が無いのかしら。日本で言えば、天皇と歴代首相の謁見のお話ですよね。きっと、すっごく面白いんじゃないかしら。平成天皇なら、こういうジョークを解って下さって、作っても笑ってくださるんじゃないかと思うんだけど、何故か、日本人はやらないんですよね。これだけ開かれた皇族と言ってくださっているんだから、こういうジョークも楽しんだら良いんじゃないかしら。
エリザベス女王を演じているヘレン・ミレンさんが、本当にカワイイんですよ。エリザベスが即位したのは26歳くらいの時で、26歳から80歳までを演じているのですが、若い時は若いエリザベス、年を取ると80歳のエリザベスがそこに居るんです。ちゃんと、舞台の上で年齢を重ねているように見えるんです。キュートなエリザベスはそのまま、50年の年月を演じていて、驚いてしまいます。やっぱり、素晴らしい役者さんなんですね。
このシアターライブ、あまりにも忙しくて、またも観れないかと思っていたのですが、無理やり、仕事を押し開けて、観に行ってしまいました。でも、無理してでも観て良かった。本当に、実りのある内容でした。この舞台を観て、イギリスの首相たちを、今一度、勉強してみようと思ったほどです。
このナショナル・シアター・ライブ「ザ・オーディエンス」すっごくお勧めの映画というか、ゲキシネなんですが、もう上映が終わってしまったので、これ、DVDで出るのかしら。これは、舞台とかが好きな方は、ぜひ、観るべき作品だと思います。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
・《ナショナル・シアター・ライヴ『ザ・オーディエンス』》@ぴあ映画生活